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永平寺はブラック企業!? ――月給3000円、不眠不休の厨房で学んだ「完璧じゃなくてもいい」  作者: 蒼龍 堅明


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15/24

第15話:修行の果てにやっと会えた、はじめて会えた「生後4か月の命」。

手紙でしか知らなかった息子の存在。

修行という名の、自分自身との戦いの先に待っていた「本当の答え」について、今日は少しだけ個人的な、けれど大切な再会の記憶をお話しします。

今回は、修行の合間に許された一時帰宅。その再会の瞬間のお話です。


 秋田の先輩和尚の慈悲により「長期他出ちょうきたしゅつ」の許可をいただき、私は自坊じぼうのお盆の手伝いという名目で、数ヶ月ぶりに山を下りました。

 修行の張り詰めた緊張感から解き放たれ、秋田へ向かう道中で感じた安堵感は、生涯忘れられないものです。


 途中まで車で迎えに来てくれた妻の姿が見えたとき、私の目には真っ先に、その腕に抱かれた小さな命が飛び込んできました。


 四月十二日。私がお山で壁に向かって坐っていた日に生まれた、長男。

 手紙でしか知らなかった我が子と、生後四ヶ月にして、ようやく初めての対面です。


「あぁ、やっと会えた……」


 そう思った瞬間、自分でも気づかないうちに涙が頬を伝っていました。

 初めてその柔らかな体に触れ、おそるおそる両腕で抱きかかえたときの感覚。

「かわいいな……」

 ただそれだけの、ありふれた、けれど人生で最も重みのある一言が、心の中から溢れ出してきました。


 それまで、月給三千円の現実に絶望したり、寝る間を削って胡麻豆腐を練りながらお経を覚えたりと、自分なりに必死に戦ってきたつもりでした。

 でも、その腕の中のぬくもりを感じた瞬間、それまでの苦労がすべて、この命に繋がるための大切なかてだったのだと、すとんと腹に落ちた気がしたのです。


 本当の強さとは、誰かを想う優しさから生まれるもの。

 それを、生後四ヶ月の息子が教えてくれました。


合掌

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

修行中の身でありながら、家族を想って涙する。それは「執着」なのかもしれません。しかし、あの温もりを知ったからこそ、私は再びお山に戻り、残りの修行をやり遂げる覚悟ができました。


 次回は、家族とのつかの間の再開の天国から叩き落された、お山の「地獄のペナルティ」のお話しです。

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― 新着の感想 ―
面白いです。リアルな「ファンシイ・ダンス」ですね。漫画好きで持ってます。映画も良かった。 本当にあんなに過酷なんですね。 永平寺さんには福井を訪れた時に行きました。その時に壁に貼られたポスターの教え…
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