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迷いの森で  作者: 天草
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その⑮

「ダーク・・・さ・・・ま?」

ラズメスは目の前に立っている『存在』がそうなのでは無いか?と疑心暗鬼になりながら恐る恐る聞いてみた。

「我が名はリッカルド。遥か昔ダークと呼ばれていた者であり、全ての闇を束ねていた者でもある。」

リッカルドのその力強い言葉は森を震わせた。

地面から湧き出る無数の光の束は空へと達し、空から雲が取り除かれて雨はやみ空一面に星空が広がっていた。

挿絵(By みてみん)

「何故・・・・あなたはそんな姿になってしまったのか?」

声を震わせラズメスは問う。

「その姿はまるで・・・・」 

言いかけた瞬間ラズメスはわたしの顔を見る。

「お前か。お前のせいか人間!!!!!」

ラズメスはわたしにそう叫びながら襲いかかって来ようとしていた。

・・・だが、その瞬間光の触手の様な物がラズメスのいる場所から突然生えて来て。彼を捕縛する。

「遥か昔、お前は我の眷属の一人であったと聞くが、この者に手を出すことは許さない。手を出そうとしたならばお前はその場で消滅する事になろう!」

リッカルドは怒り混じりの強い口調でそう言い放つ。

ディザードは横で顔色を変えて口を開き・・・。

「今の言葉には『呪い』が含まれている。」

そうポツリと呟いた。

「呪い?」

わたしの問いに彼は頷き・・

「普通なら呪術的な儀式をしなければ力を使うことは出来ないけど・・・・今言い放った言葉その物が術の一つになってる様だ。術と言って良いのか分からないけどね・・・

・・・しかし・・これ程までとは・・・・」

ディザードは横でかなり怯えていた。

「許さない!!許さない!!!お前だけは!!!人間!!!!!俺がどれだけの月日、ダーク様の復活を夢見て来たことか!!絶対に殺してやる!殺してやる!!!」

ラズメスの耳にはリッカルドの言葉など届いていないのか、わたしを憎しみの目で睨み、体に絡み付いてくる光の触手から必死で抜け出そうとしていた。

だが、それも叶わず・・・

「残念だ。」

リッカルドの言葉と同時にラズメスの体は光を放ち言葉を残す時も与えること無く消滅した。

・・・・これが呪い・・・・

ゾクっ・・・

今までそこにいた者が突然消滅した事に身をわたしは震わせた。

「我もなるべく元我が眷属であり同胞であったあの者を殺したくは無かった・・・・・だが、話しを聞かない者が悪い!」

『確かに!!!』

リッカルドに対して、今まで怯えたり怖がったりしていたわたし達は、その身も蓋もない言葉に何かが一瞬で吹っ切れて同時に言い放ち頷いた。

「ミリエル・・・・ありがとう。我が外に出られる日が来ようとは思いもしなかった。例を言う。」

「ありがとう!!!リッカルド!!!またそっちに遊びに行くから!!!」

そして互いに別れを告げた後、彼はわたしの手を握り笑みを浮かべた。

次第にリッカルドから放たれる光は段々と消えて行き、髪は地面に付く程の長いままだが黒髪に戻っていた。

キルドには意識が無く、その場に倒れ込もうとしていた所をディザードとわたしで何とか抑え、ゆっくりと地面に寝かせる。

そしてわたしとディザードはキルドの横にそっと座り・・・・。

「・・・・はぁ~・・・・・」

ディザードは深い溜め息を付いた。

そして長い間が有り・・・・

「何じゃそりゃぁぁぁぁぁっ!!!!!」

「!???」

突然ディザードが、満天の星空目掛けてそう叫んだ。

その声に驚くわたし。

そして彼は『ははははっ!!』と力一杯笑い出す。

「もう意味分かんないよ!!!ミリエルってあの闇の王と知り合いだったのか?」

ディザードの質問に暫し考え・・・

「夢の中で友達になったのよ。そして『愛』について教えてくれ!って言うから教えたら・・・・何か綺麗に浄化されちゃったみたい・・・・。」

わたしは星空を見ながらそう答える。

「夢の中で・・・?」

ディザードは首を傾げた。

「あなたは恐らく『夢を渡る者』の力を持っていると思います。」

『キルド!!!』

わたしとディザードは同時に叫ぶ。

「大丈夫?何ともない?」

「髪は後で僕が切ってあげるから!」

わたしとディザードはキルドを心配して横でオロオロしていた。

「僕は大丈夫ですよ?傷もこの通り治ってますし『力』も戻ってきてますし・・・・・ね。」

言ってウインク一つしてみせる。

それにホッと溜息をつくわたし達。

「それより・・・あなたは夢を渡る者の力を持っているんです。」

再び言われた言葉にあまりピンと来ずわたしは首を傾げた。

「『何かを知りたい』と言う強い思いが、夢を介してあなたを封印の中へと導いた。」

彼の言葉にやはり首を傾げ・・・・

「確かに・・・わたしは結界の事やその他色々知りたいことだらけだったけど・・・封印とか分かってなかったし・・・それにそもそもわたしそんな『力』持って無いし・・・」

だがキルドは首を横に振り・・・

「今までは無くても、術者の素質がある者ならば、魔力を持っている人の近くに居れば『力』が突然発動したりする事もあるんですよ。

そして恐らく今回、あなたが最初に封印の中に入れたのは偶然・・・僕が近くにいたから、『力』が反応したのかと・・・・後は、リッカルドさんがあなたに何やら自分の所に遊びに来るよう『印』を贈ったらしいですし・・・・それで完全に道が開いたわけです。」

・・・・夢を渡る者の力・・・・

わたしは自分の手を見て考えた。

「あなたは結構危ない事をしたんですよ?」

キルドは真面目な顔をしてそう言った。

「リッカルドの心が変わって無けれは・・・あなたは夢の中であの者に殺されていた。

そうなれば本体は廃人と同じになってたはず・・・」

恐いことを言われわたしはゴクリとツバを飲み込んだ。

「でもまぁ・・・・ありがとうございます。僕はこれで重い荷が解けた様です。」

そしてキルドは笑みを浮かべ涙した。

「ですがまだ不死な事には変わりないんですけどね・・・」

続け様に言い放ったキルドの言葉にやたらと重みを感じたのだった。


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