その⑭
・・・・彼には覚悟は出来てる。覚悟出来てないのはわたしだけ・・・か・・・
わたしの心は固く固まった。
「勝手に動いてるんじゃねぇよ!!!」
空からラズメスの罵声と共に黒い魔力の込められた物がこっちに向けて放たれた。
キルドはわたしを庇うようにわたしの体を抱きしめるが、わたし達目掛けて降って来るはずだった攻撃は横に吹っ飛び・・・・
ずがぁぁぁん!!!
森の中で炸裂した。
「しつこい!!!!邪魔するなって言ってるだろ!半端者がぁぁぁぁっ!!!!!」
そう言ってラズメスはディザードの元に飛んで行った。
どうやらディザードが横から攻撃する事によりこっちに飛んでくるはずだった魔力の軌道を変えたらしい。
「彼がまたこっちに来る前に早く・・・」
・・・・しかし・・・早くと言われても・・・・どうしたら・・・そもそも動揺させる方法が全然・・・・
変顔してみる~・・・とか、いきなり変なダジャレ連発してみる~とか・・・・
思いつかない・・・・
彼が驚くような事・・・・
ドクン・・・
わたしの胸はある事を考え脈を打つ。
「わたしはまだ愛とか恋とか分かんないけど・・・・」
「え?いきなり何故その話しに戻るんです?」
わたしの発言に彼は顔を赤くさせそう言うが、彼の言を完全無視し・・・・
「わたしはあなたが好きだから!!!」
わたしは彼の唇にキスをする。
「ちょっ!?え゛!??」
彼はわたしのいきなりの暴挙に顔を赤くさせ慌て出すと、突然彼の体から光が放ち出し・・・・
「ミリエルさん・・・あなたって人は・・・何て大胆な・・・」
キルドは顔を今だに赤くさせ笑いながらわたしの手を掴む。
「動揺させなきゃなんなかったから・・・・でも仕方なくじゃないから!!」
わたしも顔を赤らめ説明する。
「言いたいことは沢山ありますが、恐らくこれで封印が解けるみたいです。ありがとうございました。これで・・・」
何かを言おうとしたがわたしは口を挟み。
「あなたが戻って来る所はここよ!!!戻って来て自由になったら、皆で一緒に世界回りましょ!!!」
わたしは涙を流しながら彼に言う。
「そうですね・・・・世界・・・・僕も観たいです。必ず戻ってきます。」
そして彼のいる場所全体に光が現れ、そこにはキルドの面立ちだが、地面にまで届く程の長い髪を伸ばした青年が立っていた。ただ変わっている所と言えば髪の色が金色になっているという点だけである。
「誰?」
わたしは首を傾げた。
「お前の友のリッカルド・・・だが・・・・」
やはり理解出来ないでいるわたし。
「顔がキルドのままだけど?」
するとリッカルドは首を傾げ・・・
「中途半端な封印解除だからな。ちなみに最後お別れのシーンの様なやり取りをしていたようだが・・・あの者は死んではいない。我の内に眠っているだけだ。用事を済ましたら返してやろう。」
・・・・死んで・・・・ない・・・・
わたしの目から大粒の涙がこぼれ出す。
「リッカルドぉぉぉっ!!!」
わたしは嬉しさを表現するため彼の体に抱きついた。
「な・・何だ!?
兎に角さっさと用を済ませるぞ!」
リッカルドはわたしの泣きながら喜んでいるこの状況を、さっぱり分からないといった顔をしつつ、わたしを手で遠ざけてラズメスを見やる。
「あいつか・・・・お前の敵・・・・・」
しゅっ!
ディザードは事態がよく分からず瞬間移動でわたしの横に現れた。
「キルドは?」
真剣な表情で恐る恐る聞いて来る。
「キルドは我の中で眠っている。これが終わったら返すから安心しろ。」
リッカルドの言葉に動揺しつつ、説明を求める的な表情で彼はわたしの顔をチラチラ見て来た。
・・・・・そりゃそうなるか・・・・・だって何も言ってないし・・・・
ラズメスは宙からそっと地に降りて来る。
暫く目を丸くさせ止まっていた。
何が起きているのか理解出来ないのだろう・・・
「封印が解けている・・・?だが・・・この光は・・・・」
ラズメスはうろたえ、二・三歩後退る。




