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思い出しちゃダメ!? 溺愛してくる俺様王の事がどうしても思い出せません  作者: 紅花うさぎ


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2.プロポーズ!?

 一瞬思考が停止する。

 私……疲れすぎて耳までおかしくなったのかしら?


「今なんとおっしゃいましたか?」


「お前は俺の妻になると言ったんだ」

 エイデンの顔は冗談を言っている様には見えない。


「えーっと……今のって……もしかしてプロポーズですか?」


 もしプロポーズだとしたら、横柄すぎて笑えるわよね。俺の言う事黙って聞けばいいとか、ロマンティックのカケラもない。


 ってプロポーズなわけないか……こんな美形な王様が、私みたいなメイドに求婚するなんてありえるわけがないんだし。

 

「プロポーズのわけないだろ」


 やっぱりね。

 エイデンが笑ったのを見て、私もつられて笑った。


「俺はただ、決定事項を伝えただけだ」


「決定事項って……」


 なんじゃそりゃ? 私達が結婚するって、いつ、どこで、誰が決めたんだ!? これは絶対に人間違いよ。


「失礼ですが、お相手を間違えてらっしゃいますよ」

 

「間違い?」

 エイデンが冷たく笑った。


「守の一族の生き残り、レイナ ガードランドはお前だろう?」


 エイデンが鋭い瞳で私を見つめている。きっと私の表情の変化を観察しているのだろう。この様子じゃ人違いだと誤魔化すのは無理そうだ。


 確かに私はエイデンの言う通り、守の一族の生き残り。今はもう滅んでしまった、ガードランドの最後の王族だ。


 私の祖国、ガードランドは小さな王国だった。竜の門と言われる龍族の世界への入り口を守ることを使命とし、守の一族は門の入り口を開けることができるという能力を持っていた。


 そのガードランドが滅んだのは、私がまだ小さい頃だ。正直なところ、小さすぎたせいで何があったのか全く覚えていない。


 ただ母から聞いた話では、龍族の天候を自由に操る力を欲した人々を遠ざけるため、私の祖父が竜の門を封印し国を終わらせたということだった。


「ご存知でしょう? 竜の門はもうありません。それに私には元々、守の一族の力はありませんから」


 国が滅んだといえ、私達王族の力はまだ利用できる。そう思った者達から昔はよく襲われていた。


「龍族の力を欲する者に、私達の力を利用されてはいけない」


 母はそう言って、私と二人で隠れるようにして生きてきた。母は守の一族を象徴する濃い紫色の髪の毛をしていたけれど、何の力もない私は普通の金茶色の髪の毛だ。


 それなのに……どうしてバレてしまったの?


「最近結婚しろと、あちこちからうるさく言われててな」


 どうして私の事を見つけられたのかには全く触れず、エイデンは自分の状況を話し始めた。誰かと結婚しなくてはいけないが、誰と結婚しても厄介な勢力争いが起こって面倒くさいらしい。


「ガードランドの娘なら勢力争いの心配はないし、皆を黙らせる力はあるだろう」


 そんなことのために私はここに連れて来られたっていうの? エイデンの目的が竜の門ではないことにほっとしながらも、憂鬱であることには変わりがなかった。


「私には皆を黙らせる力なんてありませんよ。私なんかより、もっと王妃にふさわしい人と結婚した方がいいと思いますよ」


 私は元々特別な力なんて持ってなかったし、今だってただの貧乏メイドだ。そんな人間がこんな大国の王妃になんてなったら、余計面倒な揉め事がおきちゃいそうよ。


「王妃にふさわしいかどうかはどうでもいい」


「でも……」


 何度結婚は無理だと伝えても、エイデンは取り合ってくれない。


 仕方ない。明日にでもこっそり出ていこう。前の屋敷には戻れないだろうけど、どこかでまたひっそり働けばいい。


「言っておくが、逃げても無駄だからな。どこまででもおいかけて捕まえてやる」


 私の考えていることが分かったのか、エイデンがニヤリと笑った。その迫力に恐怖を感じ、背中にツーっと冷や汗が流れる。


「に、逃げたりなんかしませんから」

 

「俺がお前を妻にすると決めたんだ。お前は大人しく俺のものになればいい」


 そんな横暴な……

 エイデンの力強い瞳に見つめられて、心臓が掴まれたかのようにキュッと痛んだ。


 まぁ夜のうちにゆっくり考えればいっかと思ってたのに……ベッドに入るやいなや、ぐっすり眠ってしまった。さすが城の来客用ベッド。ふかふかで寝心地最高だ。


 ってな感じでぐっすり眠って、目覚めてびっくり!! 部屋の中にはリボンのついた箱が山積みになっているじゃない。


「おはようございます、レイナ様」


 私付きの侍女だというビビアンが身支度の手伝いをしてくれる。


「すごいですね。これ全部、エイデン様からレイナ様への贈り物ですよ」


「こんなにたくさん……」


 贈り物って言われても、これだけ多いと嬉しいよりも困惑してしまう。


 ビビアンに促されるがままに箱を開けてみると、中にはドレスや帽子、宝石などが入っていた。


「まぁ、素敵ですね!!」

 確かに素敵だけれど……

「私には華やかすぎるわ」


「そんなことありません。レイナ様はこの国の未来の王妃様なのですから」


 未来の王妃ねぇ……

 エイデンは本気なのだろうか?


「それにしても、どの品もレイナ様にお似合いになりそうなものばかりですね。エイデン様は本当にレイナ様の事が大好きでらっしゃるから……」


 私のことを好き? あのエイデンが!? どこがっ!!


 昨夜のエイデンの態度、どこにも私への愛情が感じられる部分はなかったわ。エイデン自身も言ってたけど、ただ都合がいいから私を妻にしたいだけでしょ。


 都合よく扱われるのはまっぴらごめんよ。でもここから逃げ出しても行く所なんてないし……

 こんな時に頼れる家族も友人もいないことがどうしようもなく悲しい。


 どうしたもんだろうと悩んでいる間に数日が過ぎた。エイデンは忙しいようで、初日に夕食を共にして以来見かけていない。


 早く出ていかないと……とは思っているのよね。でもここはとっても居心地がいいから……

 温かい食事にふかふかのベッドは最高で、このままだと出ていけなくなりそうだ。


「またエイデン様からお菓子が届きましたよ」


 机の上はエイデンから届けられたお菓子の箱でいっぱいだ。私って、そんなに食いしん坊に見えるのかしら?


「せっかくですし、お茶にしましょうか?」


 うーん……ビビアンには悪いけど、今はお茶っていう気分じゃない。


「はぁ……」


 何でだろ。なんだかすっごく疲れてるのよね。色々考えてるせいか頭も痛いし。


 その時バンっとノックもなく扉が開いた。エイデンが大股で部屋に入ってくる。

 

「エイデン様、一体どうされたんですか?」


 ソファーに体をあずけていた私の前に来たエイデンは、仁王立ちして私を見下ろしている。その顔はひどく険しい。


 っと、何も言わずエイデンが私を横抱きに抱えた。エイデンに触れられた部分から、体が熱くなっていくのを感じた。


「やだ。降ろして!!」


「おい、暴れるな!!」


 エイデンの真剣な瞳に見つめられ声が出ない。


 やっぱり綺麗な顔……

 こんなに端正な横顔が近くにあったら、緊張しちゃうじゃない。エイデンの頰に鼻息がかかったらどうしよう。なんだか急に恥ずかしくなって思わず息をとめた。


 エイデンは私を横抱きにしたまま、ベッドにゆっくりと下ろした。


 えっ!? えっ? えっ?

 これってもしや……


「わ、私達、そういう関係になるのは早すぎると思います!!」


 このままなし崩し的になんてさせるもんかと、思いっきりエイデンの体を押したが、エイデンの体はびくともしない。


 鋭い眼で私を見ると、たった一言「大人しく寝てろ!!」っと命令して部屋を出て行ってしまった。

 

 はぁ? なんだったの? さっぱり分からない。

 寝ろと言われても、こんな真昼間から寝るなんて……


 戸惑っている私の元に医師がやってきたのは、それから数分後の事だった。エイデンから私を診察するよう頼まれたらしい。


 私、具合が悪かったの? 

 通りで今日は食欲がなかったし、頭痛もしてたのか。


 それにしても……エイデンはどうして私の具合が悪いことに気がついたのかしら? 私だって気がつかなかったのに。


 まだ考えるべき事がたくさんあるのに、いつのまにか思考は停止し、私は深い深い眠りに落ちていった。

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