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【書籍化】錬金術師ユキの攻略 〜超天才美少女(?)が、世の理を解き明かし塗り替える!〜  作者: 白兎 龍
第一章 Another World Online 第十三節 鈴守神事の攻略

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第58話 夢見の城

第七位階上位

 



《【運命(ディスティニー)クエスト】『闇穿つ七星』をクリアしました》



 気付くと、最初に西を見下ろした崖の上にいた。


 桃花は残心した後、力を失った様にガクリと態勢を崩す。

 バターンと地面に倒れ伏す直前に、念動力で支え、引き寄せた。



「……おやすみ、桃花」



 僕の声が聞こえたかは分からないが、ぐったりとする桃花を送還した。


 最後の戦いは中々良かった。


 僕くらいの者が見ると、グンハが合わせている部分がやや多いのが分かるが、それでも桃花は最初と比べてかなり成長したし、相手に合わせる事も出来る様になった。実に良い連携であった。



「……白羅、どうだった?」



 傍らにいる白羅に、桃花はどうだったか問いを掛ける。

 すると、白羅は目を瞑り——



「——ユキ殿、私に稽古を付けてくれ」



 と、そう言った。


 触発されたかな?



「じゃあ……明後日くらいにね」



 ちょうどお祭りも終わるし、それくらいが良いだろう。





 入手した物は、スキルポイント5P。『勝利の宝珠(ヴィクトリー・オーブ)』『仙桃の苗』『神変奇特盃』。


 エクストラ評価は『幼き英雄』『天軍降臨』『無傷の支配者』で、スキルポイント9P。グンハが使っていた小太刀『破天荒解』。


 あとは、おまけにヒメが使って変質した刀『赫夜新月』。


 各アイテムの能力は、苗が桃の苗。多分美味しい。盃は強化バフが付くらしい酒が湧く盃。

 破天荒解は聖剣の一種で、不浄や負の力に強い耐性のある強大な生命力で構成された小太刀。


 赫夜新月は……魔力をチャージすると月属性に変換してどんどん光が増す竹の刀。魔力保持容量が凄まじく多いのは、多分ヒメが使ってる内に変質しただけでなく、改造もしていたのかもしれない。



 激戦を制したクラディ達を労い休ませ、白羅には後で直ぐ召喚するかもと言い付けてから送還した。


 本の中なら回復も早いし、裏面がどれ程かは知らないが、ベルベルの挙動から考えて、主役級達と戦う事になるだろう事は間違いないので、白羅の力は必要になるだろう。



 おそらく、不思議の世界(ワンダー・ワールド)のクエストはこれで全部だろう。

 隠しクエストでもない限り、目立つ場所には全て行った。


 後はラスボスを残すのみ。


 早速向かうとしよう。





 竹林を抜け、世界が変わった森を抜け、不思議の世界(ワンダー・ワールド)の中心近傍についた。


 堀に囲まれた大きな城。


 覗き込んだ堀は、底が見えない。真っ暗な堀へ手を伸ばしてみると、直ぐに壁にぶつかった。

 やはり、飛んで行く事は出来ない仕様だ。


 橋のある関所に入ってみる。

 大きな門に触れると、門は自動で開いた。


 目の前にあるのは、長い橋。


 木と石で出来た無骨な、そしてボロボロの橋だ。



「むむ」



 一歩踏み込んだ次の瞬間、また微妙に世界が変わった。


 背後の関所が虹色の豪奢な作りに変わり、橋が無骨な物から一転、精緻な細工が施された赤と鉄色の刺々しい橋に変わる。

 赤からはベルベルの魔力、鉄色からはジャックの魔力が感じられた。



 暫く進むと、ボロボロの橋と赤鉄の橋の境目に来た。

 踏み込めば、当然の様に世界が変ずる。


 今度は、スートのデザインに赤、青、黄、緑の4色があしらわれたトランプの橋。

 さり気なく金と銀の斧が並んでいる。



 暫く進んでその次は、青白いガラスで出来た、宮殿の様なデザインの橋。

 ガラス製のお菓子っぽい物やリンゴっぽい物、イバラっぽい物も見えるが、ガラスの主張が激しくて目立たない。



 そして最後は、緋色の支柱に金色の桃、竹、熊、釣竿、お椀、箱が細工された、ややシンプルな橋。



「……」



 無骨で大きな城の前に着いた。


 後一歩踏み込めば、おそらく城の領域。ラスボスの領域に入る。


 ざっと考察した感じ、橋はクエストを回らずに入った場合、崩れたりする仕様だったのかもしれない。

 その場合は不可避の死が待っていたかもしれないので、ちゃんと最後に来て良かったと思っておく。



「……ふー」



 気合を入れる。


 僕の消耗率は半分程度、まだまだ十分やれる。

 配下の子達も、主力の殆どが温存出来ている。


 その他、外部の防衛は、黒霧クラスタがやってくれる。



 問題は、無い。



「……よしっ」



 僕は一歩、踏み込んだ。





 世界がキラキラと音を立てて変ずる。


 ここから見える世界全てが変わっていく。



 空に輝く太陽は、虹色の光を放つ不思議な星に。

 空に掛かる雲は、ピンクに水色、黄色とわたあめの様。


 黄色い星が虹の尾を引きながら、周囲をくるくると回っていた。



 目の前の城は、無骨な城から豪奢な城へ変わり、七色の光を纏っている。


 門が開いた。



「……」



 招きに従い、中に入る。


 赤いカーペットの長い廊下。


 左右の壁には色取り取りの砂が入った小瓶がズラリと並んでいる。

 赤や青、ピンク、水色、金色だったり茶色だったり、まるで地層の様だ。


 空間湾曲により、長い廊下を数十歩で通り抜ける。


 最奥にあったのは、広い空間。


 そして、虹色の砂が入った巨大な砂時計の様な物。


 廊下の小瓶と同じ形の瓶が2つ、口を重ねる様にして置かれ、金の柱で支えられている。

 高い城の天井から4本、柱と同じ金色の、尖った何かが伸び、上の瓶の高い位置に添えられていた。


 上の瓶の中、ちょうどその尖った何かが交錯する場所で、虹色の砂がさらさらと落ちて来ていた。


 ざっと感知した所、どうやらこの城は城そのものが巨大な魔法道具……と言うよりも神器の様な物らしい。

 大気中の魔力、神力……いや、信仰かな? それを吸収して砂、夢属性の結晶を生成している様だ。


 これはつまり…………ヒメやリヨンから聞いた話から考察するに…………。



「……まさか」



 …………夢想神を(・・・・)生み出す(・・・・)為の装置(・・・・)……?(・・・)



 大気中から信仰を回収し、膨大な神気を集積、それで『原典(エピック)』を生成し、適性のある人に『原典(エピック)』を渡す。


 そうして作った『原典保持者(エピック・アクター)』を争わせ、魂を磨いて大規模な世界改変を起こさせ、それによって変じた固有属性の夢属性神気を集積。


 十分な量が集まれば、『原典(エピック)』を作る要領で『神核(ディヴァインコア)』を生成、神足るに十分な成長を遂げた対象を神化させる事が可能。



 ……神作成装置だコレ。



 いや、頑張ればいずれ僕にも同じ事が出来るだろうが……現状の僕の魂魄では星珠を神核に纏める事が出来ないので、あくまでもいずれ、いつか出来るだろうと言うだけ。

 増してや、その様なシステムを持つ装置を作るのは……仮に神核を作れるレベルになっても、色々手を尽くさないと難しいだろう。



 砂時計の周囲を調べ回り、城の構造を知覚し、考察をする。


 ふむふむふむ……これなら、現状のレベルでは同じ性能の物はまず作れないが、範囲も性能も大きく落ちるが似た様な物は作れる。かも。


 更なる解析と考察を——


 その時、唐突に、頬を誰かにつつかれた。



 振り返った先にいたのは、少女。


 金髪に碧眼。水色のエプロンドレスに、同色の大きなリボン。



 少女は可愛らしく微笑んで、青白い氷の剣を振り上げた。



 

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