第57話 決戦! 鬼ヶ島! 二
第七位階上位
召喚したのは、イェガ。
空中都市から水上都市に変わった事で、空間の上限問題を解決。出撃が可能となった。
今回は防衛戦では無いので、イェガの騎士全てを侵攻に利用出来る。
イェガの成長に伴いレベルの上がった騎士達は、単純な戦闘力としてはレベル500を越えており、今回の戦場でも十分戦える化け物揃い。
水中であれば、水を自在に操るシャオロンや釣竿法師が手数の問題を解決するが、地上であればそれも困難なので、イェガを召喚する事と相成った。
イェガの出現を経て、遠い酒呑の口端がニヤリと上がり——
——戦いは始まった。
◇
イェガと黒霧の協力もあって、最終戦場は先の戦いよりも楽に操作出来た。
予定通り、クラディ&ゼーレは二手に分かれ、方やクラディ&バーチスの男タッグ。方やプリエール姉妹+αとゼーレの女チームで、それぞれ蒼凪童子、宵虎童子と戦っている。
元々は同じ学び舎で机を並べた仲とあって、それぞれの相性は悪くない。むしろ、クラディとバーチスに限っては、2人とも何処か歪んだ所があるので、上手い事噛み合っている。
怪力自慢らしい星熊童子とは金剛丸がぶつかり合い、剣術において他より群を抜いている飛燕童子はまめちゃんが、炎を扱う劫火童子には釣竿法師が相対している。
其れ等の邪魔をさせないように援護しているのが、シャオロンとヒメだ。
イェガ軍団は主に雑魚敵の始末と仙鬼の撃破、足止めを仕事とし、全体のサポートを行なっている。
本当は童子全部僕がやれればエクストラ評価が良くなるかもしれないが、ラスボス戦を控えているので、欲張らずに録画に集中しておく。
そんな下々の戦場は置いておいて、もっと重要な戦場に目を向ける。
そう、桃花&グンハvs.茨木童子&酒呑童子だ。
◇
酒呑童子は、レーベや裸王の様に凄まじい重圧と密度を感じる肉体を持つ大鬼だ。
手に持つ大太刀は鋭く、その武威は単なる剛力に収まらない。
正に王と言うに相応しい威容と武力である。
その腹心である茨木童子は、どこを取っても酒呑童子以下ではあるが、長きに渡り連れ添ったからかその連携は凄まじいの一言。
もはや2体の鬼王と言うより、1体の鬼神と言うべき絶対強者だ。
対する桃花とグンハは、連携はつい数時間前にあったばかりとは思えないレベルであり、2人とも鬼に一方的に有利な神性を持っている。
方や精霊にして鬼殺の現神。方や永い時の中で研鑽を積んだ剣豪にして鬼殺の『原典保持者』。
それを持ってして尚互角と言うのが、童子の凄い所であり桃花達の凄い所でもある。
この戦いの中、強敵と先達を得た桃花はメキメキ成長している。
「——そう思うよね、白羅」
との旨を白羅に問うと、彼女はしっかりとした声で応えた。
「まったくもってその通りだ」
そう応える白羅の尻尾はふりふりと揺れている。
そう、彼女は、またしても折角の強敵をぶっ殺そうとしやがったのだ。
原因は明白。彼女はものすご〜く過保護なのである。
ついつい手を出してしまうのだ。
「反省はしているがどうしてもな……」
それは当然。死ぬかもしれないと思うと助けずにはいられまい。
今は大いなる神の加護によって魂が保護されているが、普通はそんな無茶はさせない。
白羅はそこの所理解しているので、ゆっくり慣れて行けば良い。
それ故の形だけのお仕置きである。
……喜んでるっぽいけどね!
「気を付けてね」
「うむ」
それはそうと、戦いは佳境だ。
桃花は振り下ろされた斬撃を後退して避け、追撃に放たれた茨木の横なぎの一撃をグンハが受け流す。
そこを狙った酒呑の逆袈裟を桃花が小太刀を伸ばす事で止める。
桃花の小太刀を酒呑は柄で受け流し、茨木が弾き上げる。
桃花の隙を付き放たれたのは、酒呑の鞘の一撃。
それをグンハが足裏で受けて減衰させ、桃花が拳で止めた。
「桃花が手を使った……」
「そうだね」
剣技に拘ってたしね。
グンハは酒呑の一撃から勢いを貰い、ぐるりと回転するや、十分な勢いを乗せた薙ぎ払いを茨木へお見舞いする。
茨木は当然の様にそれを剣で受けるも、止めるには至らず、両手を跳ね上げられた。
ここぞとばかりに、グンハは小太刀を投擲する。
——ガギィン!
金属音が鳴り響き、投げられた小太刀は酒呑の剣に弾かれ、そして——
「ぐっ、やりおる……っ!」
伸びた桃花の刀が酒呑の肩に突き刺さった。
酒呑は斬り上げを放ちグンハを退ける。
桃花が好機とばかりに追撃に迫ろうとするも、それをグンハが制した。
……今突っ込んでたら首が飛んでたな。敢えて即再生しなかっただけだしね。
さて、現時点でも桃花は十分学びを得ているが、戦闘終結までどれほど強くなれるかな?





