第41話 ご機嫌なエヴァ
第七位階上位
クエストクリアで入手したのは、スキルポイント2P。『姫の花冠』と言う指輪。ニコラメダル2枚。
エクストラ評価は、『問答無用』でスキルポイント1P。
数十秒の寄り道でスキルポイント3Pはお得だ。
ただ、多分ちゃんとクエストやってたらエクストラ評価ももうちょっと良くなってたかもしれないと思うと……悔いる部分もほんの一つまみ分くらいはある。
まぁ、精々加算されてもスキルポイント1、2くらいだろうが。強いて言うなら、名も知らぬ小女が可哀想と言うくらいだ。
姫の花冠の効果は、植物系、特に花の魔物を強化する類い。
候補は多いが、ここはリェニに渡す事にしよう。
花園に留まる理由はもう無いので、アイテムの確認後直ぐに塔へ向かう事にした。
◇
エヴァの超高速飛行に付き合っていると、半刻もしない内にこの迷宮を一周してしまうので、程々な高速飛行で道なりに進む事しばらく。
一軒の小屋に到着した。
なんの変哲もない赤い屋根の小さな小屋だ。
それは森の中、唐突にポツンと現れていた。
気付くと、周りの森は真っ赤な林檎の生る木に変わっており、小屋の周りの極小範囲が異界になっている事が分かる。
生命反応は無い。
そう確認するや、エヴァはなんの躊躇いも無く小屋の扉を開けた。
中にあったのは、大きな1つのテーブルと、小さな7つのイス。
奥には7つのベットがあり、手前には食器棚と調理台が置かれている。
そして、大きなテーブルの上に、杖の様な物が。
「棒を拾ったと報告します」
エヴァが高々と杖を掲げている内に、ニコラメダルを7枚回収した。
ミラーアップル 品質S レア度6 耐久力A
備考:振るとリンゴが飛び出す魔法の杖。
杖は先端部分にリンゴの形をした鏡の様な物がついており、その鏡の中にはリンゴが浮いている。
それを振ると、鏡のリンゴが飛び出して来ると言う……謎の杖だった。
リンゴにはどうやら種類がある様で、普通の赤いリンゴ。紫水玉模様の毒リンゴ。ピンクのハート模様の薬リンゴ。他複数種に加え、稀に金のリンゴが出るらしい。
出てくるリンゴは振る前に鏡の中にあった物で、振るスピードが早ければ早い程射出される速度も速くなる様だ。
調節すれば、出るリンゴの種類を弄る事が出来るだろう。
無限リンゴ装置を手に入れた。
◇
小屋を後にし、進む事しばらく。
ようやく、塔に辿り着いた。
塔は石造りで屋根は緑。無数の茨が巻き付いている為、遠目から見ると大きな木に見える代物だ。
早速、エヴァが……ドカンと発見した隠し扉から入ってみる。
中にあったのは、螺旋階段。
一歩踏み込んだ所で、蔓の柱と同じ様に最上階まで転送された。
蝋燭の光だけが照らす薄暗い廊下に、エヴァが……バキッと見つけた隠し扉。
……さっきからエヴァは雑である。
若干の興奮状態の様だが……理由は考えるまでもない。
中は、ちょっと広めの寝室。
入手したのは、ニコラメダル1枚と、『刺金縄』と言う名の縄。
この縄は多少の知能を持っており、主な使い方は鞭。棘を出してぶつかりに行ったり巻き付いたりする他、解けて無数の糸となり襲い掛かったりする。
また、不思議な事に、換装すると髪の毛みたいになって頭に装着される。
僕が装備すると銀髪の中に金髪が混じっているので、メッシュを入れたみたいになる。
塔内部には他に、トイレ、お風呂、調理場、物置があったが、残念ながら特に目ぼしい物は無かった。残念。
それはそうと、南西へ向けて開け放たれた大きな窓から迷宮内部の様子を探る。
ざっと見た感じ、新たな情報としては……直ぐ近くにお菓子の家っぽい物が見える事と、北の方にギリギリで何か虹色の煙っぽい物が見えるくらいだ。
お菓子の家は北へ行く途中で通るので、早速出発しよう。
◇
《【運命クエスト】『スイートハウスへようこそ! 先ずは魔女の豚さんクッキーをどうぞ!』が発令されました》
スウィート・オ・ウィッチ LV550
——エヴァが白くて可愛い子豚になって、双子に挟み撃ちにされている。
……正確には、お菓子で出来た人型の怪物がお菓子の攻撃をしている。
イチゴミサイルが子豚エヴァを追いかけ、ホイップクリームの津波が退路を断ち、巨大キャンディがアトランダムに飛来し、クッキーの盾がエヴァの攻撃を防ぐ。
グミが飛んだりチョコレートが飛んで弾けてドーナツが回って……一見すると危険は無い様に見えるが、よく魔力の性質を見ればそれぞれがそれなりに危険な攻撃なのだと分かる。
イチゴミサイルは爆散して飛沫を散らし周囲を溶かすし、クリームは触れると凍る。キャンディは見た目の何倍も重く硬いし、クッキーの盾は並大抵の武器では貫けない。
その上、敵は二重人格型の魂魄を持ち、レベルの割に凄まじい出力と連携でエヴァと戦っている。
対するエヴァは、何らかの神性により強制子豚化されて弱体化しているし、何より既に強敵との連戦で疲弊している。
武装の大半は形代神の兵力を粉砕するのに使い、チャージした分の兵器と残弾もエラとの戦いでほぼ尽きた。
小女のクエストでも少し使ってしまったし……エヴァは可愛い子豚の姿でも相変わらず無表情で余裕そうだが、限界は近いだろう。
さぁ、エヴァ。試練の時間だよ?
僕は桃ケーキなる物のおもてなしを頂きつつ、にこにこと微笑みながら苦戦するエヴァを見下ろした。
……どうもね、僕に試練を与えるよりその部下に試練を与えた方が評価が高くなると情報開示があったらしいんだよね。





