第24話 人形姫の館 二
※1300万PV達成
第七位階上位
人形部隊の隊長はイェガだ。
副隊長はエヴァ。幹部は三巨像さん、クラディ&ゼーレ、アルフくん、クラウ。
彼等の黒霧を通した念話による作戦会議の結果、新しく出現した勢力の全てをエヴァが相手する事に決まった。
エヴァが時間稼ぎをしている間に各エリアを制圧し、一気呵成に敵を殲滅する。と言う筋書きらしい。
そんな作戦の元始まった戦いは、苛烈を極めた。
如何にエヴァと言えども……相手が格下で特筆すべき強力な兵器を持っていないとしても、3対1に+αの敵を前には長く持たないだろう。
それ故に、他の4エリアは即座に敵を殲滅し、エリアボスを撃破しなければならない。
襲い来る雑魚を駆逐し、彼等が相対したのは……見上げる程に巨大なゴーレムだった。
鬱蒼たる草兎 LV400
枯渇せし砂蜥蜴 LV400
混濁する水蛇 LV400
虚なる鋼巨人 LV400
其々、兎、蜥蜴、蛇、人の形をした、草や砂や水や鋼のゴーレムである。
厄介なのは、コアを破壊するまで周囲の物質を取り込み再生し続ける点。
倒す方法は2つ。
コアを砕くか、補給物資が尽きるまで壊し続ける、つまり土地にストックされていた膨大な魔力が尽きるまで破壊を続けるかだ。
ただし、上手くコアを砕いても、大地と接続されたままだと魔力が潤沢なので、そう時間を掛ける事なく復活する。
最適解はこうだ。
地面と接続されている巨大な敵を地面から切り離し、空に打ち上げて肉体を削ぎ落とし、復活出来ない程度まで魔力を削ったらコアを砕く。
因みに僕程の出力がある場合は、念動力でコアを掴んで引き抜いて握り潰す。簡単なお仕事である。
四方のエリアでそんな巨大ゴーレムとの戦いが繰り広げられる一方、真北の一帯では戦争が起きていた。
広範囲で巻き起こる爆炎、黒煙が立ち込める森と弾け飛ぶ木製ゴーレム達。
無数の光線と実弾兵器が飛び交う大空。
——主役はエヴァ。
首輪の武器庫に納められた数多の神血機装が火を吹き、凄まじい鉄と火と光の嵐が雑兵を塵芥の如く薙ぎ払う。
実弾兵器は実弾で撃ち落とされ、光学兵器は次元湾曲で逸らされ、時に魔力を吸い尽くされる。
放たれたイェガもどきの主砲さえ、エヴァを傷付ける事は出来なかった。
正に最強。正に無敵。いやおかしいだろ。
幾らイェガもどきがイェガより3回りくらい弱いとは言え、主砲の一撃は余裕でレベル600代に致命傷を与える威力がある。
もどきな為に演算能力も下がっていたとしても、ダメージ0はエヴァの実力的にあり得ない。
その上、エヴァは結界と空間湾曲を駆使して、イェガもどきの主砲から放たれた火属性の収束光線を千本程度に分解、その全てを吸収し尽くして見せた。
そんな芸当がエヴァに出来る筈がない。
もし出来たとしたら、それはエヴァの演算力が僕程とは言わないが黒霧位には匹敵すると言う事になる。
そして、そんな事が出来るのなら、昨日の砂浜でやる球技っぽい何かの大会ではソロ優勝出来た筈だ。
……そう言えば昨日一人でぶつぶつ言ってたが……これは何かあるな。
後で問い詰めよう。
◇
《【運命クエスト】『物言わぬ傀儡:草陰の命』をクリアしました》
【運命クエスト】
『物言わぬ傀儡:草陰の命』
参加条件
・ボス『鬱蒼たる草兎』の討伐
達成条件
・ボス『鬱蒼たる草兎』の討伐
失敗条件
・無し
達成報酬
参加者報酬
・スキルポイント5P
参加者貢献度ランダム報酬
貢献度100%
・防具『鬱蒼たる草陰の草兎』
・防具『草兎の指輪』×10
全体報酬
・『人形姫の館』第一城門、開放
鬱蒼たる草兎と言う名の巨大草ゴーレムが討たれた。
きっと四天王の中では最弱だったのだろう……草自体表面にしか生えない物なので、魔力ストックの絶対量が少ないからである。
草兎は思っていた通り、ただのゴーレムでは無かった。
草兎だけじゃなく、他のゴーレムもそうだが……その能力は具体的に言えばアルカディアやニライカナイと同じだ。
彼等の中には無数の魂が存在した。
それらを使い、草や砂に魂を宿して配下を生成して来るのである。
彼等はゴーレムとして誕生したのでは無く、死した魂を再利用して再誕したゴーレムだったのだ。
まぁ、弱い配下増やすくらいなら大した事は無いし、直に他のエリアボスも倒れるだろう。
問題は、第一城門の開放とか言う一文である。
言葉の通り、木製ゴーレムやミラードールを吐き出す為に一度だけ開いた城門が、今度は完全に開いて停止した。
そして溢れ出す石製ゴーレムの大群。
レベル500のミラードールも3体追加され、模倣されたのはクラディとゼーレとルクスくんだ。
普通に、至って普通に計算して考えると、レベル500クラス6体に囲まれれば、レベル600クラスと言えども2〜3体を道連れに出来るかどうかと言った所だ。
今回の場合、敵は模倣された味方であり、その対象は規格外の戦闘力を持つイェガやエヴァ、歴戦の戦士であるアルフ、ルクス、クラディ、ゼーレの4人。
つまり、レベル500で得られる最低限のスペックと比較して、模倣体である敵は1回り、2回りは上の強者であると言える。
即ち、実際の戦闘力評価はレベル600に届く程だ。
更に言うと、イェガやエヴァは段違いに強い。
片や僕が詰め込んだ空中要塞。片やイヴが詰め込んだイヴもどきなのである。
幾ら模倣体とは言え、そんな敵の群れに囲まれれば、それに勝利出来るのは……僕の配下の中でも両手で……いや2、、、30人いないだろう。
そんな敵の群れを前に、エヴァは救援を拒んだ。
草原小隊は、敵勢力殲滅の為に冬将軍閣下を残して一番面倒な砂漠の救援に向かう事となり、エヴァは結局1人で敵軍と相対しているのである。
やはりエヴァの奴、何か隠してるな?





