第23話 人形姫の館
第七位階上位
諸雑務を終え、アナザーをやる準備が整った。
白露からの情報に幾らか気になる物はあったが、現状では僕が即座に動く程の事では無い。
その内数件は僕がゆるりと動いた方が良さそうなので、神事の後時間を作って確認しよう。
アナザーの方は……マレビト招致の準備も必要な事は全て終わったし……研究も専門の組織とシステムを構築したから低次の研究は任せられる。
素材の回収と経験値集めは配下の子達が奮闘しているし、姉妹からの定期連絡でも気になる物や真新しい事は無い。
スノーことセツナは鉱山街を支配下に置いて、今は港町の支配を進めている。
インヴェルノことフユキはルベリオン王国南部のフィールド制限を突破するべく地図埋めとボス探しをしている。
ネージュことアワユキは王都の冒険者ギルドを誘導してリスティアでの資源回収を行わせている。
ブランことフブキはルステリアで冒険者登録を済ませ、今は迷宮の浅層をマッピング中だ。
王都周辺に天使、悪魔、吸血鬼等の警戒対象の気配は無く、至って平穏と言えるだろう。
と言う訳で、今日は見込みのある子達を鍛える時間にしよう。
◇
本日の標的は、鵺の集会場等と一緒に出現した迷宮。
——『人形姫の館』。
連れて行くメンバーは、折角なので、イェガ。三巨像さん。アルフくん。ルクスくん。白雪配下の冬将軍閣下。クラウ含む13名のオートマタ。宝石ゴーレム君達7名。クラディ&ゼーレ。エヴァ。合計30名の人形チームである。
人形姫の館は、街の裏通りにある。
やや大きめな古い屋敷、草が蔓延る広い庭の端。そこにある石碑の真ん中に、石と同じ灰色のレリーフが嵌っていた。
参加者は全員本に入れてある。
補修用の資材やポーションは用意してある。
僕自身も、星珠を3つと魔導鎧を換装済み。
戦いの準備は整った。
それじゃあ早速行ってみよう。
レリーフに触れると光が溢れ、転移魔法により何処かへと転送される。
《【運命クエスト】『人形姫と人形の国』が発令されました》
【運命クエスト】
『人形姫と人形の国』
参加条件
・『人形姫の館』に入る
達成条件
・『人形姫の館』を踏破する
失敗条件
・無し
達成報酬
・スキルポイント10P
光が薄れると、其処は……森の中。
「ふむふむ……」
気配察知等のスキルを使用し、周囲の状況を把握する。
先ず、真後ろに峡谷がある様だ。
ただし、峡谷に入って直ぐに迷宮の壁が存在する。
迷宮の壁は広範囲を円形に囲っており、僕がいるのは真南の小さな森の中。
真北に森に囲まれた城があり、円形の迷宮を十字に分断する様に森が存在している。
南東エリアは草原。南西エリアは砂漠。北西は湖。北東には町の様な物があった。
詳しい事は分からないが、四方のエリアにはそれぞれ強い気配が存在しているので、取り敢えずそれを倒せば良いのだろう。
それでは、チーム分けを行う。
草原エリアには、三巨像さん。冬将軍閣下。クラディ&ゼーレ。
砂漠エリアには、アルフくん。ルクスくん。宝石ゴーレムくん達。
湖エリアには、イェガと愉快な仲間たち。
町エリアには、クラウ一行。
エヴァは迷宮を縦断する森エリアを徹底サーチして、敵は皆殺し、特殊なギミックを発見したらその報告である。
僕は……まぁ……高みの見物と言う事で。
◇
探索を開始して間も無く。
草原、砂漠、両エリアで戦闘が開始された。
敵は、砂製の蜥蜴と草製の兎だ。
それと時同じくして、北の城の城門が開き、どう見ても城に収まりきらない程の木製ドールやゴーレム等の軍勢が溢れ出した。
溢れ出した中でも、特に目を引く敵は3人。
ミラードール LV500 状態:変化 《エヴァ・ハルモニア》
ミラードール LV500 状態:変化 《アルフラム》
ミラードール LV500 状態:変化 《イェガ》
武装も大きさもほぼ完璧にコピーされている。
流石にイェガやエヴァの魔力保持容量には遠く及ばないし、アルフくんもどきにレティとセラはいないが、それでも強敵なのは間違いない。
何より、エヴァの手数の多さ、イェガの主砲と無数の戦闘人形、アルフくんよりは劣るものの巧みな剣術を誇る戦士。それに加えてレベル100相当のゴーレム軍団。
アホとしか思えない程の戦力投下である。
更に付け足すと、各エリアには気配だけ見るとレベル400相当の戦士が存在しているし、雑魚敵も何気にレベル2桁後半から。
……多分此方のレベルに合わせて戦力が変化する設定だったのだと推測しておく。
何せ、迷宮が出た瞬間に行ってこの戦力だったら……苦戦どころか死線である。
取り敢えず僕が言える事は一つ。
皆、頑張れ。





