第24話 火の迷宮にて
第七位階上位
火の迷宮第二層。
出現する魔物は、先の3種に加えて、レッドゴブリンメイジ。レッドホーク。の2種。
新たな環境効果として、熱湯が噴き出る穴が追加された。
お湯が溜まった水溜まりもあり、視覚的にスライムに気付き難い仕様にもなっている。
初心者向けの迷宮としては、お手本みたいな迷宮と言えるだろう。
「『命中!』 って、あ……」
「熱ちぃ!?」
「あわわわっ!?」
「伏せてっ! はぁ!!」
だめだこりゃ。矢は当たらないし桃っ子は慌ててるしヒヨリンは燃やされてるし……このパーティー、ココネちゃんいなかったらもっとレベル低かったんだろうね。
そうこうしてる内に、後方から鷹が3匹飛んで来た。鷹は大体1匹での遭遇なので、割と珍しい布陣である。
「後続来るよー」
「『命中!』 お、当た——」
「『風刃』『風刃!』『風刃!!』」
「ふわわわわっ!?」
「『水刃!』 せぁっ!」
……ノアちゃんもねぇ……相手が遅いならまともに戦えるんだけどね。
ヒヨリンは結構積極的に戦うけど練度が低いし、アキちゃんは……目敏いけどイマイチ、非協力的だ。
まともなのはココネちゃんだけだね、うん。ちょっとテコ入れしようか。
「次からは僕もちょっと参戦するけど、その前に皆スキル取ろうか」
微量の補助効果でも無いよりはマシだ。
◇
さて、彼女等のスキル構成だが……ベースは各武術スキル。そこに別々の魔法スキル。それから『時計』『掲示板』『地図』等の便利スキル。
後は、ヒヨリンが『剣術』。ノアちゃんが『盾術』。アキちゃんが『射撃』。ココネちゃんが『体術』を取得していた。
各メンバーの残りスキルポイントは、おおよそ40。
他3人には『体術』を取得させ、ココネちゃんには汎用強化の『観察』を、次いで全員に『目利き』と『精密動作』を取得させた。
そんなこんなで二層目を抜け、辿り着いた三層はちょっとした広さの焼け野原。
この階層に出て来る魔物は、ファイアーイーグルと言うやや大きめの鷲だ。
これが1匹だけ空を舞っており、それ以外に魔物はいない。
前に来たタクメールによると、三層の小ボスは四層の物と比べるとレアアイテムのドロップ率があからさまに低いらしく、そのせいか三層で狩りをしている者はいなかった。
差し当たってメンバー全員に腕力、敏捷、防護を上昇させる補助魔法を掛け、いざ、開戦。
飛来するファイアーイーグルへ、先ずはアキちゃんの攻撃。
放った矢は引きつけ、または速度が足りず、易々と回避される。
次弾は、矢を警戒してか円を描くように飛んだ鷲に当たらない。
三発目を番える前に、ファイアーイーグルが火を吐きながら最接近してきた。
「ちょっ、後2びょ——うわぁいっ!」
「わわわっ!?」
「ひゃうっ!?」
慌てて回避する3人に対し、ココネちゃんは大きく一歩歩く事で攻撃範囲から脱し、火を吐きつつ離脱しようとする鷲へ攻撃した。
「『水刃!』」
放たれた水属性の刃は、鷲の胴体を捉え、墜落。
もう終わりそうなので『黒鎖』を使っておく。
「今ですっ!」
「ぬぉ〜っ、ちょっと距離あるっ……!」
「えぇいっ! 『命中!』 『命中!』 『命中』です!」
「あわわわっ。ま、待ってぇ」
第三層での戦いは、追い付いたノアが『衝撃』で鷲の頭をカチ割って終わった。
鳥系は敏捷高めな代わりに防御力低いのが多いからね。頭を割るのは有効な攻撃手段だと思うよ。
今回のMVPは、鷲を空から叩き落としたココネちゃん。
◇
問題の第四層に到着した。
何が問題かと言うと、四層には人が多い。
小ボスを狩って素材を集めている人達や、ボスに挑戦しようとしている人。
これ等を出し抜いてボスを狩るのは、ちょっと難しいと言わざるを得ない。
まぁ、その時は夜適当にクリアすれば良いが。
顔が割れてる僕は、フード付きマントを装備して髪と顔をがっちりガードしておく。
そんなこんなで第四層に入った……所で、先頭のヒヨリンが見知らぬプレイヤーに声を掛けられた。
「あー、君達」
「は、はい、何ですか?」
声を掛けて来たのは一人の男。
やや派手な火の鳥装備で、レベルは平均値より僅かに高めの34。
警戒するほどの相手では無い。
「ボスに挑戦する?」
「そ、そのつもりですが……」
「そかそか……うーん、まぁ良いか」
僕等を見回した後、少し悩む様な素振りを見せたが、何やら妥協したらしく、男は説明を始めた。
どうやら、野良でボスに挑戦するパーティーを集めていたらしい。
掲示板で募集したが思った様に集まらず、苦肉の策として少し時間を掛けて人数を揃えていた様だ。
僕等は最後のパーティーで、後十分以内に来なかったらボスに挑む予定だったとか。
尚、僕等に声を掛けて来た男性は、マイトと言う名前で土属性の魔法を使う片手斧使いだった。
身長は少し高めで、やや赤味の強い茶髪をしている。
「それじゃあ行こうか。ログアウトしてる人もいるし、急がなくて良いからね」
柔和な笑みを浮かべるマイト氏に連れられ、僕達はボスの元へと向かう事となった。




