第20話 天空に光を、大地に祝杯を
第七位階上位
イェガ探索隊が深淵を丸裸にしているのを余所に、天穹の確認を開始する。
天穹とは。
泡の様な壁に覆われた空の世界で戦う迷宮だ。
攻略者は、パフィ子軍団。
今、天穹は宙に浮いて繁殖する謎のキノコが大量発生して大変な事になっているらしい。
……人が来るまではそのままで良いだろう。
出て来る魔物の大半は飛行型だが、迷宮主がいるのは陸の上。
群れていた準ボス級はティタンと言う巨人で、ボスはハイペリオン。
太陽等の星の力を持ち、火と光、闇に高い適性を誇るハイペリオンに、パフィ子達では微妙に相性が悪く、撃破には相応の消耗を強いられた。
まぁ、その分パフィ子達の耐性スキルは大分強化された様なので良しとしておく。
報酬は、スキルポイント15P。マナ貨幣。泡沫の園。水泡の庭。空明天殻。巨人の栄光。風杯。風晶の種×10。天穹:引換券。シャスティアの大鉱脈:引換券。楽園の鍵:天穹。風耐性×10。疾風耐性×5。風属性。
ハイペリオンのドロップは、ハイペリオンの末節骨。
長さと形から見て、おそらく人差し指の先端だろう。
性質は光、または星、或いは太陽と言う訳で、シリウスとプロメテウスの補強に使う事とした。
泡沫の園、水泡の庭は、異空間を生成する魔道具だ。
形状はアクセサリーの類いで自在に変化させる事が可能で、園と庭の違いは内部空間の規模のみ。
チムニーファームとか隷獣の庭と同じ様に拡張機能があるので、広さの違いは少し頑張れば埋められる程度の差でしかない。
空明天殻は、端的に言って雲だ。
性質的には霧と何ら変わらないが、分類上は雲と言う事になる。
能力は、魔腕の様に攻撃が出来たり、纏わり付かせて防具にしたり出来る。
特に防御性能が高めで、衝撃吸収に特化している。
天道と同様に、一定以上魔力を込めて振るうとモコモコした欠片が落ちて、それを集めると下級の武器になる。
そして僕の手元には、敵を倒して出た赤モコモコと、天穹の雲の中にポツポツ混じっていた結晶質の黄色い光源から取り出した黄モコモコ、数少ない陸地の草場に隠れていた緑モコモコがある。
パフィ軍団はモコモコ捜索隊に変わった。
最後、巨人の栄光は、白い指輪だ。
この指輪は、素材をつぎ込む事で最大12種までの武装を生成する武具である。
俄かには信じ難いが……どうやら巨人の栄光は、信仰をエネルギー源にして神性を顕現させる力を持っている様だ。
顕現出来る力は12個。
流れる水の神性。
大海の神性。
風と嵐の神性。
大地の神性。
戦いと不屈の神性。
星の神性。
月の神性。
太陽の神性。
暁の神性。
秩序の神性。
歴史、または過去の神性。
成長と進化、または時の神性。
これらの神性に合致する魔物素材等を捧げる事で、巨人の栄光が信仰の依り代となる神器を生成する。と言う装備である。
これ単体ではただ器の大きい指輪でしか無いが、生成された神器は指輪から切り離して運用する事も出来るっぽいので……端材なんかを積極的に投入しよう。
信仰と神性については要研究である。
続いて、星隆の確認。
星隆は、一見するとただのデカい山。
それだけだと、獄峰の下位互換である。
しかし、実際には星隆とされる山には地脈の噴出孔が無数に存在し、膨大なエネルギーが満ち溢れている。
実際獄峰にも似た様な性質はあるが、星隆は獄峰以上に強大なエネルギーを持っている。
獄峰と星隆の難易度を環境的効果や出現魔物の戦闘力で比較すると……大体、おおよそ同じくらいになるだろう。
一般の声があればもっとちゃんと難易度を測れるのだが……当面は僕の配下達がサンプルである。
星隆の攻略に向かわせたメンバーは、僕の保有する戦力の半分くらい。
要は、他の迷宮の探索に適性が低いと判断した子達の殆どである。
一部は万が一の防衛戦力として残したが、ほぼ全軍での突撃と言えよう。
対する敵は……他と違って単純に強い。
基本的に搦め手無し。
肉体的に強靭であったり、適性の高い魔法に普通に優れていたり、戦闘技術が磨かれていたり。
どの迷宮の魔物も強力だが、星隆の魔物は基本しかない分基本が強い形だ。
戦力の大半を投入したのは間違いでは無かった。
各地の源泉を踏破し、辿り着いた山の山頂付近にいたのは、ランドヴェッティルと言う名の巨獣達。
ランドヴェッティルは多種多様な姿をしている。どうやらボスの眷属を総称してそう呼ぶらしい。
多数の巨獣を使役していたボスが、ベルグリシと言う名のけむくじゃらな巨人だった。
獣と呼ぶには余りに理性的で、原人と言うには余りに洗練されており、人と呼ぶには余りに野生的な見た目をした巨人である。
それと相対したのは、モルドと蜘蛛さんにミルちゃん。それから一部除く蛇達。
ベルグリシは主に肉弾戦に適した巨人で、高い俊敏性で接近し、その剛力で鋭い爪や拳を振るって来る。
剛毛を持つ為か防御力も高く、掠ったくらいでは全くダメージにならない。
そんなベルグリシと正面から相対したのが、獣竜のモルドと真竜形態のミルちゃんだ。
特にミルちゃんの戦闘力は流石の年の功と言った所で、前世は普通の竜形態しか出来なかったのが信じられないくらいに真竜形態の体を使いこなしていた。
モルドも負けじと食らい付き、それらを蜘蛛さんが援護する形で戦いは進んでいった。
途中グランド級の蛇君と毒蛇君が千切られたりしたが、風天蛇君とオピ蛇君と白蛇君は蜘蛛さんの援護のお陰で最後まで無傷だった。
ドロップしたのは、ベルグリシの毛の束である。何に使えと……網か、裂いて服を作ろうか?
報酬は、スキルポイント15P。マナ貨幣。赫怒千盾。殻土戦盾。断崖隔壁。貴き血統に祝杯を。土杯。土晶の種×10。星隆:引換券。オリハルコンの大鉱脈:引換券。楽園の鍵:星隆。土耐性×10。地耐性×5。土属性。
赫怒千盾は、赤い装飾が施された大きな盾で、千盾とある通り無数の赤い劣化コピー盾を生成する力を持つ。
対する殻土戦盾は、黄色い装飾が施された大きな盾で、劣化コピーを生成する力は持たない。
一枚の盾としては赫怒千盾に勝るものの、総合力では劣っているので……まぁ上位互換下位互換と言えない事もない。
断崖隔壁は旗の形をしており、突き立てた場所を中心に巨大な壁に覆われた何らかの施設を生成する事が出来る、持ち運び可能な街である。
影響範囲に施設の内容、壁の高さ、厚さ等は使用者の任意で変更可能で、デフォルトは土地次第で自動生成される。
目玉は温泉。
地脈の噴出孔付近に設置すると、地脈から溢れ出す高純度生命力を自動収集して調節し、それらを水に溶かした温泉を生成する。
高純度生命力と言う物がどの様な力を持つのか詳しい所は知らないが、魂魄の疲労を回復出来る事はイヴの行動で証明されているので、温泉に浸かれば精神力を多少回復させる事が出来たりする筈だ。多分。
貴き血統に祝杯をは、使用者の生命力を使って青い液体を生成し、それを飲んだ者に使用者の力の一端を授ける聖杯だ。
基本的に使用者より弱い者は使用者の眷属となり、強い者は影響を受けて多少変化が起こり、飛び抜けて強い者は少しの間だけほんの少し強くなる。
お手軽眷属生成聖杯であった。
他のアイテム、スキルは特に気になる物は無い。
これで確認は終了である。
迷宮を攻略して来た皆にはしばらく休憩して貰うとして……その後、選抜メンバーを城へと送り込む事としよう。




