第18話 怨念は鳴る
次は、冥宮。
この迷宮は、虫とアンデットの巣窟だ。
攻略を行なったのは、御馴染みのアンデット組。それからギガントスライムズ君達。
分裂した無数のスライム達が、これまた無数の虫や雑魚アンデットを駆逐し、一際強い個体をアンデット組が討伐する。
それがこの迷宮の攻略方法だ。
この迷宮は他と異なり、倒した魔物は小粒の魔石をドロップ品として出現させ、その死骸は当然の様に残る。
それを放置すると、損傷が少なければ元通りに動き出し、バラバラだったらくっ付いて動き出し、腐肉のミンチが山と積まれていたらぐちゃぐちゃくっ付いて大型のアンデットになる。
この迷宮の大敵は、充満する瘴気だった。
動く死体を殺して焼却し、バラバラにしてスライムに食べさせ、ミンチにして死属性の力で終焉を与える。
忌々しい虫共を駆除しつつ、そうこう進んでいると……辿り着いた最深部近傍にいたのが、これまた御馴染みのアンデットの巨人。
巨人のアンデットでは無く、道中発生するのと同様の無数のアンデットが集まって出来た巨人だ。
まぁ、これらは肉体の大きさはともかく質がそう高く無いので、難なく討伐出来た。
問題はボスだ。
——ガシャドクロ。
一見するとただの巨大なスケルトンだが……その密度が、質が尋常では無かった。
この世の全ての悪意と怨念を押し固めた様な、邪神の一歩手前と言っても過言では無い化け物。
下手をすると死後の賢神グリエルにも匹敵するだろう。
…………いやまぁ、実際にはエネルギー量的に一回り、技量的には二回り三回りくらい弱いがね。
アッセリアとルーレンが正面からガシャドクロと渡り合い、他のアンデット組がボスを削り取って、砕けた飛沫を弱いスライム君達が極僅かずつ分解して行く事で、どうにか迷宮主を撃破する事が出来た。
入手したアイテムは、ガシャドクロの頭骨片。
闇属性の力を溜め込みやすい性質を持つこの素材は、バロールの腓骨片で出来たパンドラに取り込ませた。
杖の先端にちょこんとついたそれのデザインは三日月型で、杖の大きさに合う様空間拡張で小さく見せているだけなので、その質量は割とデカイ。
つまり鈍器としても使える。
報酬は、スキルポイント15P。マナ貨幣。冥府の門。死出旅装。響怨の鈴。渇望する遺志。死杯。死晶の種×10。冥宮:引換券。死の源泉:引換券。楽園の鍵:冥宮。即死耐性×6。死滅耐性×3。魂滅耐性。
冥府の門は、例によって浮遊する球体。
珠の中には禍々しい両開きの門の装飾が施されており、使用時はその門が珠の外に出て来る。
珠自体は出現した門の真ん中に装着され、扉を開くと闇に覆われた空間の前に珠が浮遊する形だ。
能力はニライカナイのそれと似ており、此方は中に死骸を入れると暫く後にアンデット化し、珠の保護下に置かれる。
つまり、沢山殺してアンデットを量産してそれを門からドバーッと溢れさせる武器である。
死出旅装は、ベルトや金具が沢山付いた黒いレザーコートだ。
能力は、闇系統への耐性と適性。疲労、睡眠、精神、魔法等の耐性。中でも特に死への耐性が優れており、死神殺しの装備と言って良いだろう。
響怨の鈴は、人の頭骨を少し禍々しくした様なデザインの小さな鈴で、転がすとおどろおどろしい音が鳴り、振ると澄んだ音が鳴る。
能力は、音を聞いた者全員への精神攻撃。
幻視やら幻聴やらの幻術を掛け、任意の対象に幻覚的死を与える事が可能で、レベルが低かったり精神が未熟だったり元々弱ってたりすると、そのまま死ぬ事もある。
ただし……対象が『音を聞いた者全員』なので、敵も味方も関係なく、己すらも攻撃する自爆武器であった。
……尚、澄んだ音にはあり得ないくらいの浄化の力があり……響怨の鈴は……完全に浄化されて不可逆的に壊れてしまった。
機能がズタズタに引き裂かれているので、修復は先ず不可能だろう。
……どうなってるのコレ。
取り敢えず後で確認するから腰にでも付けておこう。
……気をとりなおして次、渇望する遺志。
これは、一見すると影刃と同じ力を持つ影そのものだが、基本的には手か触手か鎖にしか変形出来ず、触れた対象から自動的に生命力を搾り取るヤバイ武器だ。
ある程度の意思を持ち、使わないでいると勝手に動き出して獲物を狩る。
それすら止めて働かせないでいると、装備者への精神汚染が始まる。
そして僕に換装すると犬の様に順従になる。
他、杯や種、引換券はほぼ変わらず。
唯一、死の源泉と言うのはちょっと他と異なり、死属性を凝縮した液体の様な物が湧き出す泉が生成される様だ。
次は深淵の確認。




