第17話 命流の海
第七位階上位
先ずは原海から見て行く。
原海は、広大且つ不可思議な海が舞台の迷宮だ。
この迷宮最大の敵は、海流。
何が厄介なのかと言うと、その海流というのは意思を持ち、原海を巡って多様な生命体を急速進化させて行くのだ。
ニライカナイの魔法と同じ力が、意思を持って動いている訳である。
その結果、原海には多種多様な姿形、能力を持つ海洋魔物が大量発生していた。
ボスは、フレールと言う水棲巨人で、それがいた海底近傍にはエーギル・ロードが群れている。
入手したアイテムは、フレールの牙。
迷宮クリア報酬は、スキルポイント15P。マナ貨幣。生命の軌跡。英雄の墓標。始原命流。古代命流。水杯。水晶の種×10。原海:引換券。ナイオーネの大鉱脈:引換券。楽園の鍵:原海。水耐性×10。流水耐性×5。水属性。
フレールは白い体毛の生えた巨人で、虎獣人らしきモノをベースに、ヒレがあったり毛が触手みたいに動いたりする。
巨人は総じて筋肉質な場合が多いが、フレールはそれに輪を掛けて筋肉さんで、顔が虎っぽいから何処と無くレーベに似ている。
そんなフレールと戦ったのは、肉体の損壊だけは完全回復しているクリカ。
クリカを原海に出陣させるに当たり、水底怪魔をクリカの剣鋏に取り付けハルバートの様に加工。未研究の誕生世海を結晶背甲の中心に埋め込み、その巨大結晶に黄泉の水底を換装で装着した。
ゴツイベルトのせいでクリカがチャラクリカになってしまったが、更に其処へ黒霧をインストールした生産核に理論結晶・深化の怪物を刻んでイヴの神血を封入した物を装着させてある。
最後の奴は装備と言うより寄生と言うのが正しい形で装備されているが、それはともかくとして……これによりクリカは、イェガに匹敵する程の軍勢を使役出来る様になった。
原海は多種多様な生物が存在したので、支配した水棲魔物の総数は5000を越え……その7割がフレールとの戦いで肉片になった。
……うん、フレールはね、強かったんだよ。
クリカ自身万全では無く、装備も僕が調整した訳では無い、黒霧一体分の演算補助があるとは言え、それも各種装備の能力維持、それらとクリカへのアジャストに演算力を使用していたので、戦闘面はやや弱体のクリカのみだった。
そして、フレールは他の迷宮主と同様に飛び抜けて強く……やはり苦戦は免れ得なかったのだ。
さて、そんな強いフレールを撃破してドロップした素材、フレールの牙は……水底怪魔の力で使役され、誕生世海を応用した生命力の奔流でクリカ用に調整され、深化の怪物の力でクリカと融合した。
フレールの牙の力は、殺した対象を水棲のアンデットとして使役すると言う物。
これにより、クリカは地上の生物をも合成獣の素材として使用出来る様になったのである。
詳しくは後で調整しつつじっくり確認するとしよう。
報酬である生命の軌跡は、性質的には誕生世海や黄泉の水底と似た様な物だ。
形状は満月と新月を模した装飾のピアスで、2体までの生物を保護し進化を促す。
ただし、無秩序な強制進化では無く、魂の成長に見合った進化を与える事が出来る。
要するに、2体までに限定された金の本と言う事である。
次の英雄の墓標は、これまた金の本と似た性質を持つ、浮遊する石版だ。
石版と言うよりも墓石と言った方が良いだろうか?
此方は、生命の軌跡の様に進化を促す力は無く、死した肉体を再構築する力も弱いが、その代わりに100体までの魂を保護する事が出来る。
クリカの背中に突き刺しておこう。
最後、始原命流と古代命流は、原海を流れていた謎の海流と同じ物だ。
彼の流れは、水中なら水流となり、空中なら風となる。その本質は膨大な生命力の塊だ。
ただし、単純なエネルギーの塊であれば、それによる進化は大きく歪み、崩壊を始める筈。
魔覚でざっと見た所、命流による強制進化が安定している理由は、命流に流動と言うべき力が働いているからの様だった。
原理は判然としないが、おそらく何らかの信仰の力を宿しているのだろう。
報酬で手に入った2種の命流は、原海を流れていた命流と同じ様に生物を強制進化させる力を持つ他、単純な生命エネルギーを利用して急速回復をする事も出来るし、生属性魔力を魔力として使用する事で魔力タンクとして扱う事も出来る。
利便性は非常に高い。
次は、冥宮の確認。




