第40話 vs.悠久機神・シャングリラ
第七位階上位
《【探索クエスト】『楽園の鍵:神木』をクリアしました》
入手アイテムは、『命露蜜珠』『命露玉』『暴風の天翼』『疾風の翼』、『森杯』『森晶の種×10』、『神木:引換券』『イロミツタマの植林場:引換券』、『楽園の鍵:神木』、スキルは『森耐性×10』『森樹耐性×5』『森属性』。
神木はその名の通り、一本の巨大な木がそのまま迷宮となっている物だった。
これこそ世界樹だろうと思わなくも無い。
天辺付近にいたボスは、ヴィゾーヴニルとヴェズルフェルニルの幻影。
折角なので、アルフ君にレヴァンティンを抜かせて戦わせてみた。
セラナトゥスには一時の休憩であろう。
ドロップは、ヴィゾープニルの尾羽。ヴェズルフェルニルの羽。
大雑把な能力判定によると、尾羽には森属性に高い適性があり、太陽の力と強い火属性への耐性がある。羽には強大な風属性への適性があった。
入手したアイテムを確認する。
『命露蜜珠』と『命露玉』は、イロミツタマから出る命露を生成するアイテムだ。
命露は、謂わば樹液。それも神霊金属同様に、強い力を持っている。
イロミツタマは命露が満たされている、即ち生命力に溢れる木の事である。
命露はそれだけで生命力を回復させる事が可能で、強力なポーションの作成に使える、命露蜜はその命露の中でも特に上質な命露だ。
通常の魔力水なんかと比べると、込められる力の量が段違いである。
天翼と翼は、嵐の如き暴風を起こす事が可能な翼と、スピードだけは暴風の天翼と同じ疾風の翼である。
他は特に真新しい物は無い。
攻略は主に精霊帝達にやって貰い、彼等はこれで休んで貰う事にした。
流石に超強化アルカディアとの戦闘は消耗が激し……いやまぁ敢えて負荷が掛かる様に難易度を調整していた訳だが。
ともあれ、次の機神に挑もうか。
◇
次は、悠久機神・シャングリラ。
氷山の中に眠る機神だ。
差し当たって……態々山頂の穴から入って遠回りするのも何なので、戦場を此方優位にする為にも、氷山を溶かした。
ここでもアルフ君とレヴァンティンに活躍して貰ったので、アルフ君は本日はお休みである。
悠久機神・シャングリラは、氷山の底の中心におり、白馬に跨る騎士の格好をしている。
それに対する此方の戦力は、ウルル、リッド、イェガ、メロット、クリカ、サンディア、モルド、蜘蛛君、レイエル、ネロ、ミルちゃん、レイーニャ、ルカナ、テリー。
それから、大分消耗している筈だが食い付いて来ている、アスフィン、リェニ、エヴァ、アトラ、ルム、ロッテ。
見守り役は、白羅、レーベ、アルネア、セバスチャン、それと……パフィ子軍団も連れて来てある。
さぁ、シャングリラはどんな切り札を持っているのかな?
◇
迫る氷結のランスの一刺を、強大な属性魔力毎素手で受け流す。
シャングリラの隙だらけな首目掛け、心器の槍を突き込んだ。
血の代わりに飛び散ったのは、氷属性の神霊金属。
ギリギリの所で避けられた為、傷は浅く、すれ違う頃には再生が完了している。
ウルルは僕の言葉を待つ事なく、即座に反転してシャングリラの背後に付いた。
——将を射んと欲すればまず馬を射よ。
心器は僕の意思に応え、形状をランスからウォーピックへ変形させた。
突属性には幾つか種類がある。
その中でも、硬い物に突き刺す事を目的とした細分属性、刺属性のみを生成し、鶴嘴の先端に込める。
ウルルが宙を蹴り、高く飛び上がった。
落下の勢いと合わせた迅斬の鶴嘴を、馬の臀部へ振り下ろす。
——ガギィィンンッッ!!
響いたのは金属音。
寸でのところで、シャングリラが背後へ回した氷結のランスに勢いを殺された。
——シャングリラの技量は凄まじい。
今も、僕の迅斬術に対応し、ランスが砕け散る事まで想定して、槍のみで極力威力を落とせる様な受け方をした。
馬も然る者で、咄嗟に空中を蹴り進むのを辞め、落下する事でダメージを回避した。
ウォーピックの刃は氷結のランスから飛び立った魔力で凍りつき、結果馬に当たる頃には威力の8割を削がれていた。
僅かに与えられたダメージも、まるで何事も無かったかの様に宙を駆け、此方へ振り向く頃には砕けたランスも馬の傷も元通りに戻っている。
迷宮中に存在する氷精霊から力を得ているのだ。
仕切り直しである。
そもそも何故僕とシャングリラが戦っているのか。
それは、シャングリラ起動時に放たれた思念が原因だ。
曰く——『我、尋常なる決闘を望む者なり! 人獣一体の神技でもって、我を打ち倒して見せよっ!!』と。
……まぁ、全員でボコボコにしてもちゃんとした報酬は貰えるだろうが……エクストラ評価に期待しちゃうよね。
そんな訳で、『人獣一体の神技』を持って奴を討たねばならなくなった訳だ。
さて、では『人』と『獣』をだれにすれば良いか?
『人』の候補は、白羅、レーベ、アルネア、セバスチャン。
『獣』の候補は、ウルル、ネロ、ミルちゃん。
このうち、レーベは単独ならともかく騎乗戦では騎獣に加減が出来ないから却下。
アルネアは、単独で何でも出来るので騎乗戦は嫌い。
白羅は、単独ならば神技と言うべき完成度だが、人獣一体の神技は難しい。
セバスチャンは、オールラウンダーで騎乗戦も十分熟せるので、有力候補。
獣のミルちゃんは、図体がデカいので不利。
ネロは、形状的に騎乗したら前が見え難いので却下。
ウルルはスマートで足も速く、最有力候補。
さて、じゃあセバスチャンとウルルのコンビでやるべきかと言うと……これが微妙に相性が悪い。
セバスチャンは吸血鬼で月光から力を得る事が出来るのに対し、ウルルは月から力を収奪する種族だ。
それは些細な影響でしか無いが、相手は騎士の機神。
騎手を僅かでも弱体化させる可能性があるなら、そのコンビは控えるべきだ。
……それに、騎士だからかシャングリラだからか知らないが、奴は多少の聖や光属性の力を持っている。
そんな訳で、僕とウルルのコンビになったのである。
では装備はどうするべきか。
正直、僕が保有する多数の武具をつぎ込めば、機神の1体や2体軽く捻り潰せる。
しかし……それで決闘になるのかと言うと……イマイチだ。
エクストラ評価の『高みの見物』を取れば、多分スキルポイント1Pくらいの価値はあるが、それを放棄する以上、もっと価値の高い評価が欲しい。
であれば、何事も慎重を期する必要がある。
装備は、僕の心を映す武器、心器の装具。
追加装備は、敵を確実に削る為、死神の星珠。
スキルは『人』の内なので、僕の装備は実質死神の星珠だけだ。
数合の打ち合いを経て、改めてシャングリラと向き合う。
僕の手札である『人』『獣』『武具』は、シャングリラの手札である『人』『獣』『武具』『環境』にやや劣る程度。
決め手は騎手の技量。
僕とシャングリラ、どちらが上か——
——尋常に勝負と行こうじゃないか。





