第31話 長い夜の始まり
第七位階中位
皆仲良く夕食をとり、鈴守が保有する温泉に入った。
これが古い文献に記される様な時代なら、鈴巫女は数日断食の上に静鈴湖でしか身を清める事が出来なかったらしいが、何年もの時を掛けて悪習が緩和されていった。
今は、僕が舞う当日、朝に桃食べて昼抜いて舞う前に静鈴湖で身を清めるだけで良い。
鈴守の温泉には、大浴場が3つある。
女性用、男性用、当主用だ。
当主用には、当代の鈴守当主とそのお付きの鈴巫女のみが入れる。
今回は、人数が増えた事もあり、リナ、アヤ、リンカちゃんの三人にはちゃんと女湯に入って貰った。
そんなこんなで、お風呂上がりに皆で軽く遊んでから、今日は解散と相成った。
僕は僕の部屋に戻り、色々寝る前の諸業務を終え、早速アナザーを開始する。
◇
最初に狩る予定の獲物は、涅槃機神・ニルバーナ。
戦闘を行った訳では無いが、魔覚で見ればその大まかな方向性は理解出来る。
ニルバーナは、防御と無効化に特化した超防御型の機神だ。
倒すにはニルバーナの膨大な魔力を削りきらねばならない。
涅槃仏の形をしたニルバーナは、どうやら複数属性が混ざり合った、言うなれば神霊合金製の巨人だ。
一見するとアトランティス程では無いが十分な巨体を持っている様に見え、その実合金には神珍鐡が含まれているのでやっぱりアトランティスよりデカイのかもしれない。
その上……アトランティスの時はあからさまに環境が機神に味方していたが、湖の迷宮とあっては一体どの様な補助効果があるか分かった物では無い。
場合によってはアトランティスよりも強大な力を持っているかもしれない……と考えて事に当たるべきだろう。実際はある程度均等だろうが。
参加するのは、古参の動物組。合成獣製造施設にいた子達。アルナン含む樹精5人組。魔宝石ゴーレム。クラウ率いるオートマタ一行。2鬼。三聖獣。クレヴィドラグと蟹三兄妹。狐母娘。2蛇。グリエルの直弟子達。サキュバス姉妹。レスタ。キース。アトラ。ミスティ。アラビス。鎌嵐。エヴァ。ウルラナ。ロッテ。
合計にして302体の、最低レベル380以上に至っている猛者達が参加予定だ。
装備による強化分や、騎士団、クラン等の強化効果、戦闘開始時に付与する強化魔法で、全員がレベル400半ば程の力を有していると言って良いだろう。
更に、ワーカーゴーレム達を現場復帰させたので、仕事に出ていた吸血鬼達も戦闘に参加出来る様になった。
一応、ニルバーナは比較的光属性が強めなので、吸血鬼やアンデット組は大事を取って戦闘には不参加だが、見守り役はさせる事とする。
吸血鬼達以外の見守りは、最古参の一行や、ルカナとテリーのグラシア家。白雪と氷白の氷雪精霊。六精帝と水精三姉妹。リェニ&ルェルァ。アルネア。レーベとリオン。白羅と桃花。等々のかなり強めのメンバーだ。見守り役一行だけで十二機神と渡り合えるくらいの布陣である。
尚、爺様やザイエ、エルフ姉妹、シスターアルメリアは不在だ。残念。
と言う訳で、最後の調整を経て、時を待ち、機神に挑む。
◇
《【伝説クエスト】『聖大樹の遺志』をクリアしました》
【伝説クエスト】
『聖大樹の遺志』
参加条件
・ルテール氏族の依頼を受ける。
達成条件
・聖大樹の遺志を継ぐ。
失敗条件
・聖大樹の遺志が潰える。
達成報酬
参加者報酬
・スキルポイント5P
・ロジックポイント10P
・魔力:貨幣500,000P
・道具『聖大樹の葉』
参加者貢献度ランダム報酬
貢献度100%
貢献度100%
・道具『浄化の小槌』
・付与結晶『清浄化』×5
・外装『魔導外装・聖木の棺』
エクストラ評価報酬
魂の継承者
ボス『グレーターハミリオン』の捕獲
・スキルポイント3P
・スキル結晶『森属性』
——時は来た。
派遣していたワンワン軍団+αが聖大樹の元へと辿り付き、帰還したのだ。
ワンワン軍団は聖大樹の側に居たグレーターハミリオンを小突き回して戦意を削ぎ、僕が遠距離からそれをテイムした。
その後、ネロやウルル等の上位が焼け落ちた聖大樹の元に残り、他が生き残りの探索に向かった。
他が生存者の探索をしている一方、ウルルはインベントリスキルを使った遺体の回収をして貰い、現れた死に掛けの聖大樹の分霊を、転送したアルナンに魂合した。
死んだ聖大樹は、聖大樹の遺志に従い、完全に死んでいる部分は大地へ還元する。
……僅かな生きている部分はアルナンと四月一日妹の力で纏め上げ、1つの苗木へと変えておいた。
聖大樹の中にあった『樹霊石』と言うアイテムは、件の苗木の中に埋め込み、アルナンと魂合させた聖大樹の遺志の力を少し注いで安定化させてある。
これをエルフ達に育てさせれば、やがては聖大樹の遺志を受け継いだ新たな聖大樹が生まれるだろう。
聖大樹の処理も終え、エルフの里にあった様々な道具と遺体も回収し、生存者102名を連れて、ワンワン軍団は帰還する事となった。
夜更けと言う事で、生存者達は眠らせて鍛錬島の屋敷に転送した。
明日の昼頃にインヴェルノに送り届ける事とする。
各種準備と確認を終えたので、早速ニルバーナを狩るとしよう。





