表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化】錬金術師ユキの攻略 〜超天才美少女(?)が、世の理を解き明かし塗り替える!〜  作者: 白兎 龍
第一章 Another World Online 第十二節 楽園の守護者の攻略

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

750/1558

第11話 静鈴湖と鈴護の獣

第七位階中位

 



 この世ならざる地を見通す。


 故に鈴御霊は人へその瞳を見せはしない……らしい。


 ……目隠しするのはおかしいだろと思わない事もないが。



 初代鈴御霊であるヤヨイは、そこの所疑問に思わなかったのだろうか?

 いやまぁ、ヤヨイ、サトリ、僕と、目が見えなくても何ら問題無いのが続いているが為に消えない半世紀程度の伝統であるが。


 まぁ、ヤヨイの時代から悪習の改善、見直しが推し進められていたので、今後の鈴守の子孫が目隠しすると何も出来ない者達なら直ぐに改善するだろう。



 そんな訳で、今代の鈴巫女であるアヤとリンカちゃんの介添えを回避し、僕は静鈴湖(せいりんこ)で身を清めた。


 静鈴湖は御鈴山のやや高い場所にある上、見渡せる程の広さしかない湖には山から出たばかりの湧き水が貯まり……凄く冷たい。

 昔は冬だろうとお構いなく此処で身を清めないといけない悪習があったらしいが、今は夏の暖かい日のみになっている。

 しばらくは快晴が続くので、祭り中は毎回静鈴湖に行かなければならないだろう。


 また、此処は位置的に一般人が来る事はあり得ないが、完全に閉鎖されている訳でも無いので、極稀に信心の薄い人や自然に飛び込むやんちゃ、またはおてんばな子供が辿り着く事がある。

 それでも行水の折に入って来る様な事は先ず無いが……その確率は決してゼロでは無い。


 今や巫女頭候補筆頭にまでなったユミも、一桁の時はおてんばが過ぎる小娘で、僕の行水中に静鈴湖に迷い込んで来たものだ。



 いつも通りささっと且つしっかり身を清めれば、後は祭りまで殆ど仕事は無い。


 広い屋敷の中を探索するのも良し、巫女や宮仕に紛れ込んで仕事をするも良し、世界各地から送られてくる祝いの品を物色するのもまた良しである。





 鈴御霊用の青い袴は、目立つのでパス。


 そもそも祭り中でも無いのに一番目立つ服装になるなど愚の骨頂。

 行衣から普段着に着替え、目隠しの布を腰に巻いて静鈴湖の更衣室を後にした。


 無駄に広い鈴守の屋敷と静鈴湖は石の階段で繋がっているが、其処には間違いなくアヤかリンカちゃんが待ち伏せしているので、森の抜け道を通る途中——


 ——熊に遭遇した。



「む……熊太郎……」



 冠成(かんなり)小人熊(こびとぐま)


 冠成の各地、鈴守神社が有する山や、十境の森などに生息する、成体になっても小型のままの熊。


 その中でも、熊太郎はリンカちゃんのペットであり、首回りの白毛と額にある半月型の模様が特徴の小人熊だ。



 久し振りに見たが、変わらず壮健そうである。



「ふぐぅ」

「よしよーし」



 彼は見張りだ、リンカちゃんの犬である。


 大声を上げられる前に無効化しなければならない。

 でないと、リンカちゃんの鋭い耳目で場所を把握され、健脚剛力で僕を再度ゲットしようとするだろう。


 流石の僕でも、準僕のアヤと野獣が如きリンカちゃんの2人を前にしては、傷付けずに無力化するのは困難を極める。


 よって、熊太郎には此処で舞台から降りて貰おうか。



 しばらく熊太郎を撫で回していると、それは現れた。


 ガサガサと茂みを掻き分ける音がなり、ヒョコッと顔を出したのは、1匹の子狐。

 額に熊太郎と似通った模様のついたそれは、リンカちゃん二の矢。コン一郎。


 正式名称、冠成五鈴狐。


 1匹いたら5匹はいると思えが特徴の狐である。


 つまり——



「——囲まれた、か……」



 顔こそ出さないが、周囲の茂みからはガサガサと音がなっている。

 先程まではほぼ無音で接近していたのに、此方が気付いている事に気付くと態と音を立て始めた訳である。


 ふと、見上げた空には、冠成の山奥にしか生息しない巨大な白い鴉、白扇宮鴉がくるくると回っていた。

 大きな体に見合う強靭な足には、リンカちゃんお気に入りの良く光を反射するガラス玉が括り付けられており、それがイコール彼の鴉がリンカちゃん三の矢。カー助である事を表していた。



 ——鈴護は獣使い。



 人の身で逃れる事は難しいと言わざるを得ない。


 ならば——



 ——僕は森の中を駆け抜ける。



 ガサガサと言う音が僕の周りを追随し、空では僕の速度に合わせたカー助が僕を追い掛ける。


 程なくして森を抜け——



「——ゆっきーゲットォー!」

「ふ、逆だよ」

「はにゃ?」



 僕に抱き着いた怪力のリンカちゃん。


 敵の総大将(・・・)



 彼女が使役する動物全員を無力化するよりも、総大将たる彼女をヤッてしまえば、簡単に全て収まるのだ。





 アナザーでも無いのに動物と戦い、久し振りに従姉妹とイチャイチャした所で、早速祝い品の物色に進む。


 リンカちゃんは別に()ってしまった訳ではなく、無力化に追い込んだ訳でも無い。

 要は、僕の行動の邪魔をされない様にすれば良いのだ。


 一番良いのは相手にしない事だが、それが不可避ならば致し方無し。



「ゆっきー……おっぱいおっきくなった?」

「ならない性別だよ」



 ……いやまぁ、最近怪しくなって来たが。少なくとも見た目で分かる様な変化は幸い無い。


 アホな事を言うリンカちゃんを連れて、砂利の敷かれた庭を進む。

 目的地は静鈴湖から西へ向かった場所にある、大型冷蔵室が備えられた倉庫。


 僕の行動を読んで倉庫前で待っている筈のアヤを正面突破する。



 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
販売サイトはこちらから
『インプレスブックス』
8月12日、発売!

永遠未完『魔物解説』……ネタバレ含む。

よろしければ『黒き金糸雀は空を仰ぐ』此方も如何?
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ