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水場へ向かって

(ララビィは死んだ。甘沢に殺された。なのにあいつは生きている)


(お前は甘沢を、その仲間を許すことが出来るのか?)


(ララビィの仇を討て。ララビィの怒りを思い知らせろ!!)


「――はっ!!」


 言い知れない気持ち悪さのようなものを感じて目が覚めた。背中が汗でびしょびしょだ。なんだか悪い夢を見ていた気がする。


「くぅ~ん?」


 俺が急に起きたせいかレイドッグが横になったままこちらを見ていた。

 既に太陽が東の空に登っていた。


「レイドッグ、皆を起こせ」

「わん」


 レイドッグが皆を舐めて起こしていく。全員疲れていたのか眠たそうにしているけど水場までどれくらいかかるかわからない。朝食を食べたら出発しよう。

 野菜が手に入ったので凝った物を作りたかったが、早く水場に向かいたかったので作ったのは簡単な肉野菜炒めだ。味付けは塩だがやはり野菜があるだけで肉だけの時よりも美味しく感じる。


 30分ほど食休みとった。そろそろ出発しよう。


「カー、昨日見つけた水場に案内しろ」

「くぁ」


 俺たちが見失わないよう低く飛ぶカー、その後ろを西に向かって走り出した。



 

 日が真上に来るまで休憩を挟みながらも走り続けたけどまだ水場にはついていない。カーの見つけた水場はどこにあるのだろうか?

 次の休憩のタイミングで昼食にした。急ぐ気持ちはもう無かったけど走りつかれてたのでここでも料理は簡単に焼いた肉と生の葉物野菜だ。ここでもきちんと食休みを取った。


 更に1時間くらい走りつづけて、やっと大きな川が見えてきた。飛んでいるカーも俺の指示無しに高度を落とし始めている。あそこが目的の水場で間違いないみたいだ。

 俺は逸る気持ちを抑えきれず走るスピードを上げた。そして、川の近くまで来たところで背負い袋を下ろして川に足を突っ込んだ。……流れが結構速いな、あまり奥までいかないようにしないと。

 今度は全身で入ると包丁で切らないように(・・・・・・・・・・)気をつけながら左手で服についた血の汚れをこすり落とす。乾いて硬くなっているせいで落とすのに時間がかかるが、このままだと警戒されて町に入れないかもしれないから必死に洗った。


 血の汚れが目立つ箇所を何とかきれいにして岸に上がる。今日中に町に入りたかったけど既に15時になろうとしている。これじゃあ今日中には戻れないだろう。

 かといってここで野営をすると明日町につく時間が遅くなってしまう。疲れているけど歩けないほどじゃないから少しでも町に近づいておこう。

 最後に革の水筒と鍋に川の水を汲んで背負い袋にしまって川辺を後にした。


 歩いてみて気づいたけど、見たこと無い魔物がいっぱいいる。今までは空を飛ぶカーを追いながら走っていたから見逃してたのか。

 今見えているのは牛と鶏だ。仲間に出来れば牛乳や卵が手に入るかもしれない。それに肉も気になる。余裕が出来たらまたここに来よう。

 その後も蝶や植物の蔓の魔物を見つけながら日が暮れるまで歩いた。どこまで近づけたかわからないけど、今日はここまでにして野営の準備だ。

 夕食は鍋の水を使ってロールキャベツだ。まずはキャベツを剥く。生のまま剥くのは大変だが芯を包丁で切ってから剥けば剥きやすい。ちょっと破けてしまったけどまあ問題なしだ。剥いたキャベツは水を沸かした鍋でひと茹でして取り出しておく。

 次はスープだ。コンソメは流石に作り方を知らないのでトマトをそのまま1個、潰しながら煮込んで後から皮を取る。取り出した皮はララビィ……はもういないからレイドッグにあげよう。塩コショウで味をととのえたらスープは完成だ。

 次はタネ――ロールキャベルの中身だ。確かどこかでひき肉にはスネ肉が向いていると聞いた気がするから、使う肉ははワイルドホースのスネ肉。これにフライパンで炒めたみじん切りの玉ねぎと味付けとつなぎとしての塩を入れてこねる。こねた肉をキャベツで巻けば後は煮込むだけだ。鍋の中にキャベツの端が下になるようにして入れていく。

 煮込んでいる間に魔物達のご飯も作る。といってもミンチにした肉にみじん切りにした野菜を混ぜるだけの簡単なものだ。まあそれでも、やっと料理らしいものを作ってあげることが出来た。

 その日の夕食、俺の作った料理を魔物達は嬉しそうに食べてくれた。血がご飯のコウとモリーは食べられなくて残念そうにしていたけど、いつかこいつ等にも何か作ってあげたいな。

 ロールキャベツも美味しくできた。材料が足りないので肉はちょっと硬かったし、スープは何か物足りない感じがした。でも逆を言えば硬めの肉は肉を食べてるって感じがするし、スープはトマトの甘みが強く感じられて美味しかった。

 

 夕食を終えて俺は毛皮の上に横になっていた。今日の抱き枕はレイドッグではなくリザルドだ。ベストな抱き心地だったララビィがいないのでいろんな魔物を試している。レイドックは硬いうろことスベスベプニプニのお腹の感触が心地いい。そして、俺の首にはいつも通りモリーが噛み付いている。

 ……明日には町に入れる。まずは持っている素材を売って食材を買おう。俺の装備も見直したいし、こいつ等用の装備もあったほうがいいかもしれない。特にゴブにはいい槍を買ってやりたいな。


(ララビィの仇を討て! 甘沢達を殺せ!)


 そうだ、甘沢達も探さないと……。

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