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「職能認定及び素材安定買取所」略して「職安」



 職能認定及び素材安定買取所。


 俺達の向かっている場所は此処になる。詳しい業務なんて覚えてないがスキルを覚えたり、依頼を受けたり、素材を売買する場所だと覚えておけば問題は無い。


 矢鱈と長い名前なんで、専ら職安と呼ばれている。人によっては職安としか呼んでない人も多いから通じなくたって慌てる必要は無い。


 さて、あまりお世話になる事は無いが職安の大事な役目に職能認定てのがあって、俺達が何が出来ると公的に認められ大まかにどんな職に関わるかを調べ、認定してくれると言う仕事がある。


 調べた結果を就労タグと言う道具に記載、簡易の身分証明として利用出来るてー訳だ。


 勿論、以前の住処。テイケンレッツでは俺も持ってたが焼け落ちた家の中……。どうせ熔けちまってるだろうから作り直す事にして門番をスルーした訳さ。


 長々としたおじさんの説明を聞き流しつつ、ちょっとお説教もされて面倒になったので脳内で補完しといたのでもう平気でしょ?


 余裕!


 顔だけは平静を装いながら、聞いてもいない俺の目の前にタグが出される。所持スキルは秘匿、功績は引継ぎが認められたから俺だけは元々のランクで皆は最低のGからに戻されてた。不便だね。


 ▽ノルド▽


 性別:男性

 年齢:33

 職能:旅団隊長職・騎士・下位魔具技師・商人・料理人

 得意武器:長剣・盾

 功績:A


 ついでにメンバー全員の分も発行したので以下。


 ▽アギラ・オ・ルーナ(アギラオ)▽


 性別:女性

 年齢:19

 職能:ボーカリスト・戦士・接客

 得意武器:鈍器全般

 功績:G


 ▽フォルク▽


 性別:男性

 年齢:25

 職能:フュージョニスト・作曲家

 得意武器:なし

 功績:G


 ▽アイリン・津・マリ▽


 性別:女性体

 年齢:*

 職能:ギタリスト・戦士

 得意武器:槍・小楯・魔法

 功績:G

 特殊:地・精霊


 ▽シンタ▽


 性別:男性

 年齢:18

 職能:高級斥候・魔術師・御者

 得意武器:双剣・遠距離武器・魔法

 功績:G


 ▽シャリナ▽


 性別:女性

 年齢:16

 職能:ガンナー・格闘家・接客

 得意武器:射撃武器・爪・格闘

 功績:G

 特殊:化創士


 ▽マリナ▽


 性別:女性

 年齢:8

 職能:下級治療師

 得意武器:なし

 功績:G


 シャリナは外見に誤魔化しようの無い、猫耳と猫目、長い尻尾があるので化創士である事を素直に記載しておいた。こう言う事を隠してると正しく評価されないから後で要らん時に苦労すると言い含め本人にも納得して貰った。


 残り、本人確認の為個別に受ける認定なので、先に終えた俺はシンタを伴って素材カウンターに向かい移動中に貯めた素材を提出する事に。


 量は中々に多いけど今回は驚く物、貴重品も無いので穏やかに売買が進んだ。途中、「上手く処理出来てますね、好感が持てます」と言われて、シンタが照れていた。


 俺から見ても文句の付け所が無いから当然だな♪


 後ろではまだ、あーでもない。これで良いの? とか言いながら書類に四苦八苦しているアギラオ達の声がする。まだ時間が有りそうなので購入用の素材を眺めて回る。

 小結界の張られた陳列所に種類別に素材が並べられていて飽きない。シンタには先に宿取りを任せて物色に戻る。


 そういや、化け物状態のシンタに剣を折られたなと思い出し刀身を抜く。無残に半分にもげた剣を見て治りそうだと思い素材と見比べ、必要そうなのを買い取り籠に入れていく。


 これ位なら下級レベルのスキルでも修理に使えるのだ。


 シンタの魔法に必要そうな素材はあいつの【積載】に残ってるらしいので気にしなくても良いだろうと思いながらちょっと俺の趣味の物も買い込んでしまう事にした。


 そんな事をしながら待つ事、数十分。


 ようやく合流して来た皆でシンタを待ち、取った宿に移動する事に。


「おっと、いけね。門番にタグ見せに行かにゃならんね。俺がひとっ走り行って来るわ」


 すっかり忘れてたが行かないのはもっと悪い。宿の名前と場所を聞いて俺だけ門に向かう。夕暮れ時とあって列も疎らだったので直ぐに取り次げたのはラッキーだった。


「見掛けによらず律儀なんだな」と笑われたが、どっからどう見ても律儀でしかないと思わない?


 若干憤りつつも用事が済んだんで、さっさ帰る。


 途中、悪い癖が出て見掛けた魔具屋の暖簾を潜った。


「こりゃまた、随分と年季の入った店だな」


 綺麗に片付いているが用心が薄い……。


 店番の居ないのを良い事に、商品をじっくりと観賞する。中には「おおぅ」と唸る程の品が有ったが手の出る値段じゃない。


 悔しい。素直にそう思う。


「お気に召したものはございますか~?」


 思わずビクッとする俺。


 直ぐに居住まいを正して、のんびりニコニコ笑う女性に挨拶する。


 悪い事してないのに物凄くビビッた。


 けど、持ち前のお茶らけ精神で即応して陳列商品の感想を滔々と喋る。最初は俺の熱心さに気持ち引いてた女性店員さんも次第に乗ってきて意気投合、更に秘蔵の品なんかも見せて貰ってマニアな会話も大分飛び出す。


「姉さん、知識人だね」


「貴方こそ何処でそんな知識を?」


「うふふふふふふふ」

「あははははははは」


 久しぶりに趣味に答えてくれるマニアと出会ってテンションがガン上がりでやばい。


 遂には彼女(実は店長さんでした)でも持て余す盾があると言うので見せて貰う事に。


 それは、一見カイトシールドに見えるが表面に精緻な文様が彫られてあった。重さはちょっと重いかなーと言う位で材質は不明。ただ高価な金属かと言うと微妙な感じを受ける。


 問題は裏面。


 裏一杯に目玉が彫られ、それぞれに魔石を移植されている。一瞬、呪われる!? と思ったが大丈夫だった。


 むぅ、魔か不可思議。


「私には専門外でして、どうです?」


 不安そうに聞く店長さんに呪いかと思ったけど違うと言う感想から伝えて軽く装備してみる。実際の戦闘をイメージして使用感からも探る。


 そんな風に弄くり回してると何と無く分かってくるものがある。


 どうやら、盾を見た者の攻撃を引き寄せるスキルの手応えがした。これだけではない気もするけど今はもう分からない。


 店長はそれでも大分すっきりしたらしく大いに喜んでくれた。


 今度は俺の持つアイスロングソードについてのお話をする事にした。本当は自慢したかったんだけど壊れていて修理する所だと説明を入れる。


 痛ましそうに折れた剣を見ていた店長は名案だとばかり、私の工房を使って良いので修理見せて貰えませんか? と提案してきた。


 ただで場所を借りれるなら俺もありがたいし、探してもいたので渡りに船、是非にと2つ返事でむしろお願いした。


 早速、場所を工房に移して道具に魔力精製の氷を入れて貰う。氷属性の強いこの剣を無闇に熱しても治らない。強力に冷やして素材と絡めなければいけないと説明を入れる。


 材料は塩・雪女の涙・魚燐に液化ミスリルをくべ、叩き出していく。雪女の涙は雪山に現れる氷のゴーレムの欠片で少し珍しいが高価なだけで良く見る素材だ。


 これを核に塩と砕いた魚燐を塗し叩く。


 その行程を何回も行い、馴染ませると刀身が急に紅く輝き、急速に元の蒼を取り戻す。


「勝手に発熱するんですね?」


 不思議そうに覗く店長さんに、あれは高熱に見えて超低温なんですよと返して状態が落ち着くのを待った。


 程無くして安定した刀身は元に戻り、研ぎ上げれば完成になる。


 割と大掛かりな補修になったけど、見返りも大きく剣の可能性を伸ばす事に成功した感覚がある。


「良い物を見せて貰いました」


 氷系の魔具の修理経験の無かった店長さんが、作業が分かり易かったと満足げに笑う。


「謝礼と言っては下品ですけど先刻の盾を安価でどうです?」と商売上手に勧める店長。


 ちょっと欲しかった俺のマニア心をくすぐるお誘い。手持ち十分。仲間に分配してもお釣りが来る。


「是非に!」


 俺は反射的に答えていた。


 『視線の盾』を手に入れた!!




 最初断ったんだが、店長的にも扱える人に使って欲しいと思っていたと聞いて安心。


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