1-6.実験
1-6.実験
「遊びに行ってくる!」
ラルスは元気に飛び出した。こっそり裏に回って薪を一本くすねて。
そして、誰もいない原っぱまで来ると、キョロキョロと周りを確認した。
――誰も居ないな。
10メートル先に薪を立てた。
「ウィンドカッター!」
かまいたちのような疾風が吹いた。
斬!
斜め45度程度の切り口で、薪は真っ二つになったではないか。
「…使えた…。」
何度も手をグーパーして見るし、肩も首もぐるぐる回してみた。
目眩もしなければ動悸もしなかった。
「何でもなく、使えた…。」
――しかも、母さんが遊びで見せてくれた奴より強くないか?
――もちろん、子供に見せる奴だから本気じゃなかったかもしれないが。
ラルスは、わーいやったーとは言わずに座り込んだ。
――これって結構子供にしては殺傷能力高くないかな?
元医学部生。考えることはそれである。
殺傷生魔法→危険な子→男子修道院送り
「うわぁそれだけは嫌だぁ。」
誰も聞いていないのに草の上を左右にゴロゴロした。
――いやまあ、それは妄想だし。
――そうと決まった訳じゃない。
ラルスは起き上がって再度キョロキョロと周りを確認した。
――開けたところは人目に付く。
茂みに入って、ウィンドカッターを再度撃ってみた。
背の高い雑草がざっくり切れた。
「草刈りに便利だな。っていうか、使って良いか確かめないとダメだけど。」
半分になった薪をとんがった方を下に二本立てた。
「ロックバレット!」
カン!カン!
二つの石が、的になった薪を倒していた。
「お、出来た。」
――少しパスを意識してみるか。
「ウォーターボール!」
ドッシャアー、
「えええ?」
大きさ10㎝くらいのものを出すつもりが、幅がその3倍ほどもある球が出て、辺り一面ずぶ濡れになった。
「出力制御を覚えないと、危なくて火なんか使えないや。火のことをやる時は池か川でやろう。」
ラルスは実験を切り上げてとぼとぼと帰った。
――使えるのは良いが、どうするべきか…。
家に帰ってきた。
「ラルスちゃん、パンケーキ焼けたわよ!」
「あ、うん。」
ラルスはブツブツ言いながら素通りしていった。
「ラルスちゃん…?」




