1-5.見学
1-5.見学
ラルスは質問を続けた。
「風魔法はどんなのがあるの?見せて見せて?」
ラルスはネリナのスカートを掴んでねだった。
「しょうがないわね。プチ・ウインド。」
ネリナは自分の耳のそばで風魔法を発した。綺麗な金髪がふわりと広がり、やがて降りた。
――うわー、やっぱ母さん綺麗。前世だったらシャンプーのCM出られる。
「うわぁ、母さんの髪、綺麗!ホント、すごいね。もっとすごいのはないの?風で何か切り倒すみたいな。」
「まぁ。男の子ねぇ。良いわよ。」
ネリナは外に出て、薪を立てた。
「ウィンドカッター!」
ネリナが放つと、薪に斜めの線が入った。それに沿って、上の部分が滑り落ちた。
「すごーい!」
――絶対後でやってみよ。
「他には他には?」
驚いたことにネリナは、ファイヤーボール、ウォーターボール、ロックバレットを見せてくれた。
――ってか母さん…。冒険者出来なくね?なんでこんなところで主婦してるのさ?
さといラルスも、両親の結婚事情が複雑らしいことは察しつつも、まだ聞けていない。大人になるまで教えてくれないだろうし、聞いてもお茶を濁される。ただ、母は明らかにかわいがってくれる近所のおばさんたちより、色も白いし、所作が綺麗だ。絶対に田舎娘ではない。
――よく考えたら、5年経つのに、祖父母も従兄弟も会ったことないんだよな。絶対訳あり夫婦だ。
――どうせ聞いても教えてくれないし、仲が良いならぐちゃぐちゃの前世よりましさ。
――教えてくれないなら、魔法実験が先だよね?
ラルスは、母が生活魔法を使う度にまとわりついては、「すごい!」「わあ!」などとにかく素直に驚いた。
母も惜しげもなく見せてくれた。
――ん?
ラルスは、母がプチファイヤを出す際に、腕から指に青い筋が通るように見えた。
――あれが魔力の通り道〈パス〉か?
その夜、ラルスはなかなか寝付けなかった。




