1-4.下調べ
1-4.下調べ
――さて、俺にも魔法が使えるかもしれない。
――どうやって試そう?
ラルスは思案した。
一つは、バレた場合のリスクを考えたい。別に幼児が魔法を使えても問題にならないかもしれないが、22+5歳の精神年齢27歳の5歳児というのは気味が悪いかもしれない。もし、自分に魔法が使えたとしても、もう少し母から、この世界の魔法の情報を聞いておきたい。
――例えば、平均的な魔法発現は何歳くらいにどの程度なのだろう?
――子供の魔法の出力は?
――使える属性はどれくらいが平均?
――どれくらいの子が「才能がある」子で、どうなると「危険?」
など、色々と聞き出しておきたい。まだまだ、この世界の魔法のことがよく分からない。慎重に行きたい。
二つ目は、迷惑を掛けないことだ。
大木を切り倒したり、岩を真っ二つにしたり、家の壁を吹っ飛ばすのは純粋に、脅威を感じさせるし、色々と行動制限や監視対象になる恐れがある。素直に教えてくれるなら良いが、異常個体みたいに見られるのも嫌だ。それに、前世は金銭的にかなり苦労した。
壁に穴を開けたり、屋根を吹き飛ばした場合、修繕費はバカにならないだろう。仲が良く、頑張っている両親にそういう負担を掛けてはいけない。
――迷惑掛けないように魔法実験するって結構難しいなぁ…。
ラルスは数日うーんうーんと唸っていた。
「ラルスちゃん?最近唸ってるのはどうしたの?」
――やばっ。察しの良い母だ。
「あ、うん。母さんの魔法、どうやったら僕も使えるのかなって。」
素直に話してみた。
「うふふ。使いたくなるわよね?」
「うん!」
天真爛漫な笑顔を見せた。
――折角子供なのだ、笑顔は使うに限る。
「魔法はねぇ、夢の中で使う子もいれば、ある日突然目覚める子もいるし、親から習ったり見よう見真似で出来る子がいたり、いろいろよ。」
「そうなんだ。みんな何歳くらいで出来るの?出来ない子もいるの?」
「あー才能次第かなぁ。例えば、お歌やフルートをみんな習うことが出来るけど、上手に演奏する人、途中で止めちゃう人、全然出来ない人、いるでしょう?そんな感じよ。」
「子供のうちから使える子の方が魔法使いになれる?」
「ああ、それはそうかもしれないわ。ほら、数の計算だって、子供の頃から天才な子もいるし。」
「ふーん。」
「興味津々なのね。」
「きょうみしんしん?」
「ああ、とっても知りたいのかなって。」
「うん、知りたい。母さんは教えてくれるの?」
「良いわよ。」
――よし、魔法発現してもそれほど問題にならないらしいし、教授もしてくれるらしい。
「じゃあ、何から教えてくれる?」
「うーん?使えるかも分からないんだし。」
「教えたら早く使えるかもしれない、ってことはないの?」
「あるかもね。」
「えー、教わりたいよ。」
「うふふ。考えておくわ。」
――うーん、何か慎重だなぁ。
「じゃあさー、もしだけど。突然使えることになったら、何を出すのが良いと思う?」
「うーん、変なこと聞くわねぇ。風魔法なんかどうかしら?失敗しても何もないし、成功しても、せいぜい風が吹くくらいだもの。濡れたり火事になるより良いと思うわ。」
――風魔法か!なるほど、方針は決まった。
ラルスは心の中で手を打った。




