2-1.野良ラルス
2-1.野良ラルス
「ネリナが言うには、ラルスは川原で一人で魔法の練習をしているようです。」
道中、アエミリアはペラギアにそう伝えた。
「そうか。じゃあ、私はここらで下ろしてもらおう。後でラルスと登場するから、ネリナには私と来たことは内緒じゃ。」
「あ、承知しました。」
というやり取りがあり、ペラギアは荷物は馬車に置いたまま、単身サクッと降りて、川原の方に歩き出した。
元々小柄なペラギアである。トレードマークのとんがり帽子をしまってしまえば、あまり目立つことはない。
やがて、川原に行くとラルスが一人ごちていた。
「うーん。上手く行かないなぁ。」
(どれどれ?)
「もう少し離れた方が良いのかな。」
ラルスは的から離れた。
「ウォーターボール!」
ラルスのウォーターボールは心持ち曲がったように見えたが、的より遥か上を通過していった。
「うーん。もう少し魔法外装を硬いイメージが良いのかな。縫い目も付けるか。」
(何を言っておるのじゃ?)
「ウォーターボール!」
ラルスの新しいウォーターボールは、カーブを描いたが、的に行くまでに雲散霧消してしまった。
「難しいなぁ。でもカーブは掛かることは分かった。魔法外装が壊れやすいんだな。もう少し強めのイメージで。ウォーターボール!」
するとどうであろう。綺麗な円弧を描いて、ウォーターボールは的を濡らした。
「やったね!」
ガッツポーズをした。
(こやつ、何をやっておるのじゃ?)
「次はナックルだな。」
(ナックル?そんな魔法は聞いたことがないぞ)
「ナックル・ウォーターボール!」
ラルスのウォーターボールは目標より遥かに高いところへ飛んだ。
(ノーコンじゃな)
ところがどうであろう。的の手前で、ひゅんと高度を下げたが、下がりきらず、的の頭上を通過した。
「うーん。無回転と自由落下の組み合わせなんだが。もう少し狙いを下げるかな?ナックル・ウォーターボール!」
(何をしている?)
今度は、遥か手前に落ちてしまった。
「なるほど。良く落ちるな。練習が要るね。これは。もうちょい上か。ナックル!」
(意味が分からないが、目的と意図を感じる)
今度は、通過しそう!と思った瞬間急激に球は高度をさげ、的に当たった。
「やったぜ!ナックル成功!」
(彼は何かを意図して検証し、不具合を何度も調整してコントロールを身につけている)
「ナックルバレット!」
岩が的外れから急に落ちて的に当たった。
「ナックルアイス!」
氷がナックルボールの要領で的に当たった。
「アイスの方が良く曲がるんじゃないか?アイスカーブ!」
鋭い曲線が描かれ、的の手前に落ちた。
「まあ、これも練習すればその内百中になるね。」
(魔法で曲げるものじゃと思っていたが、コイツのやり方は魔法じゃない。)
ラルスは氷玉でカーブの練習を始めた。
(あっさり何属性も使う上に魔力量もへこたれぬな。のぞき見も潮時じゃな。)
ガサリ…。とんがり帽子をかぶり直し、ペラギアが姿を現した。




