1-13.秘密
1-13.秘密
「三枚目?」
「ええ。」
「お前のへそくりじゃないんだよな?」
「まさか?」
ネリナは肩をすくめて否定した。
「良い?これはね、ラルスちゃんが朝握っていたのよ。」
「…それって?どういうことだ?」
「夜中にラルスちゃんは銀貨が気になって降りてきた。そして、多分見ていた。」
「おお。」
「そして、なぜか銀貨は三枚になり、ラルスちゃんは一日中起きることなく寝た。」
「そうだな。」
「それが私達の知る事実よ。」
「そうなるな。」
「そして、ほぼ一日中寝たかと思うと成人男性三人前ほど食べて、また寝たわ。」
「ああ。」
「昏倒して、食事で補給する。魔力切れじゃないかしらね?」
「なるほど。じゃあ、色んな魔法で息切れしないラルスが何で魔力切れになったんだ?」
「そこが問題よ。」
「俺にも分からん。」
「ひょっとしたらこれは…。」
「複製?」
二人は目を合わせた。
「ええ。」
ネリナは深くうなずいた。
「もし、あなたのいう通り、これが複製なら、ラルスちゃんは複製士を集める闇ギルドから狙われかねないわ。」
「聞いたことがある。地下から出してもらえないと。」
「ええ。だから、このことは絶対に人に知られてはならないわ。」
「ああ。絶対に。」
「それに、欲をかいて子供をあんな風に昏倒させるのは、親のすべきことじゃないと思うのよ。」
「そうだな。天の神様にも恥じない生き方をしねぇと。日銭は汗かいて稼ぐさ。」
「ええ。良かった。ラルスちゃんにはこの力はむやみに使ってはならないと強く言っておきます。」
「そうだな。俺たちの平和は誰にも壊させやしない。」
ピウスも締まった顔で言った。
「それはそうと…。」
「どうした?」
「先日、姉から手紙が来たの。一度ラルスちゃんの顔も見に遊びに来たいって。」
「アエミリア義姉さんだっけ?」
「そうそう。今は、ラフードル伯爵夫人よ。仲は良いのよ。」
「最後まで俺たちを応援はしてくれたな。」
「ええ、近い内に来ると思うから。ラルスちゃんに家庭教師でも紹介してもらいたいと思って。」
「なるほど。アエミリア義姉さんなら、間違いなかろう。」
「でしょう?」
「一泊泊めるかもしれないけど良いかしら?」
「きっと小屋とか言われるぜ。狭すぎて。お前の実家とは比べものにならん。」
「良いの。ここが私のお城なんだから。」
「でも、良いのか。秘密がバレたりしないかな。」
「うーん。詮索するような人じゃないし、口も固いと思うんだけど。」
「くれぐれも慎重にな。」
「分かってるわ。」
話が終わると二人は見つめ合って頬を赤らめた。ピウスがネリナの髪を撫でて
「じゃあ、二人の結束を固めますか?」
と言った。ネリナは顔を赤くするとピウスの腕の中に身を委ねた。




