1-11.食欲
1-11.食欲
「ラルスちゃん!」
ネリナはラルスをガバッと抱きしめた。
「どうしたの母さん。苦しいよ。」
「あなた、もう夜よ。一日中寝てたのよ!」
「ああ、ごめんね、お腹がすいてたまらないんだ。何か食べる物頂戴?」
「ええ、父さんも帰って来たところだし、みんなで食べましょう?」
ネリナはいそいそとシチューを温め始めた。自然にピウスがサラダなどを配膳していた。
「僕はスプーン配るね。」
ラルスも率先して手伝った。
――良い家庭だよなぁウチ。両親仲が良いし。父さんも手伝うし。
「偉いぞ、ラルス。」
ピウスの大きな手がラルスの頭を撫でた。
「えへへへ、ありがと、父さん。」
ラルスもピウスも笑顔だった。
「僕、お腹ぺっこぺこなの。沢山おかわりお願いね!」
ラルスは宣言した。
「はいはい。たっぷりお食べ。」
「わーい!美味しい!」
和気藹々と食事が進んだ。ラルスは、お腹に風船でも入ったのではないかというほど食べた。
「良く食うなぁ。」
既にピウスの三倍ほど入っている。
「分からないけど、とにかくお腹がすいてすいて。」
「まあ、朝も昼も食べてないものねぇ。」
ネリナがあきれながらため息をついた。
「もう、動けない…。」
ラルスは、何杯目かのおかわりを完食した。
「ごめん、母さん。めちゃくちゃ眠たい。」
「まあ!」
机に突っ伏したラルスを、お姫様抱っこの要領で抱えると、ピウスがラルスをベッドへ運んでいった。
洗い物を二人で終えると、ピウスがネリナを誘った。
「なあ、今夜も、どうかな?」
「ありがとう。愛されるのはとても嬉しいわ。でも…。」
ネリナはピウスに向き直った。
「今夜は、その前に大事な相談があるの。」
二人はテーブルを挟んで向かい合った。




