表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
63/116

63

挿絵(By みてみん)


コーネリアと実際に会って、彼女がエルフの変身術を強制解除する術を使ってくれたお陰で、彼女の魔力の識別ができるようになった。


なので

「私に張り付いてる不可視の使い魔の一つはコーネリアおばあ様のものだったんだ」

と判った。


コーネリアの使い魔は単に私が死んだら直ぐに回収して新大陸で蘇生させるために付けてるものだそうなので…

普段から感覚共有とかで覗いたりはしてないとの事。

アラスターがアッシュクロフト家へ迎えに来てくれた時から付けられてたらしい。


今後は彼女の使い魔を警戒せずに済む。

寧ろ彼女の使い魔が居なくなった場合の方が怖い…。


「…その竪琴を貰ったんだな」

アラスターに話しかけられて


王都までの帰還に関して

「来た時と同じように帰るんですか?」

と尋ねた。


「それなんだがな。イライアスとバーニーがセルマと一緒に王都まで帰りたいって言ってるから、お前と俺だけで戻る事になるな。

デクスター伯父さんが『一緒に王都まで帰るか?』って訊いてくれてるから、それに便乗するって手もある」


「デクスター大伯父様は奴隷商ギルドのギルマスなんですよね?」


「そうだ。多方面から逆恨みされてるから護衛も一流を揃えてるんだぞ」


「なんか自慢げですね」


「デクスター伯父さん自身、Sランク冒険者だったから、後続を育ててSランクを何人も輩出してるんだ。

ソイツらが交代で護衛に付いてくれるから安心なんだよ。

コーネリアお祖母様もデクスター伯父さんには使い魔を付けてやる必要もないだろうって信頼してるくらい、デクスター伯父さんの身の回りは危険が排除されてる」


「そこまでして奴隷商人なんてやりたいんですね…」


「奴隷商人という職業もだがなぁ…。どんな商売も競争相手がおらず独占状態になるとどこまでも庶民を搾取して見下すようになっていくのが人間のサガというヤツだからなぁ。

そういう鬼畜化に歯止めをかけるためにも、奴隷商人がいる世界ではこちらもその方面にまで手を伸ばす必要があるんだ」


「そうなんですね…」


(「奴隷商人」という職業にも、デクスター大伯父様にも偏見を持ちたくないし、彼という人物を知る機会があれば、それに乗ってみるべきかも知れないな…)

と思った事もあり、私はデクスターの馬車に便乗させてもらう案に乗る事にした。


******************


デクスター・スミッソン。

奴隷商ギルドマスター。

隠れ魔術師。

スミッソン商会のその部門の権限を兄のジョージにより正式に譲渡された。

金持ちで見た目も良いのに奴隷商人なんてやってると女性にモテないという事なのか独身。

(隠し子とかは居そうだけど)


そのデクスター。

私を見るなり

「お前が本物なんだろ?アラスターがミミックを借りたいって言うから、すぐ判った」

と尋ねてきた。


デクスターの馬車の結界はコーネリアに次ぐ程の強度を持つとかで

「攻撃特化の魔術師の攻撃でも壊せないし、どんな術を使っても中の様子を覗けない」

らしい。

なので心置きなく思った事を口にできる訳である。


「『セルマに竪琴を』ってのは、おそらくグルゴレットヒル侯爵家からの要望だろうから、ある意味でお前はジョージから何ももらえてないんだよな」


(そうだったの?)

「…竪琴なら、今はヘイゼルに持たせてます。あの子が今はセルマ役だから」


「あの竪琴と、あの竪琴の描かれた絵は対の魔道具になってるんだ。…大事にしろよ?」


「竪琴の描かれた絵、ですか?森の隠れ家に飾ってあったヤツですよね?コーネリアおばあ様が描かれた…」


「いや、お前達の家にあったものは本物を模写したレプリカだ。それと同じレプリカなら俺も持ってる。

本物の絵は昔からグルゴレットヒル侯爵家にある。時に『絵に描かれた人物が変わる』という話は有名だ。なんでも『竪琴の持ち主を表す絵だ』と言われているんだとか。

昔は母さんが描かれたままだったんだが…絵の人物が変化したからな。それで母さんは竪琴をグルゴレットヒル侯爵家へ返却したんだ。

元々グルゴレットヒル侯爵から頂いて愛用していたものだったって話だし」


「んん?…よく分かりませんが、竪琴と一緒に絵に描かれた人が竪琴の正統な持ち主という事になる、という事で、しかもそれが今はどうやら私になってるって事ですか?」


「…くだんの絵を一度見せて貰った事があるが…顔は間違いなくお前だ。だが絵に描かれた人物の髪色は白髪で瞳の色も赤眼だ。だからお前が白髪赤眼の北部吸血鬼と結婚する予定なら、未来にお前が産む事になる子供の姿なのかも知れないと思ってる。

そうした事情もあって、ファレル家がお前を引き取るって話をグルゴレットヒル侯爵家が後押ししたんだ。それが無いならお前を北部吸血鬼の一族になんか託す筈がないだろ?」


「…私が産む子供…」

咄嗟にノークスとの未来が思い浮かんだ。

私達の傍らには私にそっくりな白髪赤眼の子供…。


「未来がそうなってる、って事なんだろうな…。レイモンド様は(グルゴレットヒル侯爵は)『運命はあるべきままに』という考えの方だから、グレゴリーが(ミルミドネス伯爵が)ファレル家の申し出を蹴ってお前を引き取るって言い張ってたのを止めた」

デクスターがそう言うと


アラスターが

「そもそもミルミドネス伯爵がヴァンパイア・ハンターにお前達の居場所を教えたって疑惑もあるしな」

と聞き捨てならない事を宣うた。


「ミルミドネス伯爵ーーグレゴリー伯父様が?!」


「グレゴリーは母親のキャサリンに子供の頃から色々吹き込まれてたからなぁ…。あの母子はエレインの事が気に入らなかったんだよ。

エレインが吸血鬼だとヴァンパイア・ハンターに密告して殺させた後までも怒りが収まらなかったんだろうさ。

ダライアス達にも決して好意的じゃなかったが、エリザベスに対しては特に悪意的なヤツらだった」


(やっぱりキャサリンがお祖母様を殺させた犯人だったんだ…)


「ママがキャサリン様やグレゴリー伯父様を怒らせるような事をした、とか、そういう事はないんですよね?」


「エリザベスは節度を保って義母や異母兄に接していた。それは誰もが断言できる」


「グレゴリー伯父様は…私の事も憎んでいるんでしょうか?私は何もしてないのに…」


「その可能性が高い」

「お前が知るとショックだろうから、本当は伯爵がそういうヤツだって事実は伏せたままでいたかったんだが…」


「グレゴリー伯父様が私を憎んでるって、その話、親戚のみんなが知ってるんでしょうか?」


「さぁ?どうだろうな?」

「コーネリアお祖母様は知ってるようでしたよ」


「母さんは人間の悪意に敏感だからなぁ…。ともかく、お前はグレゴリーの言う事を聞く必要性はない」


そう言われて、イアンがグレゴリーを信用するなと言っていた意味が分かった…。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ