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魔道具作りに欠かせないインクーー。
(これがあれば不可視の使い魔を創るのに必要な魔法陣を有効化できるんじゃないのか?)
と気付いた事もあり
(試してみたい!)
と思った…。
不可視の使い魔の創り方ーー。
生き物を使い魔にして使役する場合には「契約の魔法陣」を使って契約する事で使い魔を使役できるようにするのだが…
不可視の使い魔の場合は「契約の魔法陣」の前に「創造の魔法陣」を使って不可視の存在を創造しておく必要がある。
「契約の魔法陣」の図象も
「創造の魔法陣」の図象も
ハワードが手記に描いてくれている。
ただ
「魔法陣の効果を有効化するには魔物の素材に描く事」
「インクには場を独立させる作用のある特殊インクを使う事」
と記されてもいる。
(それなら魔木で作った「魔紙」を注文して送ってもらえば良いんだ)
と思ったので、入手した。
インクはイアンがくれたものを使える。
(創れる条件が揃った…)
創造の手順はイマジネーションがものをいう。
知っておくべきなのは
「不可視の存在は半物質で作られる」
のだという事。
不可視の使い魔が通常の物質である筈がないという事は少し考えればすぐに分かる。
魔術師自身が転移魔法陣で転移できないのに不可視の使い魔が転移出来てしまうという時点で、不可視の使い魔が通常の物理法則から解き放たれた存在だという事は明らかなのだ。
「くれぐれも注意するべきは、生き物の使い魔も半物質の使い魔も『術者が魂を注いで創る』ものだという事だ。
術者の魂が入っているから術者は使い魔の視覚や聴覚を共有できるし、使い魔が攻撃されれば痛手を負う。
使い魔へ注いだ魂の量次第では使い魔が殺される事で術者は相応に弱る事になる」
それは本当に注意が必要だが、不可視の使い魔は半物質でできているので目に見えない。
術者の魔力が活動源で、魔力を纏っているために魔眼持ちはその存在を感知できる。
普通は誰の目にも見えない。
非覚醒魔術師だと『相似投影術』を使っている間だけは対象の体内の魔力回路の相似図を水晶玉へ反映できるので、魔眼の起動時と同じように魔力を可視化できる。
だが『相似投影術』には大量に魔力を使用するらしく、長時間起動で監視し続ける事は不可能。
魔眼持ちだけが普段から他人の魔力回路を見れて、尚且つ不可視の使い魔を認識できるという事実は変わらない。
なので余程運が悪くない限りは…
「不可視の使い魔を使役する事のリスク」
は降りかからない筈。
(躊躇う理由はないんだよね…)
と思い、その日の深夜
〈接続遮断〉で結界を張り、不可視の使い魔を創造した…。
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「実は結界を張ってる間、客観的に自分がどうなってるのかが気になってたんだよね」
という事もあり
私の不可視の使い魔ーー「フリンジ」と名付けたーーの初任務には
「私の姿を結界の外から見てみなさい」
という観察を命じた。
俯瞰術では結界の外からの自己観察はできなかったのだ。
なので
「今から結界を解除して、再び結界を張り直すから、フリンジは結界の外に出て、外から私の姿を一旦観察して欲しい。
私が結界を張ったその後では結界内の私の肩に留まろうと試してみて」
と指示。
そうして結界を解除するとフリンジは指示通り結界を外から監視できるように部屋の隅へ移動した。
再び結界を張り、フリンジの視覚と聴覚を共有。
私の姿は結界の外からも見えるが、時が止まっているかのように、私の姿は動かない。
フリンジが私の肩に留まろうとすると、スーッと結界の中の私の身体をすり抜けた。
どうやら結界の中の私の姿はただの映像で、実体が無いらしい。
(…ベッドに腰掛けて、腕を前に伸ばして魔法陣を描いた状態で固まってる映像があるのって、如何にも怪しいな…)
と自分でも、今の自分の不自然な状態を自覚した。
「こういう時こそ『幻影』が使えたら良いのに…」
結界の中で呟く声もフリンジと感覚共有した聴覚からは聞こえない。
画像の録画・再生みたいな事を幻影でできないのだろうか?
よくよく考えたら俯瞰術の際に使う水晶の目は何故魔力の鎧に映像を立体投影できるのだろう。
明らかに録画機能があり、魔力の鎧の側には立体映像の再生機能がある。
ただ俯瞰術で使う水晶の目が投影できるのは、姿だけであり、動作の投影はできない。
水晶の目自体に付いている録画保存容量が大きくないので自動的に投影用に保存する情報を姿だけにとどめてしまっているという場合…
水晶の目と関連させた保存用メディアを別個に創り出してやれば良いのではないだろうか…。
あと、非覚醒の魔術師達が赤ん坊を識別するために使う相似投影術は、魔術師ですら見えない魔力回路を水晶内で可視化するのだ。
映像を転送していると考えられる。
なので見せたい映像を予め作成しておいて、感覚共有した使い魔越しに相似投影術を発動し、見せたい映像をフリンジ側へ転送し結界へと投影させたら…
「できるんじゃないのかな…?」
と思わず疑問系で呟きが漏れた…。
(それには、俯瞰術の水晶の目をもう1つ創り出して、そっちの方を、姿ではなく動作を記録投影する専用にしてやらないと…)
と、するべき事がハッキリした。
俯瞰術の水晶の目。
既に作成した事があると、二度目は簡単という事なのか、スムーズに作成できた。
結界は解かないまま
「ベッドに座って腕を前に突き出して魔法陣を描いたあと、机に座って本を読み延々とページをめくり続ける」
という動作を行い、それを録画した。
その間もフリンジ側の視覚では私は身じろぎもせずにベッドの上に座り続けている。
感覚共有したままの状態で
「〈相似投影〉」
を古語で書いた魔法陣と呪文で発動。
フリンジの視覚を通して結界へと、先程録画した映像を投影。
するとーー
案の定、結界外部から見た私の姿は録画した映像通りに動き出した。
(そうか、幻影魔術って、こういう事なんだな…)
と、理解できた。
監視の目を欺こうとするあまり、必死で考えて、衝動的に実行したが…。
(試してみて、本当に良かった…)
と思った…。




