5
別室に案内されて フェルナンドとサフィーは、無言のままだった。
2人とも 何から話せばいいのか わからない。
ただ 互いに目が合えば すぐ 逸らせてしまう。
「申し訳ありません 閣下。こちらの話に巻き込んでしまうことになってしまって。やっぱり ご迷惑ですよね」
「いや………別に 迷惑とは思っていません。少し 驚いただけで」フェルナンドは、サフィーの目を見れないまま言う。
フェルナンドは、そんな彼女を見つめて ある事を思い出す。
それは、王妃 チェルシー付の侍女の話。
仕事は完璧だが 決して 人前に姿を現さない。
人々は、そんな彼女の行動に 様々なことを考える。
人前に晒せないような醜女だとか 根暗な女だとか。
けれど どの噂も、彼女の姿を見れば 全てを薙ぎ払ってしまう。
それだけ 彼女は、可憐で美しかったのだから。
「陛下の命令も 今回ばかりは、悪い話じゃない」
「え?」
フェルナンドの小さな呟きに サフィーは、顔を上げる。
2人は、ほんの一瞬だが 目が合う。
サフィーは、顔を真っ赤にさせた。
「わたしは、以前 あなたと会ったことがあります。そして あの場にいたには、理由がありました。サフィー嬢………あなたは、わたしの祖母のことをご存じですか?」
フェルナンドの質問に サフィーは、頷く。
「存じております。私の仕えさせていただいております チェルシー様も、リリアン様の導きがあったからこそですもの。他にも、多くの方々が 運命の相手を見つけることができたと」サフィーは、興奮したように言う。
けれど 苦笑しているフェルナンドに気が付き 小さく縮こまってしまった。
「そんな畏まらないで下さい。わたしは、あなたに謝らなければならないことがあるんです」
フェルナンドの言葉に サフィーは、首を傾げる。
「わたしは、祖母 リリアンに 当時 付き合っていた女性とは違う運命の相手がいると教えられました。そして その現物を確かめる為 あの場所に向かったのです。最初 わたしは、あなたを見て 憤慨してしまいました。けれど 同時に どうしようもない 不思議な気持ちにかられたのです。そして 恐ろしくなりました。あなたを失ってしまったら………どうなってしまうのだろうかと」
「お医者様を呼んでくださったのは、閣下なのですか?」
サフィーは、ハッとしたように フェルナンドを見返す。
その視線を受けて 無性に 自分が恥ずかしくて仕方がない。
「本来ならば 治療を受けられる身分ではなかったのに………閣下のお蔭だったのですね?」
サフィーは、心から感謝するように ありがとうございますと 頭を下げる。
それで 慌てたのは、フェルナンドの方。
自分の方が、失礼なことを考えてしまったのに 逆に 頭を下げられてしまったのだから。
「サフィー嬢………陛下に紹介されたからというわけではないが わたしと結婚を前提に付き合ってくれないか。必ず あなたを守ってみせる。どんな困難からも」フェルナンドは、真剣な顔をして 言う。
その言葉に サフィーは、顔を赤らめて 頷いた。
「不束者ですが 宜しくお願いします」
そう 答えるサフィーは、フェルナンドの目に 誰よりも美しい女性に見えた。
やはり 祖母の予見は合っていたのだと実感する。
やっと 自分は、手に入れたく仕方がない存在を見つけることができたのだと。
その後 フェルナンドとサフィーの関係が公となった。
人々は、最初こそ 驚いたが 仲睦まじい2人の姿を見て 惚れ惚れとする。
互いの心を尊重し合う姿は、周囲に見せつけてくれたのだから。
そして フェルナンドとサフィーの耳には、互いに交換した 石が光り輝いていた。
その心が通じ合うことで 輝きが増すかのように。
スピード完結しちゃいました。
あまりに早い展開で 変な部分もあったと思いますが 最後まで読んでいただき ありがとうごさいます。




