4
その後 フェルナンドは、ジョセフィーヌと結婚することはなかった。
なぜなら ジョセフィーヌは、隣国の騎士と恋に落ち そのまま 嫁いでしまったのだから。
それこそ 自分とは、2年も変わらなかった関係が その相手とは、会ったその時に 求婚に行き当たったのだ。
フェルナンドは、その後 14年もの間 伴侶を得ることはなかった。
何度か 縁談が持ち込まれたが 破断が続いたのだ。
「本当に お祖母様の言葉は合っていたんですね。あの時 あの子を保護していたら どうなっていたんでしょうか」フェルナンドは、自嘲気味に呟く。
誰も この言葉を聞く者はいない。
正式に宰相になってから 何かと 忙しくなった。
忙しさを理由に 結婚を回避してきたのだ。
でも 今回ばかりは、相手も引かない。何せ 友人とはいえ 王の命令なのだから。
「どうだ フェル………彼女なら お前の相手になれると思うんだがな?」
「陛下………何度も申し上げたはずです。わたしは………」
けれど フェルナンドの言葉は最後まで続かなかった。
なぜなら 王の隣に紹介されている少女は、あまりにも似ていたのだ……ジョセフィーヌに。
ただ 違うことは、髪の色と目の色。
そして 前髪で隠されているものの 隙間から 傷跡が見える。
耳に輝く石は、まるで 共鳴するかのように輝いていた。
「フェル………彼女は、サフィー嬢。俺の妃付の侍女をしていてな?幼い頃 暴漢に襲われて 顔に傷が残っちまったらしい。まぁ 誰かが呼んだ医者の処置がなかったら そのまま 捨て置かれたままになっていたかもしれないがな」
その言葉に フェルナンドは、自分の起こした行動で 助かった命があるのだと実感する。
「サフィー嬢は、今 困った立場にあるんだ」
「困った立場?それは、どういう意味です」フェルナンドは、無表情で聞く。
「何でも 結婚を強制されているらしいんだ。前にも、幾度となく 打診はあったらしいが 仕事を理由に断っていたらしいんだがな?最近じゃ 既成事実を試みようとする 馬鹿な連中が、何度も 面倒事を起こしてくれるわけだ」
その話を聞きながら サフィーは、申し訳なさそうな顔をしている。
「つまり 陛下は、わたしに 彼女を守るようにとお命じになられるわけですか?」
「いや………強制はしないよ。けど 悪い話じゃないのは、確かだろう。お前は、ずっと 仕事を理由に奥方を娶っていない。そろそろ 時期なんじゃないか?じゃないと 爵位を 他の親族に奪われちまうぞ?」
その言葉に フェルナンドは、唇をかみしめる。
確かに 王の言う通りなのだから。
「まぁ 後は、自分達で話し合ってくれよ。結婚については、結局 当人の気持ち次第なんだからな」
王は、そう言って フェルナンドとサフィーを別室に案内させた。




