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運命の石  作者: クロネコ
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3

 リリアンの言う通り 市場に向かい フェルナンドは、飾り細工の店 横の角を右に曲がる。

すると 祖母の言っていた通り 出た場所に 目的の相手を見つけることができた。

野菜籠を手に持ち 反対の手で 幼子と手を繋ぐ女。

幼子の顔は確認できない。


「あの子供が、お祖母様の言う 僕の運命の相手だというのか。たかが 使用人の娘じゃないか。わたしは、次期宰相を担う者だぞ?」フェルナンドは、馬鹿にするように呟く。

視線の先では、幼子が 女に何かをせがんでいるようだ。

その顔を見て 更に 苛立ちを覚える。

なぜなら 幼子は、お世辞にも 愛らしいとは表現できないから。

縮れた髪に 顔は、平凡なものだったのだ。

ふと 視線を感じ 顔を上げてみると 少女と目が合った。

顔の割には、綺麗な目の色をしている。

自分が持っている石と同じ色の目だ。

フェルナンドは、自然と 目を逸らせる。

あの子が、その反応を見て どう思うのかはわからない。

そして 耳の石は、熱を持っているかのように 熱くなっているようだ。



 フェルナンドは、溜息をついて そのまま 引き返そうとした。

すると 虚ろな目をした 男と肩がぶつかった。

フェルナンドは、訝しげな顔をするが 無言で その場を後にする。

そして 角を曲がってすぐ 甲高い悲鳴と子供の泣き声が聞こえてきた。

驚いて 声にする場所に駆け寄ると さっき 自分が確認しに来た幼子と女が、血だらけになって倒れている。

そして さっきの虚ろな目をした男が、駆け付けたらしい衛兵達に取り押さえられているようだ。


「一体 何があったんですか?」


フェルナンドは、見物人に声をかけた。


「ああ……あの男が、突然 あの2人に短剣で襲い掛かったんだ。ありゃぁ………助からないだろうな。ここら周辺の医者は、金を摘まないと 治療をしない。いい医者は、みんな 貴族様が独占しちまってるんだから」


フェルナンドは、それを聞いて 倒れている 2人に目を向けた。

血はどくどくと 流れ続けている。

このまま 出血が続けば 飛鳥る見込みはないだろう。

しかも この場所は、城下の中でも 無法地帯で 大金を摘まなければ 治療を受けることもできない。

フェルナンドは、唇をかみしめて 近くの店で 電話を借りた。


「ドリトン爺さんは、いるか」

『おお………シャオン家の若か。どうした 電話をしてくるなんて。また 殿下と一緒に馬鹿騒ぎをして 怪我したなんてことはないだろうな?いい加減 年を考えるんだぞ?』電話口から 相手の男は、言う。


電話の相手は、幼い頃から 世話になっている医者。

口は悪いが 腕が良く お忍びで王族や貴族からも、治療の依頼を受けている下町の老人だ。


「そんなんじゃない。市場の通りで 人が襲われた。場所が場所だから ちゃんとした 治療を受けられるか難しいんだ。どうか 診てやってほしい」

『状況は、どうだ?』

「出血がひどい。2人とも 短剣で一突きだ。血が、まだ 流れ続けている」

『わかった すぐに向かう』

「爺さん………どうか 他言無用で」

『あいよ………了解じゃ』


電話が切れて フェルナンドは、小さく息をついた。

腕の立つ医者を呼んだとしても 彼女達が助かるかはわからない。

今 その命の灯が消えてしまっているかもしれないのだから。

【運命の女神】の予見する 運命の相手が、死亡した場合 どうなってしまうのだろうか?

フェルナンドは、どうしようもない 不安を抱えたまま 屋敷に戻った。


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