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ある日 フェルナンドは、母方の祖母に呼び出される。
祖母のリリアンは、平民の出だが 王族の覚えも良い女性だった。
ある特殊な特技で 貴族からも慕われている方だ。
祖父が亡くなった後も シャオン家の実権を握っているに等しい。
「フェルナンド………お前は、この先 どう考えている?我が一族の跡継ぎは、お前だけ。そろそろ 伴侶を手にしてもいい頃なんじゃないかい?社交界の噂では、お前 2年ほど………特定の令嬢と付き合いをしているようだけれど」
その言葉に フェルナンドは、息をのんだ。
確かに その言葉は、真実だったのだから。
「コンドル家のジョセフィーヌ嬢を妻に迎えたいと思っております」
「ジョセフィーヌ………ああ あの元老院の議長の娘だな?確かに 美しい娘だと聞いたことがある」
リリアンの言葉に フェルナンドは、笑みを浮かべる。
この反応からいけば 祝福されること間違いない。
けれど 祖母は、次に思いがけない言葉を口にした。
「でも お前との結婚を許すことはできないよ」
「なぜです?!なぜ 認めて下さらないんです。彼女は、身分的にも申し分ありません。我が侯爵家に 嫁ぐに当たり 何の問題もないはずではありませんか」フェルナンドは、真剣な顔で言った。
その言葉に リリアンは、呆れたように 溜息をつく。
そして 真っ直ぐ フェルナンドを見る。
「彼女とお前は、結ばれる関係にない。違う運命が、互いに結びついているのだからね?お前の相手は、別にいるの。勿論 ジョセフィーヌ嬢にもだよ。彼女は、近い将来 運命の出逢いをするはずさ」
祖母の言葉に フェルナンドは、戸惑いを隠せなかった。
リリアンの言葉は、一度も 外れたことがない。
故に 貴族達の間では、彼女を【運命の女神】と呼ばれている。
彼女が橋渡しした男女は、必ず 幸せな家庭を築くことができたのだから。
彼女が、王族に信頼されている理由も それが関係している。
自国だけでなく 周辺諸国からも、運命の相手を紹介してもらっているのだから。
リリアンの話では、人は誰しも 生まれてきた時に1つの石を持っている。
石の種類は、人の数だけ。
そして ただ 1つだけ 共鳴する石がある。
その持ち主こそが、自分の運命の相手。
伴侶を娶る時 その石を互いに交換する。
そうすることで 更に 互いの心を得ることができる と 言われているのだ。
「参考ですが………わたしの運命の相手とは、一体 どこにいるのです?その口振りですと ご存じなのでしょう?」フェルナンドは、自分の耳に輝く エメラルド色の石に触れながら聞く。
孫の質問に リリアンは、目をつむる。
そして ゆっくりと目を開けた。
「市場に向かいなさい。そして 飾り細工を売っている店 横の角を右に曲がる。そのすぐ出たところで 野菜を買いに来ている女性と手を繋いでいる小さな女の子。彼女が、あなたの運命の相手だよ」
フェルナンドは、その言葉を受けて すぐ 屋敷を飛び出した。
祖母の言う 場所に どんな相手がいるのか。
自分に相応しいかどうか 確かめる為に。
「フェルナンド………お前の行動によって 運命は変わる。さぁ 御手並み拝見といこうじゃない」リリアンは、窓から足早に歩く 孫を見下ろしながら呟いた。
【運命の女神】は、全てを知っていたのかもしれない。
これから 何が起こるのか。
そして その分かれ道によって どのように辿っていくのかを。




