1
あるところに 絵に描いたように似合いな恋人同士がいました。
青年の名をフェルナンド・シャオン。
彼は、若いながらに 宰相である父の仕事を補佐する優秀な若者。
相手の女性の名をジョセフィーヌ・コンドル。
彼女は、古くから貴族院の長を務める 一族の令嬢。
2人の関係は、誰もが祝福するものだった。
見るも麗しく 絵になる男女なのだから。
一緒に並ぶだけで 周囲からは、溜息が漏れる。
互いに つり合いの取れた関係。誰も、反対するはずがない。
「まぁ ご覧になって?フェルナンド様とジョセフィーヌ様よ?」
「相変わらず 絵になるな」
「本当に 羨ましい。あのように 美しい方と並ぶことができるなんて」
周囲の人々は、輝かしい宝石を見るように 2人を見つめていた。
フェルナンドとジョセフィーヌが、宴に姿を見せるだけで 人々は、集まっていった。
2人は、互いに人望があり 王族からも目を置かれている。
誰もが、フェルナンドとジョセフィーヌの結婚も、間近だと噂していた。
身分の問題など ないのだから すぐ 一緒になれるのだから。
けれど 2人が付き合い始めてから 2年が経とうとしていた。
実のところ 幾度となく 結婚に踏み切ろうとした。
でも 互いに タイミングがつかめず 月日だけが過ぎてしまったのだ。
「おい フェル………お前も、そろそろ 結婚を考える頃なんじゃないのか?うちのおやじ殿は、嫌というほど 縁談話を持ってくるぞ?王太子たる 自覚があるのかッ!ってな?お前のところは、ジョセフィーヌ嬢のことがあるから 無理強いはしないみたいだが」
「けど ジョセフィーヌ嬢は、一応 跡継ぎなんじゃないのか?爵位を存続するには、彼女が婿を取らないといけないぞ」
友人の疑問に フェルナンドは、訝しげな顔をする。
「コンドル家には、正当な跡継ぎがいたはずだぞ?確か ジョセフィーヌの兄が」
フェルナンドの言葉に 友人2人は、驚いたように顔を見合わせている。
「何だ お前………知らなかったのか?コンドル家の長男は、3年前に 家を出ている。何でも 身分違いの女性と関係を持って 父親に反対されたらしい。それで 女の手を取って 自分の身分さえも捨てたそうだ」
「けど 結局 慣れない生活で体を壊したらしいぞ。それで 母親の方も、子供を産んでから 衰弱していって 乳飲み子を残し 死んだらしい。赤ん坊の方は、一応 コンドル家が引き取ったらしいぞ。まぁ 女の子だったから………跡継ぎにはなれないみたいだがな」
「ならば 跡継ぎは、一番 年の近い親族が、引き継ぐことになるんじゃないか?確か わたし達より 2つ年上の従兄がいると聞いたことがある」フェルナンドは、興味なさそうに呟く。
「お前………まるで 他人事だな?婚姻を結べば 関わりを持つっていうのに」
「関係があるのは、わたしとジョセフィーヌだけだからな」
フェルナンドの言葉に 友人達は、呆れたように顔を見合わせた。




