↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『死因:熊。転生先はマンモス時代でした』  作者: 忍絵 奉公


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
62/65

第62話 籠城戦


「全員退却!」

 タカシの叫び声が響いた。

「走れ!」

 一斉に駆け出す。

 タカシ。

 クロベ。

 キバオウ。

 リグ。

 ライナ。

 そして十八人の精鋭たち。

 全員が必死だった。

 走る。

 走る。

 とにかく走る。

「止まるな!」

「振り返るな!」

 背後から轟音が響く。

 ズズン!

 ズズン!

 ズズン!

 木々をなぎ倒しながら、オロチが追ってくる。

 しかし。

 以前とは明らかに違った。

 八つの首を失ったことで、残った元首が他の首を引きずっている。

 ズルズルズル……。

 地面を巨大な頭が這っていく。

 そのたびに土がえぐれる。

 速度は落ちていた。

 だが。

 怒っている。

 それだけは誰にでも分かった。

 巨大な瞳がタカシたちを睨みつけている。

「まだ追ってくるぞ!」

 リグが叫ぶ。

「走れ!」

 タカシも必死に足を動かす。

 幸いだった。

 人間のほうが少しだけ速い。

 ほんの少し。

 だが確実に距離が開いていく。

 十メートル。

 二十メートル。

 三十メートル。

「城壁が見えた!」

 誰かが叫んだ。

 木々の向こう。

 白き谷の城壁が見えた。

「もう少しだ!」

 全員が最後の力を振り絞る。

「門を開けろ!」

 城門前の兵士が叫ぶ。

「タカシ様だ!」

「開けろ!」

 ギギギギギ……。

 重い門が開く。

「走れ!」

 タカシたちが次々と城門をくぐる。

「閉めろ!」

 ドン!

 巨大な木製の城門が閉じられた。

 さらに閂を落とす。

 ガシャッ!

 その直後。

 ズズズズズ……。

 森の向こうから巨大な影が現れた。

 城壁の上にいた兵士たちが息を呑む。

「なんだ……あれ」

 巨大だった。

 一本の首だけでも人間とは比較にならない。

 しかも、その後ろには切り落とされた八つの首を引きずっている。

 ズルズル。

 ズルズル。

 地面を削りながら近づいてくる。

「蛇?」

 誰かが呟く。

「蛇……なのか?」

「でかすぎるだろ!」

 兵士たちがざわめく。

 タカシは城壁の上へ駆け上がった。

「全員配置につけ!」

 防衛兵士が動き出す。

 槍を持つ。

 弓を持つ。

 石を運ぶ。

 そして。

 総勢三百人。

 城壁の上に並んだ。

 リグが槍を握り締める。

「三百人か……」

 ライナがオロチを見る。

「それでも勝てるのか?」

 誰も答えられない。

 キバオウが小さく呟く。

「城壁は……耐えるだろうか」

 クロベが静かに城壁を見る。

 この壁は急いで作った。

 石を積み上げた。

 天然の要害もある。

 だが。

 相手は三十メートルの怪物。

 しかも、今は完全に怒り狂っている。

 タカシは城壁の上からオロチを見つめた。

「……来るぞ」

 オロチが頭を持ち上げる。

 巨大な瞳が。

 城壁の上の人間を睨む。

 そして。

 グオオオオオオオオッ!

 咆哮。

 空気が震えた。

 子供たちが泣き出す。

 兵士たちも息を呑む。

 タカシは拳を握った。

「籠城戦だ!」

 白き谷の全員が。

 史上最大の敵を前に。

 城壁の内側で戦うことになった。

 そしてオロチは。

 ゆっくりと。

 城壁へ向かって進み始めた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。