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『死因:熊。転生先はマンモス時代でした』  作者: 忍絵 奉公


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第52話 都市計画と大地の怒り


 人口は一気に増えた。

 白き谷。

 裂牙族。

 リグの村。

 ライナの村。

 合わせて千三百人を超える。

 もはや村ではない。

 完全に都市だった。

 タカシは地面に大きな円を描いた。

 周囲にはクロベ、キバオウ、リグ、ライナ、シリカがいる。

「今のままじゃダメだ」

 全員が頷く。

 家が増えすぎた。

 無秩序だった。

 人口が増えるほど問題が出る。

 火事。

 喧嘩。

 病気。

 食料輸送。

 様々だ。

 タカシは木の棒で地面を指した。

「ここが中心」

 丸を描く。

「太狼街だ」

 クロベの目が輝く。

「首都ですか」

「そんな感じだ」

 さらに周囲へ三つの円を描く。

「ここが裂牙区」

 キバオウが頷く。

「ここがリグ区」

 リグが酒を飲みながら頷く。

「ここがライナ区」

 ライナは腕を組んだまま満足そうだ。

 そして最後。

 南側だけ何も描かない。

 空白。

 全員が不思議そうな顔をする。

「ここは?」

 シリカが聞く。

 タカシは笑った。

「未来のためだ」

「未来?」

「人口はもっと増える」

 クロベが即座に理解した。

「ああ!」

 全員が見る。

「拡張用ですね」

「そういうことだ」

 今使い切ったら終わりだ。

 だから余白を残す。

 都市計画だった。

 誰も聞いたことのない発想だった。

 クロベが感動している。

「天才です」

「普通だろ」

「普通じゃありません」

 原始時代では普通ではなかった。

 こうして都市再建が始まる。

 住民総出。

 家を移動。

 新しい家を建てる。

 道を整備する。

 広場を作る。

 倉庫を作る。

 工房をまとめる。

 そして城壁。

 これが早かった。

 以前に一度やっている。

 石積み職人のゴルドが指揮する。

「そこ!」

「大きい石!」

「違う違う!」

「それは上だ!」

 職人たちが走り回る。

 巨大な石が積まれる。

 技術も上がっていた。

 以前の数倍の速度で完成していく。

 ライナが驚く。

「早すぎないか?」

 ゴルドが笑った。

「慣れました」

 完全に職人集団だった。

 家も増える。

 人口千三百人。

 街は日に日に大きくなる。

 そして一か月後。

 誰もが驚いた。

 見違えていた。

 中心に太狼街。

 周囲に三つの区画。

 道が放射状に伸びている。

 広場。

 市場。

 工房地区。

 倉庫地区。

 農地。

 全てが整理されていた。

 クロベが呟く。

「都市だ……」

 タカシも満足していた。

 だが。

 その日の夕方だった。

 ゴゴゴゴゴ……

 地面が揺れた。

 一同が固まる。

「なんだ?」

 揺れが大きくなる。

 ゴゴゴゴゴゴゴ!!

 家が揺れる。

 陶器が落ちる。

 子供たちが悲鳴を上げる。

 ライナが立ち上がった。

「敵か!?」

「違う!」

 タカシは叫んだ。

「地震だ!」

 地面そのものが揺れている。

 人生で初めて経験する者ばかりだった。

 揺れは長かった。

 城壁が軋む。

 石が転がる。

 そして。

 突然。

 止まった。

 静寂。

 誰も動かない。

 タカシだけが嫌な予感を覚えていた。

 前世の知識。

 地震。

 火山。

 津波。

 そして。

 北東。

 黒い山。

 煙。

 最近見た異変。

 全部が繋がる。

 タカシの顔から血の気が引いた。

「まさか……」

 その時。

 見張り台から絶叫が響いた。

「た、大変だぁぁぁ!」

 全員が振り返る。

 見張りの男が青ざめていた。

「黒い山が!」

「黒い山が燃えてるぞぉぉぉ!!」

 北東の空。

 巨大な黒煙が天へ昇っていた。



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