5話 会議の招集
レオナルドは急いで扉を開き、兵達や使用人に呼びかける。
「医者を早く呼ぶんだ!!陛下が倒れた――」
その言葉に皆がどよめき、ガシャガシャと鎧達が一斉に揺れる。頭を抱えお見合いどころではない――
その様子にランデールは、ゆっくりと立ち上がるとレオナルドに近づく。
「緊急の会議をする事にしよう」
「こんな時にすら政治の話か!!ランデール卿まずはお父様の事が先決だ!!」
「もしもの事があれば…国が立ち行かなくなる。これは王弟としての判断だ間違ってるかね?レオナルド王子」
その言葉何も言えなくなったレオナルドは顔を背けた。
「……分かってるさ、城内にいるものや城周辺の上流貴族を招集する――、叔父様はマリア姫の事をお願い致します」
「ふむ…君が言うならそうしよう、しかし本来なら君が相手するべきだと思うのだがね……」
「父の一大事に自分の事を優先するものか!!ふざけた発言はよしてください……お話は会議でお願い致しますので」
レオナルドは部屋から早々と去ってしまう、国の一大事なこともあり連絡を急いでいるようだった。
「せっかくの見合いが…」
「まぁまぁ、少し話をいいですかなマリア姫?」
ランデールはマリアを呼び止め、耳元で何かを話をした。すると彼女は驚いたように目を見開いたあと――
「是非お話を伺いたいですわ」
二人は扉を閉じ、その会話は密やかに行われた。
一方ミネルヴァは政策やアルカディアの宗教形態などの復習で頭がパンクしそうになりながら勉学に励んでいた。
「宗教的にこういった発言は失礼になるのね……、政治はうーん実際場を見てみないと分からないわね」
「領地を持つ貴族達が普段は独自で管理してるみたいだし、……資料も見れる訳じゃないからダメなことだけ覚えて置くしかないわ」
頭を抱える、法律は分かってもそれがどのように国に影響しているかは住んでいる人の体感でしか分からない。
城暮らしの私には到底理解できない……今度町に連れて行って貰おうかしら。
「民の暮らしの体感がわかんない人が税を回収したりするものねぇ……そりゃおかしくなる事も多いわけね」
「とわいえ逆に民は、国の維持にどれ程の莫大な資金がいるか知り得ないし難しわ」
バンッとノックもなくミネルヴァの部屋が開かれた。
何!?と思い私は、振り返るとそこには焦った様子のレオナルドがいた。
「ちょっと――」
文句を言おうと口を開くも、必死な剣幕にその言葉は止まる。
(彼がこんなに動揺するなんて何が……)
「ミネルヴァ、陛下がっ、お父様が倒れたんだ……!!」
「何ですって!!」
「緊急会議がある、本当はもっと手順を踏んで参加してもらう筈だったけど…」
「落ち着いてレオナルド…そんな顔じゃ舐められてしまうわ」
「貴方は王子何だから、堂々としてないと」
そう彼の顔を両手で包むように手を添えると、私は目を合わせた。揺れる瞳は不安さを宿していて、いてもたっても居られずここに来たのだろう。
しかしどんなに今辛くても、今は気丈さが必要だ。
「ありがとうミネルヴァ…そうだね、まずはやるべき事を成すよ」
私達は部屋を出て会議をする為にグレートホールへと向かう、道中私はレオナルドに問いかける。
「招集はどれぐらい集まりそうなの」
「重要貴族だけ集まればいいよ、正直一日やそこらで終わる話ではないからね…。方針の可決は先になる、取り敢えず意見を出し合うだけだ」
「成る程ね…」
流石に王の不在中どうするか…すぐに決まるわけではないわよね、報告ついでにというものなのだろう。
私が参加するのはどうなのか…思うこともあるが、外交の引き継ぎを行うかも重要な意見なのだろう。
グレートホールに足を踏み入れると、私を値踏みするような視線が突き刺さる。
緊急事態ともあって、彼らの顔はとても訝しげでピリピリとした空気感が漂っていた。
「女が入ってきたぞ」
「あれが例の姫ですよ」
「政に女を入れるとは……」
分かってたけどキツイわねー、調べていて分かったけど君主制の男社会…爵位を継ぐのも男が当たり前。
こういった場に女性は中々呼ばれないのも彼らの偏見からでしょうしね。
今回の一件で流石にアルカディア側が謝罪をしなければいけない状態になって始めて可決したんでしょうしね…仕方ないわ。
私としては外交としての本懐が果たせて嬉しい限りだけど。
しばらくするとゾロゾロと重鎮たちが揃い始める、その中には赤毛の見かけない人物が私をじっと見つめていた。
赤毛……アルカディアの王族の方かしら?
前に舞踏会で踊っていた方も、親族で赤毛だった気がするわ――
ある程度人が集まった所で、レオナルドは中央に座った。
「集まってもらってありがとう皆、緊急で話さなければならない事がある陛下が倒れた」
その言葉に一同がどよめきざわついた――事前に聞いていた私は平静を装うも周りは予想外と言わんばかりだ。
「今から話すのは王が不在でのアルカディアの方針についてだ」




