3話 政治の都合と王子様
「こんな事いうのもなんだけどっ――私が居ながらどういう事!!」
「舞踏会であそこまでしておいて!!」
言ってしまえばプロポーズをされた様なものなのに、何て男なの!?
それとも不貞前提の関係?冗談じゃないわよそんな事。
レオナルドは気迫に押されたのかビクッと体が跳ねる。
「まっ待ってくれ色々誤解がある!!」
「説明をさせてくれ」
「なーにが誤解なのよ」
「今回のはお見合いは断る前提なんだ――」
「はぁ?」
「隣国の王国の姫とのお見合いなんだけどね……俺が出向いてくれと言われていたんだけど断ったんだ。今は忙しからってね」
現在、貴族の重鎮たちしか知らないが…レオナルドは王位継承に向けて様々な移行が行われているらしい。
そもそも私の外交を率先してやらせていたのもその関係だそうだ。
忙しいのは嘘でも無いが…それでも何故する事になったのだろうか?
「それで何でお見合いになったわけ?」
「あちらの強い希望でね…来れないなら此方から出向くからお見合いだけでもとの事だ、取り敢えず体裁だけ保って断るつもりさ」
成る程ね…よくよく考えれば結婚は簡単に繋がりを保つ同盟手段だ。
しかも拘束力や重みが増す、あちらとしてもチャンスを逃したくないのは当たり前だ。
「はぁ…まぁ良いけどトラブルはよしてよね」
「大丈夫だよ、何があってもきっぱり断るから」
(本当かしら……何だかんだ女性に関しては信用していないのよね)
ジトーっとしたミネルヴァの視線がレオナルドに向けられる、彼はそんな彼女の不機嫌さを察してか頬を指でかくと誤魔化すように笑顔を再び浮かべるのだった。
「それはそうとね、アクアリアとの話し合いで此方から謝罪として一つの措置を早めにする事にしたんだ」
「というと?」
「君に議会に参加する権利を授ける事だ、今後は外交官としての意見を正規の場で述べる事ができる」
「それってつまり、政治の議会に私が参加できるって事!!」
「いいの――?!それ」
他国の姫に自国の政治に関わらせるとの事だ、驚きを隠せずいるとレオナルドは続けて口を開く。
「勿論制限はあるよあくまで君は意見をいう側で、判断は此方でする…重要な主張としては扱うけどね」
「そりゃ勿論そうでしょうけど、最終的な可決はそもそも王や上層の貴族達で決めるでしょ?」
「そうだね、でも君をアクアリア国王の代理として我が国は政的に認めることにした」
「それは嬉しいわね外交としての本領をようやくできるって事ね」
事件はあったけど…自国アクアリアとってはかなりの好都合。
お父様さては、表向きは新たな試みとか言ってそうだけど……私と利益を天秤に賭けて、利益を取ったと見たわね。
「そういえばだけど、正直俺も君の帰国を望まない事については疑問があってね……」
「海の資源の提供や協力は正直俺達に莫大な利益があるけど……人魚達やアクアリアにはそこまで利益があるとは思えないんだけど?」
「別にあるわよ、人の手や船が入れば他の国の人間はあの海域に手を出しにくいもの…そして一番大きなのはスニオン帝国のせいよ」
「うん?同盟国なんだろ――」
「スニオン帝国はずっと属国にならないかって言ってるのよ……けどそうなれば人魚の文化は損なわれるわ。彼ら儀式や信仰に細かいから、お父様はそれが嫌なの」
「トレントとの婚約が正式に決まらなかったのもそのせいよ、干渉されたくないのよ」
トレントとの婚姻は魅力的であると同時にアクアリアには干渉される材料が増えてしまう。
そのためにお父様は余りいい顔しなかったのよね、子供の時はあまり分かってなかったけど…
「うーん海も大変だね」
「アルカディアとの交流はスニオン帝国に立ち入らせない理由になるの、彼らは人と交流なんかしてないからね…アクアリアを取り込んだら自分達のいる海域まで侵入されるかもって考えるの――それが大事なの」
「まぁそれは何処も同じだね」
ちょっと真面目な話になったわね……
意外とこういう所はしっかりしてるのよね、やっぱり王子というか流石は王太子って所ね。
「それでその人は、いつ来られるの――」
「明日だよ!」
指を立て、ニコニコとあっけらかんにレオナルドは声を高らかにした。
(前言撤回だわ…、しっかりというか、大胆なだけじゃないの!?この人)
「もう少し早くいいなさいよ!!」
ミネルヴァは再び大きな声で叫ぶのだった――




