22話 再び対峙する二人
王子と皇子が再び対峙した――最初あっとき彼らは意見をぶつかりあっていた。
共に過ごし二人の考え方はどうなったのだろうか…?それは私の知るところではない。
(きっと考え方は正反対でしょうし…また結果は同じかもしれない、何か変わってると良いのだけど)
「そろそろ兵も通常配置に戻るからね、俺の部屋に来るといい話をしよう」
「お茶を用意させよう」
「そりゃいい」
私達はレオナルドのそ所有している部屋の一つに案内される、仕事などの談話をする為の部屋だろう。
事務的な机や書類らしい物が簡素に片付けられている。
私達をソファーに座らせると飲み物を使用人に用意させる、準備を終えると既に指示していたのか手際よく彼らは部屋を跡にした。
「さてと…王妃についてだけど、現場はまぁ思ったより綺麗だったよ、でもまぁ即死に間違いはなかったね」
「実行犯が死んでしまったからね…もう裁く相手がいないのさ王家の責任といえばそうかも知れないけどね」
「死んだからチャラってわけじゃないよな」
トレントの要求は真っ当なのよね……命の危険に晒されたんだもの。
私から本来要求するべきなのよね、レオナルドに助けられて有耶無耶にしてたけれど。
「…表向きには何も無かった事にするとしても責任がある、その取り方として一つ話が出たよ」
「父は僕の二十歳の誕生日に王位を退くことにした――」
それは随分とデカく出たものだ……、レオナルドに実権を渡すということだ。
妻を亡くした今、彼の拠り所はレオナルド次第になる。王家という権力抗争がいつ起きてもおかしくないのに、相当な覚悟なのだろう。
「おー…そう来たか、お前何歳なの?」
「18だよ」
「2年か…まぁ、引き継ぎを考えれば短いぐらいだな」
「そういう訳だ…父に呼び止められなきゃ、俺がミネルヴァから離れるなんて事なかった訳だしね」
「あーそうかよ」
何処か呆れ気味にトレントはレオナルドに言葉を返す。
レオナルドはその様子を見たあと、少し困ったように笑う。
「…俺の能力については、君の判断に任せるよ見せてしまったしね」
「言わねーよ、確信が無い事を言わないつーの!」
「大体信じて貰えないぜ…人間が魔法使ったなんてよぉ」
「まぁそうね…人嫌いゆえの妄想だって言われそうだものね」
「全くその通り!!」
私の言葉にトレントは激しく同意する。
レオナルドは軽く笑うと「その方が助かる」と軽く告げた。
彼は一口お茶を口に含み喉を潤すと、再び口を開く。
「そういう君は国に何て言うつもりだい…ここまで俺が言ったのにタダで帰るなんて言わないよね?」
「分かってるって…王妃の一件は言わせてもらう……まぁでも率先して人魚を守ろうとしたり、異種族の理解を深めようとする姿勢や好意はあった事は伝えるよ」
「少なくても一国の王と王子は、海の文化や性質を理解しようって気概を感じたってね」
何だか意外だわ……前の話の内容的に結構揉めると思っていたけれど。
私とレオナルドの外交を邪魔するなら簡単だ、悪い事実だけ伝えればいい……しかしトレントはそれを選ばなかったようだ。
意外なのはレオナルドも同じようで何処か驚いたのか目をパチパチと閉じたり開いたりを何度も繰り返す。
「なんだよ…自分だって色々考えたんだよ」
「アクアリアとアルカディアの問題はミネルヴァが決める事だ、俺は客観的にミネルヴァが損してるかどうかだけ見ればいい…損してるとは思わなかったよ別に」
「安定した家畜や食料の生産、整った環境での教養…それに様々な知識や文化は海では得られないものだ――スニオン帝国では決して得られない」
そう真剣に言うトレントは、とても大人びて見えた。
今までは陽気な学生のように見えていたが、この外交で彼も何かを学んだのだろう。
「…驚いたよもっと君は私情に走ると思っていた、ごめんね」
レオナルドは本当に申し訳なさそうに謝る、正直私も同じ気持ちだから何とも言えないわね……
「ガチめに謝られるのが一番腹立つな!!…まぁお前に色々言われて目が覚めたんだよ」
「それはそれは……」
何処かレオナルドは楽しそうに笑った、こう言い合いしてる姿は二人共年相応なのよね……でも内容が気になるわね。
「二人で何か話したの?」
「それは俺達の秘密かな〜」
「だな!」
「ええ、ちょっとずるいじゃない!」
ムゥと頬をミネルヴァが膨らませると、その様に二人は何かツボに入ったのか大声で笑い出した。
その様子を見て私の不機嫌さが増したのは、言うまでもない。しかしそれすら2人は楽しそうだ。
「こればっかりは男の秘密なんだよ!」
「それはそうだね、俺も何も言えないやごめんよ」
「もういいわよ!!」
プイッと顔をそらしお菓子を頬張る、どんな時でも甘い物は幸せだけど今回ばかりは怒りが吹き飛びそうもない。
「あーすねたー!!」
「そういう所も素敵だと思うよ」
そんな軽口を言い合う。
何だか忘れていたけど私達ってまだ10代なのよね…まだ何も終わっていない。
大変なのはこれからだって、そんな事は分かっている。
けれど無邪気で言い合えるこんな時間がとても楽しくて仕方がなかった――そうして私達は話し合いと言う体の茶会を満喫するのだった。




