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人魚姫の“姉”に転生したので、妹の悲劇を防ぐため王子を殺すはずが執着されました  作者: 目々ノミーコ
2章

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10話 太陽の王子と海底の皇子

 トレントは中々、順番を覚えずレオナルドは苦労していた。

 既に講師のバークレイ夫人は去り、音楽家もレオナルドが疲れるだろうと下げさせた。

 一定に揺れる、メトロノームが音を刻んでいた。


「なぁ、レオナルドさんよぉ自分気になってたんだけど」


「また軽口かな?」


「あんた本当に人間か?」


「…どういう意味だい?」


 二人の足取りは止まった。

 その言葉は、レオナルドにとって心中穏やかで居られる物ではなかった。


「いやぁお前の母親も父親も、人間だろうけどな――お前混ざってんだろ?」


「――混ざってる?」


 力の事を言っているんだろうか?しかしそれにしては引っかかる言葉だった。

 そんな事は言われた事がない、いくら容姿が母似だったとして赤毛は父譲りのものだ。

 血の繋がりは明白だ――


「あー自覚ない感じ?」

「じゃあこれ以上喋ったら、いけねーな」


「何を知ってるんだ、この力の事を知っているのか!!」


「教えてやってもいいぜ、けど条件がある」


「条件?」


 不敵に笑うトレント、一体何を考えているのか分からない。

 知りたい――そんな気持ちが膨れ上がる。

 いったいこれは何なのか、本当に神の力なのかそれとも…呪いなのか。


「ミネルヴァを諦めてくれ――」


「はっ?」


「見てれば分かる、ミネルヴァの事好きなんだろ?」


 バレていた…というか隠しても無かったような気はする。

 あんなに余裕がない行動していれば仕方ない。

 

「けど人間として生きてるお前が、本当に彼女を一番にしてやれるのか?幸せにできるのか――」

「ちょっと考えれば分かるだろ?」


 俺なら幸せに出来ると言わんばかりの態度に、俺は拳を握りしめる。

 確かに…、あの時彼女に寄り添ってあげられなかった。

 人の基準を、俺の感情を押し付けてしまった…そんな俺が彼女を幸せに出来るのか?

 そんな不安がよぎった。


「その条件を飲んでくれるんなら、皇帝への口添えだって俺は惜しまないぜ良い事だろ?」

 

 勝ち誇るようにトレントは笑っている、自身があるのだろう。

 けれど俺は――


「断る」


「おいおい、国益を考えろよにーちゃんスニオン帝国のほうがデカい国なんだぞ」


「確かに上辺だけ見るなら、言ってる事は正しいだろうね…」


「はっ?じゃあなんで断るんだよ!?変な意地で…」

 

「意地じゃないよ」

「だって君は、ミネルヴァの負担を考えて王に発言したのかい?」


「…っ」


 その言葉にトレントは考えても無かったのか、呆然とした顔を浮かべた。

 俺はこいつが気に食わない――、当然に人を見下している様に見える、その態度が腹立たしくて仕方がない。

 

「自分のメンツばかりで、その態度が彼女の外交に負担を掛けるとは思わなかったのかい?」


「仲介のアクアリアが多少の負担があるのは――」


「俺は、彼女の話をしてるんだ!!」


 そう口に出すとトレントは言葉を詰まらせた。

 国の事なんて今はいい、彼女を引き合いに出すのなら…幸せを問うのなら間違いだ。


「彼女は強いかも知れないでも!!、人に何かされても心の内で抱えるような繊細な人なんだ!!」


 思い浮かぶのは――震えて文句も言えなかったミネルヴァの姿だ。

 始めて人魚の姿を見た時、彼女は怯えていた「助けて」って簡単な言葉すら言えなかったんだ。

 

「虐められたって、誰かを責めたりできない!!」

「そんなあの娘に君は負担を強いたんだ!!」

 

 そんなこいつが相応しいって?

 認められる訳がない!!

 彼女と結ばれる未来が決して簡単じゃないことは分かっている。

 けれどそのリスクは、俺が誰より分かってるんだ――


「人間が嫌いなのは結構だが、ここは人間の世界…」

「人の道理がまかり通る世界だ、そのリスクも配慮もできないなら――」

 

「部をわきまえろ、()()()()


 レオナルドの言葉は鋭く、いつもの柔和な態度とは大違いだ。

 反論の余地がないのか、トレントは押し黙るしか出来なかった…彼はミネルヴァがこの地上でどう暮らしてきたか知る由もない。

 

 この場を支配したのは、トレントではなくレオナルドだ――

 レオナルドは彼の前を通り過ぎると、扉に手をかけると笑顔でくるりと振り向いた。


「練習は終いです、では…また明日!」


 先程の事はなかったように普段の態度に戻ると、レオナルドは部屋を去った。

 残されたのはトレントだけとなった。

 ドンっ――感情的にトレントは、壁を叩いた。


「――クソっ」


 その声には悔しさを滲ませた、顔を歪ませ一人に部屋に残されるのだった。

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