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人魚姫の“姉”に転生したので、妹の悲劇を防ぐため王子を殺すはずが執着されました  作者: 目々ノミーコ
2章

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5話 ハッピーエンドを探して

 フラフラと歩くうちに私は、初めてレオナルドと歩く練習をした場所に訪れる。

 まだ夕日というほどではないが日は傾き始めいる。

 

 (……色々ありすぎてか懐かしく思えるわ。)


 今は誰もいない為か、ただ広い緑の芝生が広がっていた。

 おかしいわね……あの時の緑は鮮やかに記憶している、しかし今は何処かあせて見えるわ。

 光のせいかしら…?


 私は近くの壁によたれかかると思考を巡らせた。


 物語通りではない世界、今やどうなるか全くわからない…

 妹は、親や私が恋を邪魔すれば、魔女の元に向かうでしょう……

 それで結末が変わるとはどうしても思えない。

 王子が人魚姫を選ばなかった理由は一つでは無いからだ。


 一つは有名なもの、助けた事実を知らない。


 二つめは、恋愛対象ではなかった……、彼女は美しい愛玩だったのだ。

 外交の立場、素性のわかる今なら何か違うかも知れない。

 そもそも私が恋愛対象なら…人外である事は問題ないのよね……

 寧ろあの姿に固執していたし人外フェチの可能性ってあるのかしら?

 なんか思考が変になってきてるわね、問題を具体化しないと。


 レオナルドを殺すか、妹と結ばれる未来を目指すか――


 私は妹を救うために来たのだ…ならばその最も幸せな形を優先するのが、姉として望ましい。

 王子に取って人魚は障害ではない、妹には失われる筈の歌声がある。

 理想的な状況じゃない――


 レオナルドが好きになったのは、きっと所詮は吊り橋効果…同じ危機を脱したからに尽きるはず。

 ふとしたら冷めるかもしれない…けれどきっと妹の恋は永遠だ。


 そもそも彼を殺しに来たのよ私?図々しいにも程があるわ。

 だから諦めればいい、私の気持ちなんて――


「あれっわたし」


「何で泣いてるの…?」


 ポタポタと雫が落ちた、なぜ泣いているのか私にもわからない。

 辛くて苦しい…胸が締め付けられたようだ。

 泣き止まないと、そう思えば思うほど涙が溢れた。


 どうしよう――


「ミネルヴァ?」


 声に思わず見上げるとそれは、トレントだった。


「おまっ!?泣いてんのか!!」


「――っ」


 顔を思わず背け、手で覆うこんな所を見られるなんて最悪だ。

 また笑われる――


「すまんかった!!」


「へっ…?」


 深々と頭を下げて、バツの悪そうな顔をあげる。

 どうやら何かを勘違いしているらしい……しかし何を勘違いしているんだ?


「お前がそんなに気にするって思わなかった!!本当に悪い事をした!!!」

 

「自分、久々に会えて気分が上がってしまったんよ〜それに…」


「それに何よっ」


 虫の居所が悪い私は、キツめにそう言い放つ。

 彼は目を泳がせていたのを、私に焦点を当てるとゆっくりと口を開いた――


「女は数年会わなきゃ変わるとは親父…じゃなくて皇帝陛下から聞いてたけど…」

 

「お前があんまりにも、綺麗になっててどう接していいか分からなかったんだよ――」


 恥ずかしそうにトレントは顔を赤くする、思ってもいない発言に私は涙が引っ込んでしまった。

 何処の男もこの季節は盛ってるのかしら…


「はぁ?」


「信じてないな!!」


「信じる訳ないじゃないっ」


「何でだよ」


「だって、アンリエッタに先に会ってたじゃない!!」


 アンリエッタは誰が見ても認める完璧な美少女だ、愛くるしい仕草に容姿…カスタマイズしたように選ばれた金髪碧眼の容貌。

 

 絵に描かれた様に完璧な乙女の姿、私を差し置いて見るなんてありえない!!


「アンリエッタはそりゃ天使のように可愛いけど、恋愛対象として見てねーよ」


「言ったじゃねーか」

「自分は、婚約者だって今まで思ってたし――それが良いって今でも思ってる」


 それって――

 ずっと私のことが好きだったって事?

 えっ何で…こんな魔女みたいな見た目なのに??


「えっ…いやうん、そうなの変わった趣味ね……」


 正直別に私は自分の容姿は好きではない…絵本の中のお姫様ばかり見ていたせいか…

 整っているのかも知れないが、つり目で力強い目元に意地悪そうな私の顔はあんまり好きではなかった。

 

「何でだよ!!」


「じゃあ具体的に何処が好きなのよ!!」


「そりゃ深海色の瞳とか…」


「とか?」


 何か隠しているように見えて私は、言葉の箸を詰める。すると彼は動揺してか、体を仰け反る。


「言ったら怒るから嫌だよ」


「言ってみなさいよ」


「…たわわな所とか、へへ」


 たわわ?私は彼の視線を追うと私の胸に、いっている事に気がつく。

 中学生かよ!!!

 いや同い年だし、年齢的には高校生ぐらいだわ確かに…


「下品ね」


「言えって言ったのお前だろ!?」


「下品なのは知らなかったもの」


 そう手で口を隠す。

 彼の方を見ると、何だか安心したような顔を向けてくる。


「まぁ、ちょっと調子戻ったみたいで良かったぜ」

「自分のことだけじゃないだろ悩んでたの?」


 お見通しなのね…レオナルドといい王子様方は、根回しが上手だわ。

 女性の私が嫌になっちゃう。

 まぁ隠さなくてもいいわね…何かいい打開策があるかもしれないし。


「…アンリエッタが、レオナルドに好意があるらしいの」


「えっ人間に!?夢見がちだとは思ってたけど…うーん」


「勿論きっと私の父上は反対するだろうし…貴方の所の厳格な父上なんて卒倒しそうね」


 人間との異種族恋愛…無いわけでは無さそうだけど、王族感での記録を聞いたことは無い。


「だろうな〜、応援はできないなぁ俺は正直この同盟にも反対だ」

「人間側がわざわざ干渉できる理由なんて作りたくないね、あいつら海汚すし」


「あなた大胆ね…こんな所で」


「まぁ利益も分かるよ、珍しい品々に大陸の知識…海では得難いものばかりだ。人間がどうこう除くならその利益が莫大なのも分かっちゃいる」


 見る所やっぱり抜け目がないわね…人間が好きではない。それは当たり前の感情だ、私は元々転生してきた身。

 抵抗が少ないのもそのせいだ、しかし彼らは違う。まったく違う文化の存在に、忌避するのは生物としては寧ろ正常だ―― 


「まぁ公的な話は置いといて、アンリエッタの恋なぁ〜」

「長く交友する為に姫を貰うなんてザラにある話だワンちゃんはあるんじゃねーか」


「……そうね」


 恋愛が成立しなくても“政略結婚”そこまでたどり着けば、妹の願いは成就する。

 なら最終的な外交の目的をそこに据えれば可能性はあるのか…

 レオナルドは少なくとも今は婚約者がいない身の上…ありえない訳ではない。


 トレントは暗く沈むミネルヴァの顔を見る。

 どうしたのかと触れようとした時――


「何をしてるんだ」


 そうレオナルドがトレンドの手を強く掴んだ。

 その目には明らかな怒りの色が浮かんでいた。

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