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誘われしダンジョンマスター・未来紀行  作者: 北のシロクマ
第6章:プラーガ帝国のダンマス
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真打ち登場?

『オッホホホホホ! まさかそちらから挑んでくるとは思いませんでしたわ。前回は()()にもわたくしが敗れる事態が発生しましたが、今回はそうは行きませんわよ? どうせ貴女は()()により()()勝ちを拾ったのを実力と勘違いなさっているのでしょうけれど、前回のわたくしは実力の三割ほどしか出しておりませんの。この意味がお分かりになって?』


 ――等とマシンガントークから始まった()()()とのコンタクト。

 モニターの向こうでは負けたはずのシュノーゼさんが何故か勝ち誇っていて、こちらを見下すように話してくる。


「耳障りですねぇ。()()と再戦するくらいなら、あのままGAとの死闘を演じてた方が良かったのでは?」

「さすがにそれは……」


 エレインにコレ呼ばわりされているシュノーゼさんのトークはいまだ終わらず、中々本題に入れない。

 GAを強制転移させた代償にこの人とのバトルを選んだのは失敗だったかも……。


 あ、そもそもね、なぜこの人を選んだかと言うと、他に候補がいなかった――というか、即座に応じてくれる人がシュノーゼさんしかいなかったと言った方が正しい。


「しかし、またこの女と戦うことになるとはな。大丈夫なのかミラクル?」

「ありがとう幻王(げんおう)さん。前回はあたしの不注意だったから、もう大丈夫だよ」


 相手の性格は分かってるんだし、もう任せ切りにするつもりはない。

 というか今度の勝者特典は、一つだけ質問された事に対して正直に答える――という約束を取り付けたんだ。

 教えて困る情報なんか残ってないし、負けても安心だよ。

 ちなみにシュノーゼさんは、スリーサイズ以外なら答えてくれるんだって。


『そもそもの話、わたくしが貴女ごときに敗れるはずがありませんもの。前回の惨状は何かの間違いで――って聞いておりますの?』


 いけない、シュノーゼさんを放置してた。


『あ、ごめんなさい。何でしたっけ?』

『ムッキィィィ! あの落とし穴もそうでしたが他人の話を聞かないなど、つくづく無礼な真似をしてくれますわね!? いいでしょう。ここまでコケにされては黙ってはいられません。今度のバトルではパーフェクトなわたくしをご覧にいれますわ!』


 プチュン!


「また一方的に切り上げていきましたね。それにあの性格だと、落とし穴の件は根に持っている可能性が高いかと」

「えぇ……」


 それはそれで嫌だなぁ……。


「あらあら~。ミラクルちゃんは~、今日も大変そうね~」

「あ、セレンさん」

「侵入者がいたのに~、呼んでくれないし~、お姉さん寂しいな~」

「う……」


 GAとの戦いで呼ばなかった事を突っつかれた。

 もちろん出し惜しみした訳じゃなく、頼りたくなかったという悪い癖が……。


「アイリちゃんの~、眷族だったから――だよね~?」

「はい……」


 やっぱり見透かされてた。

 これはセレンさんの言う通りで、結局はアイリちゃんに頼る事になると思ったから、敢えて呼ばなかったんだ。


「命に関わるのなら~、無理しちゃいけませんよ~?」

「はい。今回は危なかったので、もう無茶はしません」


 ブラッシュさんとワグマさんが死ぬかもしれなかったんだし、命懸けで我を押し通すのはやめにしよう。


「ところでそこの3人は~、何をしておいでで~?」

「犬の真似をしてもらってるんだよ? かわいいでしょ!」


 約束通りムムちゃんたち3人には、犬耳と尻尾をつけてお座りしてもらっている。

 とっても似合ってるんだけど、3人とも微妙な顔をしてるんだよねぇ。どうしてかな?


「ねぇ、実はミラクルってドSなんじゃない?」

「そうかもしれませんわ……」

「……潜在的Sが覚醒したとか」

「ん? 服のサイズはSだよ?」

「「「はぁ……」」」


 あ、あれ? セレンさんも含めて4人が一斉にため息を?


「皆様、マスターに悪気はありませんし、ドSでもありません。ただ単に世間知らずなだけですので、どうぞお許しを……」

「え? あたしって世間知らずなの!?」

「はい。ただ可愛いからと犬の真似をさせる人物は、マスターをおいて他にはおりません」

「「「うんうん」」」


 しかもみんなで頷いてる!


「ま、まぁアレだ。そんな事はいいじゃねぇか。それよりも転移させたGAの方だ」


 聖徳(しょうとく)さんに言われて思い出す。

 GAはダンジョンの外に転移させただけで倒してなかったんだ。


「エレイン、お願い」

「承知しました」


 パッ!


「え~と…………あちゃ~、まだ居るよ……」


 ダンジョン周辺をモニターに映すと、入口で棒立ちしているGAの姿が。


「おかしいですわね。ダンジョンバトルを控えてると、入口は消えるのではなくて?」

「そのはずなのですが、どうも座標を特定されてるらしいですね。これではバトル終了と同時に侵入されかねません」


 それだと(もと)木阿彌(もくあみ)になっちゃう。

 何とかして倒さなきゃ。


「フフ~。私の出番~、ですね~♪」


 セレンさんはSS(ダブル)ランクのサイレントアフロディアという魔物で、セイレーンの超が付くほどの上位種なんだ。


「それじゃあセレンさんにお願いするよ。でもダンジョン外だから、くれぐれも注意してね?」

「大丈夫ですよ~。3人にも~、サポートして~、もらいますから~♪」


 コアルームから出たセレンさんが、ブラッシュさん達3人を引き連れてダンジョン入口へと向かった。


「しかし大丈夫なのか? ダンジョンから出ると、せっかくのイニシアチブが……」

「大丈夫だよ、セレンさんなら」


 不安を投げ掛けてきた幻王さんにキッパリと言い切る。

 アイリちゃんの元で戦闘を多くこなしたって言ってたし、多分GAみたいなのと戦った事もあるんだと思う。


「間もなくGAと接敵します」

「うん!」


 頑張って、セレンさん!



★★★★★



「…………」


 ダンジョンの入口があった場所で、侵入可能になるのをジィっと待っている兵器――GA。

 あらゆる存在をも鑑定できる紅い目がダンジョンのあった場所を看破し、再び入口が開くであろう事も見抜いたのだ。


 ピシッ!


「……?」


 グルースの放った銃弾がGAの頭部へと命中するが蚊に刺された程度でしかないダメージであり、危機感を感じる事もなく周囲をキョロキョロと見渡すのみ。

 だが次の一撃に危機感を感じたのか、素早くその場から飛び退いた。


 シュ――――ドォォォォォォン!


 ブラッシュが放ったブレスにより地面にクレーターが出来上がる。

 そこから立ち込める煙を無視したGAが、上空に視線を固定した。


「やはり易々と食らってはくれませんか。そのまま燃え尽きてくれれば、ボクとしても面子が保てるのですがね」


 GAが視線を送る先では人化を解いたブラッシュが浮遊しており、先ほどまでとは違い余裕の表情を浮かべている。


「貴方は……アホ?」

「貴女の基準ではアホなのでしょう。しかし、今この場から逃げるという選択をしなかった貴女は、ボク以上にアホを晒していますよ?」


 どういう事かと首を傾げるGAに向け、ブレスを吐くモーションへと移る。

 しかし回避は余裕とばかりにGAは飛び上がり、死角に回り込んでから掌をブラッシュへと向けた。


「今度こそ仕留める」


 別方向にブレスを吐き出したブラッシュは隙だらけ。

 そこへGAのレーザーキャノンが!




 ゴバァァァァァァ!


「ア"ア"ア"ア"ア"ア"!?」


 ――放たれることはなく、GAの真後ろから迫ってきたブレスがモロに直撃し、ノイズのような声をあげて地上へと落下する。


「まだじゃーーーい! トォォォ!」


 そこへ追撃に出たワグマが地上から飛び上がり、渾身の力を込めた拳をGAに叩き込む。


 ドゴォ!


「ゴフッ……」


 ブレスで弱っていたためかGAの左腕がへし折れ、木を何本も薙ぎ倒しながら数百メートル先に倒れ込む。

 立ち上がる様子はないが、万全を期してやや離れた位置にブラッシュたちは降り立った。


「フッ、呆気ないものです。こうも簡単に引っ掛かるとは」

「私の幻術が~、あったからですよ~?」

「もちろんセレン殿には感謝しております」


 横に並んだセレンが言うように、GAが見ていたのは別角度から見えていたブラッシュの幻術だ。

 そのため向けられたブレスに気付くこともなく直撃したのである。


「さて、しばし経ったが起き上がってはこないな。これならトドメを――」


 ――バッ!


「――セレン?」


 近付こうとしたグルースをセレンが手で制する。

 何故? ……と思うより先に、その答えが上空より現れた。


 シュゥゥゥゥゥゥ!


「ちょいと失礼しますぜ――っと」


 GAよりも一回り大きいダークブルーの機体が地上スレスレまで降下し、大破寸前のGAを回収すると再び上昇してブラッシュたちへと振り向いた。


「その見た目から察するに、貴方もGAの仲間ですね?」

「ま、今さら隠すまでもないわな。ついでだから名乗っておくが、俺の名はRU(アールユー)だ。目的はGAを連れ戻すことさ」


 中年男の声で名乗った名はRU。

 恐らくはGAと同等かそれ以上の強さの可能性が高く、ブラッシュを始めとする眷属たちは様子を(うかが)う事に。


「見てみりゃGAは虫の息。今後アンタらは襲わないって事で、ここらで手打ちにしましょうや?」

「……それを信じろと?」

「疑い出したらキリがねぇぜ? 嫌だってんなら構わないが、そん時ゃ捨て身で戦うまでよ。例えば……」


 (あご)に手を添えて考える素振りを見せると、ニヤリと笑って親指を北へと向け……


「あっちにゃ別の拠点があるんじゃね?」

「「「!」」」


 この台詞には眷属だけじゃなく、音声を拾っていたミラクルたちにも衝撃が走った。


「なぜ――って顔してんな? そんなもん、ダンジョンとのリンクで丸分かりさ。GAは気付かなかったみたいで良かったなぁ?」


 GAですら驚異的な分析能力を持っているのだ、その仲間であるRUも特殊な存在であることは認めざるを得ない。


「どうよ? 俺らとしても地を()う雑魚を相手にしたいとは思わない。見逃してくれるってんなら、あっちの拠点は手を出さないでおいてやるさ」


 ここでトドメを刺せば間違いなく報復が待っている。

 そうなれば無関係な者まで巻き込むことになり、ミラクルとしては避けたいところだ。


『ブラッシュさん、悔しいけどここは……』

『承知しました』


 やむ無くミラクルは見逃すようブラッシュに伝えた。


「……いいでしょう。この場は見逃して差し上げますが、もしも拠点を襲撃すればその時は覚悟してもらいます」

「言ったろ? 雑魚は相手にしねぇって。んじゃ帰らせてもらうぜ~」


 GAを担いだRUが飛び去って行く。

 それを見ていたミラクルは、また一つ脅威が増えた事をアイリに伝えるのであった。


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