5章 ー02
「大丈夫?」
自分にそっくりな少女が心配そうに駆け寄ってくる。
麗華はどう対応すれば良いのか分からず、少女を不安な顔で黙って見つめた。
「駄目よ、白拓!もう遅いわ!」
朱奈の声に岩を見ると、いつの間にか金色に髪が伸びた青年は着物を靡かせ岩に近づいていっている。
よく見ると、着物の端々がまるで風に切られたかのように千切れていた。
「白拓……」
少女の顔や声色、全てに不安が滲んでいる。
「駄目です!」
少女がそちらに行こうとするので麗華は両手を広げてそれを阻止する。
「溢れ出ている気が強すぎて傷ついてしまいます」
「じゃあ黙って見てろって言うの!?」
麗華はこれ以上ないくらい目を丸くした。
自分と同じ顔から、自分ではあり得ない言葉が出てきているではないか。
「えっと……」
「あの岩に封印されているのは強い妖怪なのよ?貴女知ってるんじゃないの?」
少女は眉間に皺を寄せている。
「その封印を歪ませたのが貴女なのだと……歪みを正せば全て上手くいくと聞いて縄を……」
今はそれが事実ではないことは明白であるが、そう信じて縄を切ったのである。
少女は鋭い目を朱奈に向ける。
「何?信じる方が悪いのよ」
朱奈は立ち上がり、土を払う。
「貴女らしいわね。でも、白拓に何かあったらどうするのよ?!」
白拓の着物の袖の片方はもう引きちぎれ、白拓の白い肌には赤い筋を幾つも出来ていた。
それでも岩から溢れ、流れてくる気に対して、白拓は手をかざし自分の妖力ぶつけていた。




