37/65
3章 ー11
項垂れていた透子はムッとした顔を白拓に向ける。
「ん?」
白拓は何かに気づいたようで、透子の側にしゃがむ。
「おい、この傷、朱奈か?」
え?と、声を出す透子の喉に白拓の指が触れる。
赤い一本の線が首には出来てる。
(朱奈さんが弾き飛ばされた時に出来たのかな?)
白拓が透子の首の傷を見ている為、透子の目下に彼のつむじが見えた。
(綺麗な髪)
透子は光輝く月のような白拓の髪を指で掬った。
白拓はびっくりしたが、嫌がる様子もなく、チラッと目だけを透子に向けた。
「……この傷、痛いか?」
そう言って白拓が顔を上げると、透子は彼の顔が近いので動きを止めた。
「ううん」
ぎこちなく首を振る。
「そうか。だが、消しておくか」
そう言ってもう一度、首に顔を近づけた。
痛くもない傷を治してくれるなんて……と思っていたが、白拓が傷を舐め始めたので透子は「ちょ、ちょっと!」と、彼の肩を掴む。




