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瑠璃と姉の過去

 地下監獄を出た龍二はそのまま学院長室まで連れていかれた。

 しかし部屋には誰もいなかった。

「あの学院長先生はどちらに?」

 ここまで連れてきた瑠璃に尋ねようとしたが彼女は部屋の扉を閉めると龍二に抱きついてきた。

「えっ、ちょっと瑠璃さん!」

 龍二は慌てながら瑠璃から距離を取ろうとしたが顔を見ると彼女は泣いており離れることができなくなってしまった。

 しばらくの間泣き続けた瑠璃は自らを落ち着かせると龍二のほうを見た。

「ごめんなさい、あなたを見ていると彼女のことを思い出してしまって」

「彼女というとうちの姉ですか?」

 瑠璃はその問いかけにうなづくと当時のことを少し語って聞かせてくれた。

「私も当時は実験パイロットの一人だったの。そこであなたのお姉さんと一緒にタッグを組んで様々なトレーニングをこなしていたわ」

「実験パイロットって何人もいたんですか?」

 龍二の質問を受け、彼女はポケットから一枚の写真を取り出した。

 そこには多くの若い少女とその後ろに9体のフォグ・ディフィートらしき機体が並んでいた。

 機体にはそれぞれ特徴があり、姿も様々だった。

 1体は姉の後ろに立っており、現在龍二が使った人型のフォグ・ディフィート。

 姉の隣には、瑠璃が立っておりその後ろには狼型のフォグ・ディフィート。

 そのほかにも蛇型、鳥型、サメ型などが並んでいる。

「それぞれの機体に最低でも1人はパイロットがいて、その予備役として数人の女子生徒が集められていたわ」

「その人たちはどこに?」

 龍二は聞かずにはいられなかった。

 自分の姉は、死んだ。他の人はどうなったのか、研究は続けられたのか。

「犠牲者が出たのに研究は続けられたわ。そして参加したパイロットたちにも決して治せない障害がそれぞれに残ったの」

「じゃあ瑠璃さんにも障害が?」

「私の場合は、左目の視力が見えなくなっただけよ」

 そういいながら瑠璃は左目をよく見えるように髪の毛をたくし上げて見せた。

 龍二は瑠璃の左目を見ると驚いたかのように目を見張った。

 左目には何かの刻印が書かれていたのだ。

 それも龍二の背中に描かれている刻印に酷似しているものが……。

「気が付いたみたいね。その紋章がいわば契約の証みたいなものなの」

 そういうと彼女は、左目をそっと撫でた。

 そしてそのまま立ち上がった。

「そろそろ昔話は終わりにしましょう。今日からあなたは隣の零式部隊専用の寮で寝泊まりしてもらいますので案内します」

 彼女はそれだけ言うなり隣の寮へ向かいはじめた。

 龍二は慌ててそのあとを追うのであった。

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