零式部隊長との対談
龍二が次目を覚ましたのは、3日たった後だった。
体は、厳重に固定されているのか身動きが全く取れず、なにやら隔離されているようだ。
「誰かいないのか!」
その言葉に反応したのか少し離れたところから誰かが走ってくるような足音が聞こえ始めた。
どうやら走ってきたのは真琴のようだ。
「龍二さん大丈夫ですか!」
「ああ、大丈夫だよ。それよりもここがどこだかわかる?」
俺がそう訊ねると言い辛そうにしながらも答えてくれた。
「ここは私たちが入学する予定だった龍門司学園の地下監獄だよ。龍二さんが未確認のフォグ・ディフィートが消えた場所から現れたから敵勢力の疑いで捕らえられているの」
真琴が話し終わったタイミングを見計らったかのようにこちらに近づいてくる足音が聞こえ始めた。
「誰か来る!! 真琴、この場にいたら怪しまれる。すぐに逃げろ」
しかし時すでに遅し、足音の主が真琴の後ろへと立っていた。
「ここで何をしているの。あなた今日入学予定だった新入生よね?」
その声にびっくりした真琴は恐る恐る後ろを振り返ると長袖シャツに赤いネクタイ、濃緑色のカットソージャケットに黒色のプリーツスカートを身に着けたオレンジ髪の少女が立っていた。
身長は真琴より少し低いのだが、体つきがしっかりと鍛え上げられた軍人を思い浮かばせ、その雰囲気はとてつもない威圧感を放っていた。
「早く待機所へと行きなさい。もしいかないのなら彼と同じ敵対勢力の疑いで捕らえることになるわよ?」
オレンジ髪の少女はそういいながら、手錠をちらつかせながら真琴に近寄ってきた。
「話を聞かないうちにそう決めつけるのはおかしいのではないですか!」
真琴はそんな彼女に少し後ずさったあとそう反論すると彼女は予想外にもうなづいて見せた。
「それはそうね。だからそこの彼にはこの後ここの上層部にてすべてを話してもらうことになるわ。こちらの味方なのか、ドラゴンとの内通者なのかを」
「真琴、とりあえずは戻ったほうがいいと思うぞ、まだ俺の中で整理がついてないんだ」
真琴は、何か言いたそうだったが無言でうなづいた。
「わかった、また後でね。えーと」
そういうとオレンジ髪の少女のほうを見た。
「私は九頭龍真琴です。熱くなりすぎてしまって申し訳ありませんでした。失礼します」
「私のほうこそ名乗りもしてなかったわね。この学園の学生長であり零式部隊長の棗瑠璃よ。彼のことは責任もって保護するから……」
真琴は、駆け足でその場から離れると龍二と瑠璃の間に緊迫した雰囲気が漂った。
「そんなに警戒しないでいいわよ。 周囲の目もあるからこういう形をとらせてもらってるけど、あなたのことは調べて分かってるから」
そういうと1本の黒い日本刀を差し出してきた。
それは龍二が乗っていたフォグ・ディフィートのキーデバイスだった。
「そのキーデバイスは過去に封じられたものよね?」
まるでその悲劇の現場にいたかのように瑠璃は語り掛けてきた。
「あの機体を知っているということはあの実験の現場にいたのか?」
龍二の問いに瑠璃はためらいながらも頷いて見せたがそれ以上のことは語らなかった。
「さて暗い話はやめましょう。最終決定としてあなたの入学は正式に認めます。ただし条件として私の監視下でもある零式部隊の正式メンバーとして動いてもらうことになります」
瑠璃はそう語ると龍二の返答を待つかのように顔を見た。
「疑いがかけられて入学できないよりはましだな。さっきから言ってる零式部隊とは何だ?」
「零式部隊は万が一、学園周辺にドラゴンが出現したときのための一番危険な先行撃退部隊よ。そしてそれぞれが何かしらの事情で個人所有のフォグディフィートを持っている部隊よ」
そういうと瑠璃は牢のキーを解除し扉を開けた。
「それでもいいというなら出てきなさい。私たちはあなたの古代の力を歓迎するわ」
龍二はその言葉に迷いもなく、扉をくぐった。




