襲撃
あの事件から10年の月日が流れ、日本は壊滅状態から復旧し技術も格段に向上した。
そして、一人の少女が犠牲になった事件があったにも関わらず、研究に力を入れ疑生体兵器フォグ・ディフィートを完成させた。
事件は最初からなかったかのように上層部の人間によって改ざんされドラゴンの襲撃の事実のみが歴史に残された。
今では、ドラゴンと戦うフォグ・ディフィートは若者のあこがれとなっていた。
中学の卒業したあとの進学先はと聞かれると男女問わず、唯一フォグ・ディフィートについて学ぶことができる龍門司学園への進学を希望している生徒が多い。
しかし毎年学園に進学できるのは、整備しとして10名、練習用のフォグ・ディフィートの関係上パイロットが10人程度なのだ。
そして今日、龍門司学園の合格発表を聞くために黒式龍二も学園の体育館へと向かっていた。
「少し早く来すぎたな」
時間を見てみると時刻は、ちょうど結果発表の1時間前を示していた。
周りには、さすがに誰もいなかった。
「建物にはさすがに入れないだろうけど、敷地内を見て回るのはいいだろう」
そう呟き、俺は見学しに行こうとしたとき後ろから誰かが走ってくる声が聞こえた。
「わー、遅刻遅刻! 結果発表当日なのに遅刻だよー」
手に食パンを持って走ってきている彼女は俺のことを気が付いていないようだ。
このままでは、ぶつかってしまいそうなので声をかけた。
「おい! まだ結果発表までは時間あるぞ!」
そう声をかけると彼女は、驚き尻もちをついてしまった。
「ふぇっ!」
彼女は周りをきょろきょろと見渡すと時刻を確認し始めた。
「時計が壊れてるー」
「大丈夫か?」
俺が手を差し伸べるとようやく俺のことを気がついたようだ。
「あっ、すみません」
「まだ結果発表まで1時間あるから落ち着け」
彼女に自分の時計を見せると、顔を真っ赤にしてうつむいてしまった。
「俺も早く着いちゃって困ってたんだ。よければ近くの喫茶店で時間をつぶさないか?」
「いいですね! まだ名前教えてませんでしたね。私、九頭龍真琴です」
「俺は、黒式龍二だ。よろしく」
それから俺たちは、近くの喫茶店に向い、真琴はカフェオレと蜂蜜をたらしたパンケーキ、俺はブラックコーヒーとサンドイッチを頼んだ。
しばらくの間、お互いのことを話し合っていると結果発表まで30分を切っていた。
二人は会計を済ませ、店を出ようとした直後大きな揺れに見舞われた。そして町全体に警告サイレンが響き渡った。
『――Bクラスのドラゴンの出現を感知しました。直ちにお近くのシェルターに避難してください。繰り返しお伝えいたします。Bクラスの……』
放送の直後、世界は一瞬静かになりその後人々はパニックを起こし、我先にとシェルターがある方向へと走り出した。
学園のほうからは、数機のフォグ・ディフィートが出動している。
「私たちも逃げましょう」
「ああ、そうしよう」
そういうと店のシェルターへと走り出そうとしたとき、後ろから女の子の泣き声が聞こえた。振り返ると女の子の前にドラゴンが迫っている。
学園所属のフォグ・ディフィートも女の子の姿に気が付き、最低限の行動しかできていないようだ。
「俺が連れに行く。真琴さんは先にシェルターに向かって、すぐに追いつくから」
そう言うとすぐさま女の子に向かい走り出した。しかしそれよりも早くドラゴンは女の子を食べようと、その口を近づけ始めた。
俺は、必死に手を伸ばしながら全力で走りながら叫んだ。
「やめろー!!!」
そのとき何者かに背中を押すような感覚を覚え、さらに加速しギリギリのところで女の子を助けることができた。
しかし獲物を取られたドラゴンは、怒りの表情をあらわにしてこちらに向かって炎を吐こうとした。そこへ学園所属のフォグディフィートもただちに攻撃態勢に入りドラゴンに銃を使い攻撃し始めた。
ドラゴンは攻撃を受け、怒りのあまり辺りを無差別に焼き払い始めた。その炎は、建物を焼きそして最前列にいた学園所属のフォグ・ディフィート2体を一瞬にして火だるまにしてしまった。
学園所属のフォグ・ディフィートは、学園生が操縦士を務めているため臨機応変な対応に慣れておらず編成が乱れてしまったことで、頭が真っ白になってしまっているらしく逃げ腰での攻撃を始めズルズルと後退し始めた。ドラゴンは、その隙を逃さず自らの尻尾を使いフォグ・ディフィートを薙ぎ払った。
その衝撃により、フォグ・ディフィートはメインシステムがダウンしたようでその場で動きを止めてしまった。
俺は、そんな様子を遠くに眺めながら少女を連れ近くのシェルターへと入ろうと駆け出したが、さっきの攻防で地盤に亀裂が入ってしまっていたらしく落盤が起こり、巻き込まれてしまった。
『こんなところで、死んでたまるかー!!』
そう強く思った時、心臓あたりにあるドラゴンの顔のような痣が、何かに共鳴するかのようにうずき始め、意識を失った。
そして意識が戻ったのは、まったく見たこともない神殿な様な場所で目を覚ましたのだった。




