はじまり
この作品は、空き時間を利用して書いているため不定更新です。
フォグ・ディフィート。
それは、古代い遺跡より唯一ドラゴンに対抗できる兵器として地下迷宮から発見され、複製された疑生体兵器。
その威力は強大で小型のドラゴンの場合、単騎でそれを滅することができるほどだ。
そして、フォグ・ディフィートを操縦するパイロットを育成するために日本から少し離れた人工島に、龍ヶ丘学園が建てられた。
その島には、かつて本土を襲ったドラゴンを封じ込めているとされており、試験段階のフォグ・ディフィートを運用するには最適な場所だったようだ。
しかし学校は建てられたものの、すぐには生徒の募集はかけられなかった。
試験段階であるフォグ・ディフィートの機体は完成したものの、その動力源となるコアに欠陥が生じたのだ。
最初の実験段階では、人を搭乗させずにAIによる起動実験した際は何の変化を持たなかったフォグ・ディフィートだが、次の段階である人を搭乗させた起動実験でその事件は起きた。
試験パイロットである、鉄優衣香を搭乗させ、神経接続させ起動プロセスを機体に送ったとたん機体一部に紋章を描くかのように赤いラインが走ったのだ。
それは、瞬く間に機体全体へと拡大している。
『きゃあぁぁぁ!!』
操縦席に乗っていた優衣香は機体に赤いラインが走るのと同時に悲鳴を上げ始めた。
彼女自身にまでまるで体を蝕むかのように赤いラインが浮かびあがり始めた。
『何よ! 何なのよ! 早くここから出してよ!!』
監視ルームには、彼女の悲鳴が響き渡っている。
「すぐに停止信号を送るんだ!」
「駄目です! 信号を受け付けません!」
「このままじゃ危険だ!! 機体の電源装置を破壊しろ!!」
そう命令した直後、いきなり監視ルームにけたたましくサイレンが響いた。
「どうした!!」
「機体が無理やり拘束具を外そうとしています」
映像に映し出されたのは、先ほどまでのフォグ・ディフィートとは全く違う化け物としか呼べない機体の姿が、今にも動き出そうとしている姿だ。
「いやぁぁぁ!! 私の中に入ってこないで!!」
操縦席からは、優衣香の声が響き精神状態が危険域まで低下している。
――ゴオォォォ!!
そしてまるで封印していたドラゴンが機体に乗り移ったかのように、フォグ・ディフィートが声上げて拘束具を切り離そうとしている。
「破壊準備完了しました!」
「すぐに破壊しろ!!」
その命令の直後、フォグ・ディフィートの電源装置を狙い対物ミサイルが放たれた。
砲弾は、ドォン!!と音を立てて機体へと直撃し、間一髪のところで機体の暴走を止めることができた。
しかし優衣香のバイタルを計測していた装置がゼロの数字を表示しているため、研究員たちは急いでフォグ・ディフィートの操縦席がある胸の部分を強制的に穴をあけた。
しかし操縦席の中には、優衣香の姿はなく試験段階のパイロットスーツと彼女のものと思われる血液があちこちに付着しているだけだった。
すぐさま危険だと考えた研究者たちは、機体を固定し滑車を使いドラゴンが封じられているといわれる祠へがある地下へと降ろし、その通路を破壊し入り口を鉄をはめ込みコンクリートで固め再び封印術式によりその場を封じ込めた。
試験型フォグ・ディフィートを封じ込めた後、すぐさま研究員はその島から離脱を試みた。
しかしできなかったのだ。
建物の外に出るとそこには、体中がボロボロになりながらこちらを見下ろしている封じられたはずのドラゴンがそこにいる。
「うそだろ……」
ドラゴンの姿は、全体的にうっすらとしている。
どうやら完全に封印を解くことはなく、思念体のようなものとなり目の前にいるようだ。
『我は、お主ら人間を許さぬ……』
まるで頭の中に直接言葉を投げ入れるようにそのドラゴンの声が響き、その直後ドラゴンの口から炎の塊が襲いかかってきた。
炎はまるで意思を持っているように動き、封じの祠めがけて一直線に進んでいった。
祠の封印は簡単に解かれた同時に、その中に眠っていたいくつもの凶悪な魂と思われるものが一瞬のうちにあちこちへと飛んでいく。
そして最後に祠から出てきたのは、消えたと思われた鉄優衣香だった。
まるでドラゴンに引き寄せられているかのように近付いていく。
「おまえら何をしている!! すぐに第二潜水艦へ避難しろ!!」
軍服を着ている男性は、大声を上げ研究員たちを誘導し始めたが、研究員たちは身動きを取れなかった。
海上には、最大武装した戦艦がドラゴンに対し砲台を向け始めている。
『そのような鉛玉、我に食らうとでも……』
ドラゴンは、まったく微動たりしないで軽く翼を動かすと戦艦の周りに竜巻が起こり喰らうように破壊していった。
その隙にドラゴンは試作型フォグ・ディフィートに憑依しその姿を変貌させた。
その姿はさきほどのドラゴンの姿より禍々しく、体全体を赤いオーラのようなもので包んでいる。
そして赤いオーラのようなものは、だんだんと光を弱めた時ドラゴンは再び姿を変えた。
「お前らが犠牲にしたこの少女を我が体としてやろう」
それは消えたはずの鉄優衣香にドラゴンの翼と尾を生やした姿だった。
会場から絶え間なく攻撃を続けるが、まるで間に壁があるかのようにドラゴンは攻撃をくらっていない。
ドラゴンはまるで飽きたかのように鉄優衣香の体を自由自在に使い、右腕に赤い球体を作り出したかと思うとその球体を島に投げつけた。
その球体は地上にぶつかると同時にはじけ、島と周囲の戦艦を水と一緒に蒸発させてしまったのだ。
「所詮この程度なのね」
鉄優衣香だったものはそう言うと日本に向け飛んだ。
日本ではすでに、別のドラゴンによって攻撃を受けていた。
「きゃあぁぁぁぁー!!」
「パパ、ママどこ?」
「ドラゴンは消えたんじゃないのかよ!!」
「いやぁぁぁぁー」
人々は、すでに地下シェルターに逃げ恐怖をこらえた。
ドラゴンの攻撃が止んだときには日本の人口は半分にまで減ってしまっていた。
今回は読んでいただきありがとうございます。
感想など頂けたら嬉しいです。




