045 「再会」
一話1000字程度の短編連作です。3分もあれば読めるかと。
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オオカミに囲まれて絶体絶命な錬金術士に突然やってきた地響き。
「なになに⁈」
それはすぐに収まったが、自然の物ではなくて人為的に起こされた事だとすぐに分
かった。この山付近に地響きを起こせるような巨大生物が生息しているような話は聞いた事が無いし、爆発だったとして、そんな事が出来る可能性を持っているのはお手伝いさん達か師匠くらいしかいない。
というかこの辺にいる人はそれだけだ。
錬金術士は地響きがきっかけでオオカミに囲まれたこの事態が好転することを密かに期待したが、世の中そんなに甘くはなかった。
変わらず牙を剥き出しにして低く唸っている。今にも襲いかかってきそうだ。
そしてその時はやってきた。
先頭にいた群れのボスと思われる一回り大きいオオカミが飛びかかってきたのだ。
「イヤァ〜!」
錬金術士は槍を向けたまま叫ぶだけで動けなかった。直前に転んで怪我をしていなければ怪鳥に襲われた時のように避ける事は簡単だったかもしれない。
襲いかかる牙と爪。
もうダメだと諦め掛けた瞬間、一つの銃声が響く。
飛来した銃弾はオオカミの前脚に命中し、仕留めることは出来なかったが追い払う事に成功していた。
「先生!」
聞き覚えのある声に聞き慣れた呼び方。錬金術士の事を「先生」と呼ぶ人なんかこの世に一人しかいない。
声の方を見てみると、お手伝いさんがそこにいた。
「お手伝い君ー!」
よく見れば、錬金術士なんかよりもよっぽどボロボロで、ヘロヘロで、今にも倒れそうな程だ。
それなのに。
「良かった……間一髪でしたね……って先生! すごい怪我してるじゃないですか⁈」
自分だって全身怪我だらけなのに、私の事を真っ先に想ってくれる。
どうしてこの人はこんなにも優しいのだろう。強いのだろう。
どうすれば、そんな風にいられるのだろう。
「ちょっとジッとしていてくださいね」
駆け寄ってきたお手伝いさんはそう言うと、リュックから小型の救急箱を取り出して錬金術士の足と手の平に応急処置を施した。
「見た目ほど怪我は酷くないみたいなので、これならすぐに治りそうですよ先生。……先生?」
「…………うぅっ……」
気付けば、涙がホロリと。
どうして自分は泣いているんだろう。
怪我が痛いから? 応急処置が染みたから? 怖かったから? それとも、安心したから?
なぜだろう。分からない。
でもこれだけは分かった。
この涙は、いい涙だという事を。
次回第46話「休憩」
お楽しみに!




