特別編21 「ホワイトデー。2年目」
一話1000字前後の短編連作です。
本編は毎週火曜更新中!あした!
王国から離れた位置にポツンと立っているアトリエでは、妙な催し物が開かれていた。
本日はホワイトデー。バレンタインのお返しをする日。
「いっくよーお手伝い君〜!」
「僕は反対なんですけど……」
言いつつも構えるのはお手伝いさん。
「お手製のお返しよりはマシと思って、早々に諦めたまえ」
犬にも猫にも見える動物、いぬねこは神妙に頷く。
「えい!」
ふわふわな白衣にふわふわな髪飾り。何から何までふわふわな錬金術士は、ふわりと白い何かを放物線を描くように放る。
宙を舞う白い何かは吸い込まれるようにお手伝いさんの口の中へ。実際はあらぬ方向へ投げていたが、彼が素早く落下点へと移動していた。
「どお?」
「どお? って……まぁ、マシュマロですね。安定の美味しさです」
口の中で滑らかにとろける甘み。舌だけでゆっくりと味わって、飲み下す。
ホワイトデーという事で、お手伝いさんからもらったバレンタインのお返しを錬金術士なりにしているのだが、まさかこんな事になろうとは。
彼としては、錬金術士からの贈り物なのでじっくりゆっくり味わいたいところだったのだが、普通に渡したのではつまらない、投げるから食べて〜と言って、現在だ。
「食べ物で遊ぶのは行儀が悪いですって……」
「もうやっちゃったんだから、いまさら何言っても一緒でしょ〜! ほら、もういっこ行くよ〜」
そしてお手伝いさんの返事も待たずに宙を舞う白いふわふわ。
またしても見当違いの方向へ飛んでいくが、彼は一瞬見失うほどの速度で回り込み、パクリと完璧にキャッチ。
「君、なんか必死になっていないかい? 動物的な小生でもビックリな身のこなしなのだけれども」
「食べ物は粗末にできませんから! あと先生からの贈り物ですから!!」
「明らかに後者の方が意味合いが強い気がするが、まぁいいだろう」
「それ! そっれ! そぉれ〜!」
パク。パクッ。パックーン!
軽やかな動きで全てを落とす事なく直接口でキャッチ。
「ふぇんふぇい、おうひょっほへはへんほ」
口にいくつものマシュマロがあって何を喋っているのか分からない。
「君も彼女からの悪い影響を受けてしまったようだね……」
いつも礼儀正しいお手伝いさんだが、そんなことは気にしない錬金術士と過ごしていたからか、感化されつつあった。
いぬねこはやれやれと溜息をつきながらも、楽しそうに過ごす二人を眺めるのだった。
マシュマロを口でキャッチよくやりました。軽くて上手く投げられないんですよね……。何回か失敗して諦めて、普通に食べました。




