第7話 小学生時代⑥
時が過ぎ、僕たちは4年生になった。
「あんなにちっちゃかったのにねぇ」
「もうこんなに大きくなっちゃって」
僕はサッカーをやっているし、大悟も牛乳をたくさん飲んでいるので、身長が大きくなった。
「じゃ行ってきます!」
「行って来まーす」
「クラス替え楽しみだね」
「また一緒になれるかな?」
「ね!」
学校に着くと、正面玄関にクラス表が貼られていた。結論から言うと僕、理玖、大悟、拓郎、旭の5人は同じクラスだった。喜んでいるのも束の間、拓郎がクラス表を指差した。
「あれ、見てみろよ。」
「ん?え…」
「あっ…担任いのっちか…」
いのっちこと井上先生は、すぐに怒ることで有名なのだ。しかも物に当たるのである。
「やだね…」
「うん、やだ…」
2人で肩をおとして落としていると、後ろから声をかけられた。
「お前たち1年間よろしくな!」
「声でかいよ…いのっち…」
「なんだ、嬉しくないのか?」
「うーん…」
「とりあえずよろしくな。もうすぐ始業式始まるからな。綺麗に整頓しろよ。」
そう言っていのっちは職員室へ向かった。
「なんか丸くなった?」
「3年の時、隣のクラスまで聞こえたもんね、怒声。」
「丸くなってないでしょ…」
「なぁ。」
3年の時いのっちのクラスだった理玖と拓郎は肩を落とす。
「しかも知ってる?同じクラスだった優樹、いのっち嫌で転校したんだよ。」
「え、そうなの?てっきり家庭の都合かと思ってたのに。」
「違うよ。いのっちに怒鳴られるのが嫌で、私立の小学校に転校したの。」
「そうなんだ…」
「おい、早く並ばないとまたどやされるぞ。」
拓郎の一言で僕たちは急いで教室に入って整列に紛れ込んだ。
始業式は筒が無く終わり、2年生から順々に教室へ帰る。
「4年生、起立」
「はい!」
体育館から出るとみんながだれる。じゃれあったりする子たちもいる…が。
「おい!お前たちふざけるなよ!」
いのっちの怒号にみんなが固まる。なるほど、これは確かにきつい。
自己紹介や提出物を済ませてその日はお昼前に学校を出られた。
「おい、家帰って荷物置いたら、竹屋集合しようぜ!」
「いいよ。」
「え、大悟塾いいの?」
「今日は休みだから。それにしばらくみんなと会えてなかったしね。」
「おー!いいね。あ、俺と理玖こっちだから。」
「じゃあまた後でねー。」
拓郎たちと別れ、僕たちは右に曲がった。話題は今日のいのっちについてだ。
「怖かったね。」
「理玖くんの時イライラしてたもんね。」
「ね。あれはハラハラしたね。」
「あ、病院だ。お母さん達いるかな。」
僕と大悟が住むマンションの下はクリニックモールになっていて、僕の父母と大悟の父母が共同で経営している内科と小児科のクリニック、整形外科など色んな病院と薬局が並んでいる。
「いないや。」
「いないね。」
「今日はどっちかいるはずだけどな…あ、大悟のお母さんだ。」
大悟のお母さんがこちらに気付き、手を振る。
「今日始業式かー。おかえり。」
「ただいま!」
「こんにちわー」
「こんにちわ。」
「僕と隼人、荷物置いたら竹屋行ってくるね。」
「うん、分かった。お昼ご飯作ってあるから、あんまりお菓子食べないようにね、隼人くんのお母さんにも伝えておくね」
「ありがとうございます!」
それぞれ、ランドセルを置いて、スマホとお菓子代を持って、竹屋に向かう。
「作戦会議だね。」
「そうだね。」
竹屋に行く足取りは軽かった。やっぱり仲間って大事だ。




