第5話 小学生時代④
「え、映画?」
「ほらガングリオン公開になったじゃん、拓郎のお父さんが無料券もらったんだって。行く?」
「あー、ガングリオンね…」
「あまり興味ない?」
「そうだね、僕は僕はいいかな。大悟行ってきなよ。」
「隼人が行かないなら、僕も行かないよ。おーい、僕と隼人は行かないからー!」
「えー!2人とも行かないのー?」
「みんなで楽しんできて!
そう言って大悟は読んでいた本に目を落とした
「ねぇ、ほんとに行かなくていいの?僕のこと気にしなくていいよ」
「僕ガングリオン嫌いなんだよね。ヒーローものが好きじゃなくって。だから断る口実が出来て良かったよ。」
「そっか…じゃあ、うちくる?」
「行く行く!」
そんなこんなで、拓郎たちは映画に、僕と大悟の2人は、僕の家に来ることになった。
「お邪魔しまーす!」
「あら、大悟くんいらっしゃい。ゆっくりしていってね。隼人。宿題するのよ?」
「分かってるよ!大悟、行こ。」
「うん。お邪魔します。」
部屋に入るとハムスターのハムくんが回し車を回していた。
「あれ、この時間にハムくんいるなんて珍しいね」
「ほんとだ。ハムくん眠れないの?」
するとハムくんがこっちにやってきた。
「眠れなかったみたいだね。」
「そうだね、はい、ドライフルーツ」
ハムくんの好物のドライフルーツをあげるとら大事そうに咥えて小屋に戻った。
「ゆっくり眠るんだよー」
そう言ってタオルを掛けた後、大悟が座るテーブルに対面で座る。
「ねぇ、ほんとに良かったの?」
「何が?あぁ映画?さっきも言ったけど、ガングリオン嫌いなんだ。嫌いなものを嫌な気持ちで行けば、拓郎たちだって嫌でしょ?一石二鳥だよ。」
「ならいいけど。さ、宿題しよ。」
今日の宿題は算数と理科と国語だ。まずは苦手な算数から終わらせることにした。
「大悟、ここ分かんない。」
「ここはね…」
大悟は難しい問題を分かりやすく教えるのが得意だ。でも将来はお医者さんになりたいと言っていた。
「終わったー!」
「終わったね。」
「ゲームしよ?」
「いいよ。」
「あー!そこでその技を使うのは反則でしょ!」
「勝てばいいんだよ勝てば。」
「隼人、光佑くん来てるけど」
「ほんと?大悟ちょっと待ってて。」
「うん」
玄関に行くと、光佑が何か袋を持っていた。
「拓郎たちは映画だって聞いたからさ。これ、軽井沢のお土産だって。母さんが持って行けって。」
「あ、ありがとう。上がってく?」
「うん、お邪魔します。」
部屋に戻ると、大悟はマンガを読んでいた。
「あれ、光佑じゃん。珍しいね。」
「軽井沢のお土産渡しに来たついでにね。あ、隼人ゲームやろうよ。」
「いいよ。負けないから」
「俺だって負けないよ。」
ふと、大悟の方を見るとニヤニヤしながら、こっちを見ていた。
「…何さ」
「いや?別に?」
ゲームを始めてからも大悟は頬杖を付きながらこっちを見ていた。
「あー!負けた!」
「やっぱり」
「やっぱりじゃないよ!光佑強い…」
「じゃあ僕、光佑とやろうかな」
「望むところだよ。勝つからね。」
今度は僕が頬杖を付きながら、大悟たちを見つめる番だ。2人とも強い。しかし勝ったのは光佑だった。
「負けた…」
「大悟弱〜い!」
「光佑もう一回!」
「いいけど。また俺が勝つよ?」
「次は負けない!」
結果。
「負けた…」
「ね?言ったでしょ?」
「光佑はこのゲーム強いんだよ。言ってなかったけど。」
「言ってよ!」
「あ、もう17:30だ。帰らなきゃ。」
「あ、ほんとだ。じゃあね隼人」
「うん。バイバイ」
そう言って2人は帰っていった。今日の夕飯はシチューらしい。リビングでは兄の優樹がテレビを見ていた。
「お兄ちゃん、またwonder?」
「新作のライブDVDが出たんだよ。」
「そっか。」
「今度CD貸そうか。」
「いや、大丈夫。ありがとう。」
「いい曲ばっかなのに…」
椅子に座る。シチューが出てきた。
「お兄ちゃん美味しそうだよ。wonder止めてこっち来なよ。」
「はーい」
夕食を食べ、お風呂に入る。上がると、兄がまたwonderを見ていた。
「飽きないねぇ。」
「隼人も好きなもの作った方がいいぞ。人生が充実する。」
「そっか。趣味を作るってことだね。」
「そう。趣味は大事だ。」
「分かった。」
部屋に戻りハムくんにエサをあげる。話しかけた。
「ハムくん趣味を見つけろだって。」
ハムくんはエサを食べる手を止めてこちらに来て指を舐めた。
「慰めてくれてるの?ありがとう。」
またエサ入れに戻るハムくん。人間の言葉が分かるのかも知れない。
今日はもういいや、寝ちゃお。眠いし。
布団に入り、電気を消す。時刻は21:00。
おやすみなさい。




