第4話 小学生時代③
「ただいまー」
「おかえり。手ぇ洗ってうがいしなさい。」
「はーい」
何かを煮込む音がする。今日はカレーかな?
「今日のご飯何ー?」
「シチューよ。」
「ハズレかー!」
「言い方があるでしょ?」
「違う違う!カレーかシチューの2択だったから!」
「あぁ、そういうこと。パパみたいに煮込んじゃおうかなって思っちゃった」
「え」
「冗談よ。宿題は済ませた?」
「あ…うん。」
「すぐ出来るからね。」
「う…うん」
何だろう、この違和感。やな感じだ。
「ただいまー」
「お父さんっ」
帰ってきた父に抱きつく。
「お、どうしたどうした。珍しいな隼人から抱きついてきくるなんて。」
「おかえり、さっき私が隼人を脅したから」
「そうか…バレたか」
ぼそっと父が呟いた。
「え…?」
「子どもを解体した事ないんだよな。楽しみだ。」
「やだ…やめてよ…助け」
「うわああああ」
「うるさっ。どうしたの隼人。」
目の前には大悟がいた。悪夢だったらしい。
「隼人くん大丈夫?はい、ジュース。」
「あ、ありがとうございます。」
「あ、もう17:30だ。帰らなきゃ。お邪魔しましたっ」
そう言って大悟の家を出る。
「なんかあったのかな」
「よっぽど怖かったんだね。」
「ただいまー」
「おかえり。手洗いうがいしてねー」
「はーい」
「洗って来た!」
「今日はシチューだよ。」
「え」
「えって何よえって」
「一応聞くけど、お肉ってお父さんじゃないよね?
「何バカな事言ってるのよ。豚肉よ。」
「良かった…」
安心してテレビを観ている時、お父さんが帰って来た。
「おかえりー」
「ただいま隼人」
そう言ってお父さんが僕を抱きしめた。暖かい。
「2人とも先にお風呂入ってー。」
「はーい!」
お風呂
「よっし先に頭と体洗うぞ」
「お母さんに怒られるからね。」
「そうだね。頭洗ってやろうか?」
「うん!」
小学2年生で父親とお風呂に入ってるのなんて、この物語の中で僕だけだろう。でもいいんだ。僕はまだ小学校低学年だからね。
「隼人の髪の毛はサラサラで洗いがいがあるよ。」
「シャンプーのCM出られるかな?」
「隼人なら出られるぞ、きっと」
「頑張るね!」
何を頑張るんだろう。その後体を洗い、先に湯船に入る。
今日一日あったことを喋る。大悟と宿題をした話だったり、拓郎をからかったりしたりと話は尽きない。お父さんは頭と体を洗いながら熱心に聞いてくれた。
「お父さんはさ、僕の話ずっと聞いてて飽きない?」
「可愛い息子のその日1日を知るのに飽きるも何もないだろう。」
「う、うん」
熱心に語るお父さんに若干引きながらもちょっとうれしさを覚えた。
体を拭きパジャマに着替えて食卓に座る。シチューだ。
「どうしたの?体調悪い?」
「あ、そうじゃないよ。全然元気だよ!」
「そう?ならいいけど。」
結論から言おう。シチューは美味しかった。
今日の食器洗い当番はお父さんだ。僕はお母さんの膝に座りながらテレビを観ていた。時折お母さんが、僕の頭を撫でる。
「ねぇ、僕2年生だよ?もう1年生じゃないんだからさ。」
「父親母親にとって子どもはいつまでも赤ちゃんなのよ。」
「そうなのかなぁ。」
「そうだよ。そういうもんだよ」
「まぁいいか。」
そう言って僕はお母さんに抱きつく。お母さんも僕を抱きしめた。
「お、ずるいな。お父さんも混ぜてくれよー。」
僕は幸せだと思う。




